


MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
トークイベント「団地が理想の家になる」
※このレポートは、2017年10月9日に無印良品 有楽町 Open MUJIで行われたトークイベントの模様を採録しています。
- 豊田
- MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクトの今後ということで、これまで、完全に決まっているわけではないのですが、担当者レベルで考えていることを今日は特別にご紹介します。


- 豊田
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コラム団地再生物語「もしも団地の集会室をキッチンスタジオにできたら」。
このコラムは、団地内でのシェアキッチンや店舗の活用を提案しています。団地を中心とした街の活性化。団地で何かできないかとか、あるいはまた新しいものをつくりたいよね、という話をしています。コラムでは「団地の集会所をシェアキッチンにしたらどうでしょうか?」という提案を何回かさせて頂いております。ほとんどの団地には集会所がありますが、住まれる方の高齢化に伴い使われなくなっている例もある中で、集会所をキッチンスタジオにすることで、広い世代の方々に使っていただくことができるのではないか、という提案です。
なぜキッチンスタジオを提案しているかというと、いままでMUJI×URでは住むという部分にフォーカスし、住居の中をリノベーションしてきました。これから、団地まるごと、また、郊外での暮らし方も考えていきたいなと思っています。郊外に住む、郊外で働く、郊外でどう暮らしを楽しむのかということを考えたときに、団地の集会所に本格的なキッチンがあれば、例えば料理教室に通っている主婦の方がいろいろ腕試ししたいときに使える。それを住人に振舞ってみる。次にはそこでワークショップを開催してみることもできるし、小さなショップを開くようなことができるのではないかと。そこで、さらにうまくいけば、本格的に店舗を開く足がかりになるのではないかと考えています。都心のオフィスで開業をするのは非常に大変ですけれど、家のすぐ近くでこういうものができれば、新たな住み方や暮らし方ができるんじゃないかと思っています。 これは、WEB上で実際に聞いてみると、いろんな意見が出ました。いくつかご紹介します。
(1)集会所をキッチンスタジオに。良いアイデアだと思います。子育て・介護者・リタイアした方なども参加できれば、「住む」、「働く」、「楽しむ」等コミュニテイも生まれそう・・ただ 業務用厨房機器を入れた後、集会のときはどうするのか?疑問に思いました。(60代・女性)
(2)使う側という視点だと、ぜひ利用したいです。何家族かで集まって食事をしたいことが多いので、大型の調理器具や対面キッチンなどでフロアを見ながら準備できると良いです。別料金で徴収になってもいいので、利用時に出たゴミを捨てさせてもらえるシステムもあったらうれしい。契約更新制度?とかで食器や調理器具などの場所を置けるよう使わせてもらえたりとかもうれしい。(30代・女性)
(3)キッチンスタジオがあったら、男の料理教室を開いたり、独居人の会食に利用できたらと思います。料理の出来ない夫に、困っている妻の多いことに驚いています。私だけじゃなかったのね。ですが、男の料理教室を企画しても、会場探しに苦慮するとのこと。希望者が多いものの、希望者全員に対応する施設が少ないのです。学校の調理室が借りられたら・・・。食は、生きる基本なのに、パートナーに先立たれると、おろそかになりがちなのが食事だったりします。(60代・女性)
(4)引っ越した先のキッチンが手狭で思うように料理ができなくなりました。もし、平日夕方16~20時まで開放してます、誰でもどうぞ。なんてキッチンがあったら、夕飯をつくりに通いたい。1週間分をつくって冷凍してもいいし、もし同じような人がいたら、情報交換をしたり、分け合ったりできるなとか。大人ばっかりで余っちゃうなんてときに食べてくれる子供さんがいたらうれしいねとか。広くてゆるーく開放されてるキッチンがどこかにないものかと思っていました。(40代・女性) - 坂田
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無印良品のWEBサイトを通して、皆さんにたくさんの意見を出してもらって、こういう意見に支えられて我々が社内に提案させてもらい、じゃあ、試しにやってみようかっていうかたちにつながっていくのが、このプロジェクトの進め方のすごくいいところだと思っています。今日のトークイベントのアンケートでも、時間があればぜひ皆さんの声を出して頂けると、ありがたいなと思っております。
シェアキッチン、キッチンスタジオからスタートして地域に出ていくという話ですが、実は実例があります。神奈川に洋光台団地がありまして、CCラボというチャレンジスペースというかたちで試しに地域を元気にする活動をやってみることができるのですが、実際にそこでコミュニティカフェを出店していた方が、つい最近団地のすぐ近くの商店でカフェをオープンされたという事例があります。そういう事例が非常に我々の励みになっています。いままでは住居の中をどうするかということを一生懸命やってきたのですが、これからは共用部とか、団地の商店、さらにその地域というところに、このプロジェクトの取り組みが進んでいったらいいなと思っております。
大きな団地は集会所があるので、そこをまず起点にしていくっていうことが一つと、あと昔の団地だと、だいたい店舗が小割り店舗というかたちで、1階が商店で、2階が住宅みたいなパターンの商店がたくさんあります。そういったところを、チャレンジスペースといったかたちで、新しい店舗をやってくれる方を募集しています。そういう取り組みもやっていますので、URだけではなくて、一緒に参加してくれる方という方が非常に大事だと思っていまして、そういう方を一緒に巻き込みながら新しいかたちかたちができればいいなと思っています。 - 豊田
- あと団地を中心とした街の活性化というのもありえますよね。団地を地域に解放させて、どんどんそこで何かイベントみたいなことを行っていって、その地域の活性化の拠点になるという考え方ができると思うんですね。ぜひできたらやりたいなと思います。
- 長谷川
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住むと働くことって、すごく密接に関係していると感じています。感じているというか、普通のことなのかなって。いま働き方改革っていうことがいわれていますけれども、働き方改革は一方で、我々個人がどうライフスタイルを送っていくかっていうことを問われているのかなと。そのためにURが関わる地域はどう変化していくかということを考えていくと、団地を街にどんどん開いていくとか、街の拠点になっていくところということも当然考えられるだろうし、コミュニティのチャレンジスペースで活用していくということも、あり得ると思います。
昭和30年の日本住宅公団設立当時は、住宅不足で住宅をどんどんつくっていこうという時代ですが、そのときも、そういう考え方がすごくあったんですね。というのは、都市に住宅をたくさんつくって住んで頂くということは、見ず知らずの方々が1,000人、2,000人集まって住むことになる。そのときに、当然そこでは、人と人のつながりは大事ですよね、という議論がなされた上で、集会所や子どもの遊び場などの団地の配置計画がされていました。URの職員は、そこをもう一度思い出して、当時、日本の街につくられてきた団地をどう今度は街にまた開いていくか、活用して頂くかという視点で実践していく時期にあると思います。 - 豊田
- ありがとうございます。そのほかには、素材のリノベーションもすすめています。新素材を使っていくリノベーションにチャレンジしていきたいと思っています。
さいごに
- 豊田
- MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクトを5年間やってきまして、今年で6年目になります。今までは住むこところに特化しておりましたが、住居以外の部分にも進出し、新しい暮らし方というのを提案していこうと考えております。web等の中で常に発信していきますので、ぜひご期待頂ければと思っております。本日は1時間にわたりご静聴ありがとうございました。