MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
トークイベント「港南台かもめ団地MUJI×UR団地まるごとリノベーションについて」

※このレポートは、2023年2月4日に港南台かもめ団地集会所で行われたトークイベントの模様を採録しています。

通常の「MUJI×UR」含めた3プランを用意
松本
私からはまず住戸についてご説明します。今回のかもめ台団地では3プラン実施しました。まずは試験施工として今年は3つのプランを作ったという状況です。「MUJI×UR」は賃貸住宅であっても暮らす人が自由に間取りを変化していくことを大切にしています。押し入れも解体して自由にできる余白としていますが、アンケートでは「収納がない」という意見も聞きます。収納は空間があれば住む人が自由に作っていいものですが、より多くの人に「MUJI×UR」を知っていただくためにしっかり収納を確保したプラン「MUJI×UR Plan+S」を昨年から作りました。今回の港南台かもめ団地では通常の「MUJI×UR」のプランと「MUJI×UR Plan+S」のプランを2つで、合計3つにしています。
松本
こちらが通常の「MUJI×UR」のプランです。港南台かもめ団地は玄関から入って水回りがあり、広めのダイニングキッチン、バルコニー側に和室が2つあり、水回りとバルコニー側の和室の間に収納があるという形です。この襖を開けて広いLDKにすると居室が1つしかなくなり、居室を2つにしようと思うとリビングが作れません。そのためより暮らしやすい間取りにするために工夫をしました。
松本
特徴はウォークインクローゼットにもワークスペースにもなる押入空間です。もともとの押入を部分的に解体して半間分広げました。こうすることでこの中に入って過ごせるくらいのスペースを作り出しています。もちろんワークスペースでなくとも、広いウォークインクローゼットとしても使えます。賃貸だとどうしても間取りを変えられないので住む人が間取りに合わせて暮らしていかなければいけませんが、「MUJI×UR」は住む人が間取りを自由に変えられることを大事にしています。
見通
ユーティリティスペースに勉強机やテーブルなどを置くようなプランは、今はテレワークの増加などでニーズが多いということですか?
松本
他の団地でもこういったワークスペースをたくさん作っています。特に半間分くらいしかない押し入れスペースは扉を外してそこで仕事ができるようなスペースを作るのは最近増えているプランですね。

収納をしっかり残した「MUJI×UR Plan+S」の2プラン
松本
こちらが「MUJI×UR Plan+S」のプランです。縦に居室が2つある形で、共用廊下側にも部屋があります。縦にダイニングキッチンがあって玄関側が水回り。もともと2つの居室の真ん中に収納がありますので「MUJI×UR Plan+S」のコンセプトの通り、収納をしっかり残しています。また6畳の部屋とダイニングキッチンの間に襖が4枚あるんですが開け放せば広いLDKとして使えるので、特に大きな間取りをいじる改修はしていません。
松本
襖を開け放った状態です。こういう鴨居も年数が経つと飴色に代わってヴィンテージ感が出てきます。敷居や鴨居を見たことがない若い方にとっても魅力的に見えると思います。このキッチンもシンプルなのですが、下に収納がないので自由につけてアレンジできるようになっています。
松本
こちらも「MUJI×UR Plan+S」のプランです。居室の真ん中にしっかり押入収納があります。また構造体の壁になっている部分は取ることができません。「どうせ取れないならしっかり収納として残そう」ということで残しています。こちらも襖を開け放せば広いLDKになり、襖を閉めれば居室をしっかり確保できるようになっています。
松本
これはダンボール襖という、ダンボールを使った襖です。URさんの団地の襖は心材にダンボールを使っているのですが、その襖紙だけを剥がして心材の段ボールの素材感を活かしているのがダンボール襖です。こういうクラフトの色味はMUJIの空間とも合いますよね。これもURさんと共同で開発しました。
見通
水回りに使う半透明や白など、色も何種類かあるんですよね。
松本
写真の奥に見えているのが半透明の襖ですね。光を通す襖なので暗くなりがちな玄関も、光を通して明るくすることができます。また和室部分にあるのは麻畳と言いましてURさんと開発したものです。通常の畳が井草なんですが、麻でできた畳を使っています。井草よりも表面が固いので耐久性もあり、元々こういう色味なので色褪せもほとんどありません。こういった素材を使うことで洋室でも和室でもどちらでも使えるので自由な住まいを実現しているかなと思います。