研究テーマ

リサイクルプラントへ行ってきました!

無印良品では、2010年10月1日(金)より12日(火)まで開催する「無印良品は円高還元」週間にて、今年2回目の古着をはじめとした使用済の繊維製品の回収「FUKU-FUKUプロジェクト」を開催します。

2010年6月1日(火)より21日(月)まで行った第1回目のFUKU-FUKUプロジェクトでは、お客様から全国の無印良品に寄せられた繊維製品は約4トン、Tシャツに換算すると約4万5千枚にのぼりました。

みなさんから寄せられた使用済の繊維製品は、日本環境設計株式会社(以下、日本環境設計)の技術により、繊維の中の綿部分をエタノール化した後、残りの部分を新日本製鐵株式会社の保有する技術で100%リサイクルを行っています。

無印良品の繊維素材はほぼ8割が綿素材であるため、エタノール化の技術は無印良品のリサイクルにとって重要な役割を担います。6月の回収で集められた繊維の44%がリサイクルされ、約300リットルのエタノールが生成されました 。
(エタノールの生産量は、投入される繊維の種類や様々な状況に左右されるため、一定ではありません。)
また、プラスチック製品でも日本環境設計とともに無印良品にとっての最適なリサイクルを模索中です。

今年、8月に神奈川県などの店舗で回収した使用済プラスチック製品のリサイクルでは、日本環境設計の油化技術を中心にまず、小物のリサイクルの実験を始めました。
この実験の目的は、(1)小物プラスチックのニーズの有無、(2)回収される素材の種別と処理方法、(3)店舗オペレーションでの問題点、以上の3点を検証することです。今回の回収では56キログラムのプラスチックが回収されました。ご協力ありがとうございました。

2010年9月15日、私たちは愛媛県今治市にある日本環境設計のプラントを自分たちの目で見てきました。

案内をしてくださったのは、前回のFUKU-FUKUプロジェクトレポートでもご紹介した、日本環境設計の専務であり、技術開発をおこなっている高尾さんと今治のプラントで日々リサイクルと格闘している伊賀さんです。
既に事業化が始まっている綿繊維をエタノール化するプラントは、商用プラントとして稼働中。
当日は無印良品で回収された500キログラムの繊維が酵素で糖化されているところを見せていただきました。

このリサイクルは500キログラムの繊維を水で浸し、酵素で約2日間糖化し、その後、酵母を加えてエタノール化するというものです。一連の処理には1週間弱かかります。酵素による糖化2日目のプラントからはかすかに湯気が立っていて(約50℃)酸っぱい臭いが漂ってきました。ゆっくり時間をかけて、私たちが使った服やシーツなどが、エタノールという素材に還っていくんだなと、なんだか不思議な気持ちになりました。

現在、生成されたエタノールは重油とブレンドされ、今治市内の繊維工場でボイラー燃料として使用されています。このエタノールをプラスチック等の原料として使用できないかという研究も現在進めていただいています。

綿繊維のプラントから車で5分ほどのところに設置されているプラスチックの油化実験プラントでは、無印良品のプラスチック製品が重油にリサイクルされる様子を見せていただきました。
こちらのプラントでは、プラスチックを加熱し、気化させ、それを冷却することで重油を精製します。

この日、50キログラムの製品がプラントに投入されました。実験プラントなので、まだ1回の処理量は少ないのですが、1時間ほど経過したところで、約40リットルの重油ができあがり、実際にタンクから流れ出る重油を見て驚きました。

現在は生成される重油の約3割分の燃料を使用してこの実験プラントは稼動していますが、今後建築を予定している商用プラントでは、更に効率の良いリサイクルを実現するため、高尾さんは様々なアイディアを試行錯誤中とのことです。

私たち無印良品も今後1月に予定している実験を始め、将来は自社商品の100%のリサイクルを実現するという夢に向かって、今後も日本環境設計とともに協力をしていこうと思っています。