MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
トークイベント「港南台かもめ団地MUJI×UR団地まるごとリノベーションについて」

※このレポートは、2023年2月4日に港南台かもめ団地集会所で行われたトークイベントの模様を採録しています。

集会所を核としたコミュニケーションの場づくり
見通
ありがとうございました。次に僕が集会所を核としたコミュニケーションの場づくりについてお話します。改修工事だけではなく中の使い方を住民の方やいろいろな方とお話したいということで「かもめプロジェクト」という活動をしています。集会所を核とした世代を超えたコミュニティ形成を行う取り組みで、団地や地域の課題解決や魅力発信、利用方法の検証などを目的としています。具体的には主に2つありまして1つが「かもめ会議」、いわゆる座談会です。2つ目が今日やっている「かもめマルシェ」です。
見通
「かもめプロジェクト」は、当初「いつもこの集会所をどうやって使っているんですか?」というリサーチから始まりました。するとキッチンを使って料理を作っていたり畳の部屋で子どもの活動をしたりといった活動内容を知ることができました。また集会所の中の使い方だけではなく、外の広場の話も広げていきました。外では昔集会所の近くのプール(通称きのこプール)で遊んでいた話やテニスコートでテニスをしていた話を聞いたので、それに加えて何かコンテンツができないかという話し合いをしたのが「かもめ会議」でした。夏の会議では子どもたちの水遊びや夏をテーマにしたお祭りイベントをやっていく話になり、「かもめマルシェ」で小さなプールに子どもたちとシャボン玉や水鉄砲で遊んだり、屋台を置いて無印良品の出張販売をしたりしました。中では地域の店舗の方に来ていただくなどして、お料理教室やシルクスクリーン、コーヒー学、お茶を学べるワークショップなども実施しました。
見通
さらにはこうした「かもめプロジェクト」の取り組みの中で、集会所の改修についてのアイデアを出してもらうと、シェアキッチンの使い方や集会所の中にあったらいいもの、屋外をテラスとして使いたいといったアイデアをもらうことができました。そこで「かもめマルシェ」に来ていただいた方に現状のアイデアのアンケートを取り、「リモートワークがしたい」、「ここで映画が見たい」、「昔はキッズダンス教室があった」といった需要や使い方の話が出てきたので再度デザインに落とし込んで集会所のプランを練っていきました。
松本
そうした実際のディスカッションで見えてくるものがあり、改修ではテーマを「開かれた集会所」としました。もともと集会所はコミュニティの中心として設計されていたはずなのに「開いているのか、開いていないのかわからない」、「使い方がわからない」といった理由で使われなくなっていったことがうかがえます。そこで3つの手段を考えました。共用部を開放し、そこにテラス、ベンチ、カウンターなど人が滞留できる場所を作ること、シェアキッチン、本棚、ギャラリーなどを設けることで人が集まる仕組みを作ること、コミュニティを盛り上げてくれる人(キーマン)を発掘することで継続して使用できる仕組みを作ることといった手段です。
松本
それらを整理して実際の計画に落とし込んだのがこちらです。まず、自治会さんやお住いの方々から要望をいただいていた自由に使えるシェアキッチンを設置する予定です。また、中庭は低い植栽があるとイベントができる状態ではないので、高木だけにし、椅子やベンチを配置してお茶が飲めたり友達とお話ができたりするようにしたいと考えました。現状では集会所に入るには靴を脱いでスリッパに履き替える必要があるのですが、高齢の方にとっては脱ぎ履きが負担となる場合も多いため、土足で出入りできるようにしようと思っています。そうすることでそのままテラスまで通り抜けることもできます。
松本
ホール部分も椅子を配置して人が滞留できるようにし、和室の脇にある長い廊下はギャラリーに。たとえば「かもめマルシェ」などで写真イベントを行って、そこで撮影した写真を展示するといった流れも作れると思います。また今でも和室は子育て世帯向けイベントをやられていると聞いたので、畳があってごろごろできる空間として和室はしっかり残しています。
松本
改修イメージがこちらです。日常的にこうなってほしいという思いを込めています。ここに来ればお友達がいてお喋りできたり、学生がここで勉強ができたり社会人の方がテレワークができたりと、なんとなくそれぞれがそれぞれの理由で集まれる場所になることをイメージしています。
見通
ありがとうございました。この「かもめプロジェクト」では参加していただける「かもメイト」を募集していて、「かもめ会議」で話し合いをしたり「かもめマルシェ」を一緒に盛り上げてくれたりする方をもっと増やしたいなと思っています。今後は「かもめクラブ」みたいなクラブ活動を通じて、数カ月単位で学びながら楽しめる活動も考えています。スマホでできる上手な写真の撮り方や無印良品の収納アドバイザーの方に収納の方法を教えてもらうようなクラブ活動も楽しそうだなと思っているところです。
高橋
コーヒーやお茶のワークショップも「かもめ会議」で意見が出たから開催したんですよね。集会所の改修内容も会議で考えていましたし、自分のアイデアや企画が好きな方がいたら楽しめると思います。

最後に
見通
それでは最後に会場から質疑応答や集会所でやったら面白そうなアイデアなどがあれば会場のみなさんからお聞きしたいと思います。
お客様
昔音楽をしていたので、音を出せる広い場所としても使えたら嬉しいなと思いました。
見通
ありがとうございます。音楽はいいですよね。自治会さんのほうでも、昨年はクリスマスにミュージシャンの方を呼んでギター演奏をしてもらいました。今後も音楽に関する活動はやっていきたいです。他にご意見などがある方はいらっしゃいますでしょうか?
お客様
1年半ほど前にひとり身になったので引っ越してきたんですが、後期高齢者なので仕事を辞めた後の生活があるかとても気がかりで不安でした。URさんやMUJIさんによる計画を見聞きできて、大変夢を抱きました。今は高齢者の方がとても多くなっているので、高齢者を生かすような活動があったらいいなと思いました。
見通
ありがとうございます。僕たちもですが、自治会さんもここでいろいろな活動をされているのでぜひいろいろと参加していただけたら嬉しいです。それでは以上をもって、イベントを終了させていただきます。本日はお集まりいただき誠にありがとうございました。

今回登壇いただいた UR都市機構 髙橋 健一氏のインタビュー記事が公開されています。あわせてご覧ください。
UR公式note:「#Interviews まちづくりってどんな人が携わる?」第2回 :港南台かもめ団地&MUJI×URー私たちにとっての「まちづくり」ー