MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
トークイベント「団地が理想の家になる」

※このレポートは、2017年10月9日に無印良品 有楽町 Open MUJIで行われたトークイベントの模様を採録しています。

MUJI×UR共同開発商品
豊田
MUJI×UR共同開発商品の話をしたいと思います。
 
組合せキッチンです。テーブルとキッチンを組合せること、暮らし方によって、組合せ方を変えられます、というのが当初スタートしたアイデアです。幅と高さ奥行等を合わせたものをつくって、横並びに使ったり、リビングに使ったりということが、暮らし方によって変わります。横長に使ったり、正面で使ったり、あとL字で使う。それを暮らす人が選べるようにしています。
 
昭和30年代の団地が始まったころのキッチンの写真と、下は復元したキッチンの写真です。
長谷川
実はDK(ダイニングキッチン)スタイルをいまのように定着させたのも、URなんです。昔の住宅は、寝るところと食べるところが同じになっていましたが、それを寝るところと食べるところを分けましょう、と。そうすると、キッチンとダイニングはくっつけたほうが使いやすいですよね。それがDKスタイルの歴史で、さらに椅子座の生活を定着させていこうということで、ダイニングからキッチン台にテーブルをつけました。
住戸の中に設備として実装し、入居者に椅子を買って頂いて、椅子座の生活を定着させていこうと。ただ、テーブルは動くものなので、そのまま置いておくと引越しのときに間違って持っていってしまうということで、実は当時、脚と壁を鎖でくくってるんです。
MUJI×URの組合せキッチンは少し重めにつくったということもあって、鎖をつけなくてもそこまで問題ないということで外しています。
豊田
組合せキッチンはディテールにもこだわっていまして、天板とシンクの部分にほとんど継ぎ目がなく、汚れがたまらないような設計で、これを職人さんが削ってつくっています。あと角の部分ですね。角の部分もシャープに見せることにこだわっています。それが今では、無印良品の家にも採用されていますし、無印良品のリノベーションでも採用されているということで、広がりを見せています。
豊田
組合せキッチンですが、いろいろと苦労をしてつくりました。これが試作ですね。後ろの壁の部分は当初ありませんでした。少し排水管をむき出しにしたかたちになっています。これはこれで良かったのですが、排水管が思い切り見えちゃうのもどうかってことになって改良しました。
豊田
レンジ部分ですが、一般的に古い団地ですと、壁に換気扇が付いています。当初は、この換気扇で煙とか換気したら良いかなと思っていましたが、換気扇の位置よりキッチンがもうすこし左側になりました。そのまま引っ張れば良かった換気扇ですが、滑車を使ってキッチン横にスイッチを移動しました。ホームセンターでワイヤーと滑車を買ってきて、スイッチを引っ張って、これがうまく動くのか実験したところうまくいったので、これでいけると思ったんですね。実際に、鶏皮を焼いて部屋中に煙を満たして実験しましたら、部屋中真っ白になってしまいました。ほとんど吸い込まなかったですね。何にもない状態で換気扇を回してもうまく吸ってくれなかったんです。結局つけたのは、普通のフードつき換気扇です。失敗を重ねて、いろいろ議論した結果ですね。
豊田
麻畳もやはり当初検討案がありまして、強い畳をつくろうというところは最初から決まっていましたが、麻の他にデニム畳、皮畳なども試作しました。皮畳は合皮の皮を使った畳です。デニムだと色落ちが心配ということもあり、麻が一番強かったのでこれが採用されました。
豊田
そしてダンボールふすま。これもいろいろと検討を重ねました。半透明ふすまはダンボールふすまの進化系ですね。光を通すふすまです。これも廊下や玄関とか暗いところにリビングから光を通せるようにということで、つくったふすまです。どれぐらい透過するかについては、URさんの職員の方の家に設置させていただいて、人がどこまで近付いたら姿が見えるかという実験を重ねました。結果、洗面、脱衣所に使っても問題ないとみんなで確認しました。