くらしの良品研究所 > Found MUJI > MUJI×JICAプロジェクト ケニア編 > #01 ケニアの自然や歴史

#01 ケニアの自然や歴史

ケニアという国はご存知でしょうか? このケニアにおいて、昨年よりJICA(※1)と無印良品の共同事業が始まりました。これからの連載を通して、ケニアという国や現地における生産者やJICAケニアメンバー達の姿、そして、このMUJI×JICAのプロジェクトについて、ご紹介をしたいと思います。
ケニア共和国では、日本の約1.5倍の面積を持つアフリカの赤道直下の国です。ここに、約3980万人もの人が住んでいます。ケニア共和国を大きく分けると、首都ナイロビやケニア最高峰のケニア山のある中部、モンバサなどのリゾート地がある沿岸部、ほとんど雨が降らず乾燥している北部、大地溝帯(グレート・リフト・バレー)が走る中西部、ビクトリア湖沿いの西部に分けることができます。特に中部一帯は、標高も1700m前後で、赤道直下ですが、一年を通して涼しい気候で、お茶やコーヒーのプランテーションや切り花用の植物の栽培が盛んです。ケニアというと、国立公園で見られるライオンやシマウマといった動物が有名ですが、そういう乾いたサバンナ的な印象よりも、思った以上に緑豊かで農産物を多く生産している土地であることが印象的でした。
そして、このプロジェクトは、ケニアの西部にあるキシイという地域に住む生産者とJICAケニアのメンバーと一緒に行っています。キシイがある西部は特に雨が多い地域で、肥沃な大地を有しており、農業が盛んで、キシイ産のバナナはケニアでも有数の特産品です。今回は、このケニア共和国やプロジェクトが始まったきっかけについてご紹介いたします。

緑がどこまでも続く大地。大地溝帯(グレート・リフト・バレー)

JICAの一村一品プロジェクト

ケニアにおけるJICAの一村一品のプロジェクトは、ケニア産業化省(Ministry of Industrialization )が中心になって2008年から進められています。実際に2008年から2011年までに、ケニアにおける11県で、パイロット活動が実施され、約60グループに対して、ビジネストレーニングやファイナンストレーニング、展示会出展支援が実施をされています。扱う商品は、蜂蜜、切り株を活用した家具、石けん、サイザル麻を活用したバスケットなど多種多様です。
実際に私たちは、昨年のプロジェクトで訪問した際には、彼らの一村一品の認証グループに対して、セミナーを実施して、日本におけるMUJIの品質についての話などを行い、彼らから商品の紹介を受けています。将来に向けポテンシャルのあるグループが存在していたという印象でした。

品質についてのセミナーでは、品質の考え方を商品と共に説明しました。細かい内容に、参加者も驚いていました。

今回のプロジェクトのキシイのソープストーンの生産者グループも同様に、参加していました。この生産者グループは、フェアトレード団体としても登録しており、欧米にも輸出経験もあり、数ある一村一品グループの中でもモデルグループとなっています。

JICA×MUJIのプロジェクトのきっかけ

このケニアにおける一村一品の生産者グループに、私たち無印良品が出会ったのは、JICAケニアからの推薦でした。このキシイで取れるソープストーンという石けんのように柔らかく加工しやすい石は、キシイ特有の鉱物資源です。代々この地域では、職人達が、親から子へと伝承するソープストーンの置物づくりの伝統がありました。今回一緒に組んでいる生産者グループは、コミュニティの発展をめざして、図書室やPCルームをつくりたいという目標を持っていて、その取組み活動に共感し、応援したいと私たちは思いました。
商品であるソープストーンは、柔らかな表情の石で、石本来の色の違いも美しいものでした。2011年のクリスマスギフトでは、ゴリラ、ゾウ、ペリカン、ワニ、バッファローという5つの動物の置物をMUJIからデザインを出してつくりました。

2011年の5つの動物(ゾウ、ゴリラ、ワニ、ペリカン、バッファロー)

実際の生産段階になった際には、生産者の中で実際の動物を見たことのない人がいて、商品イメージがつきにくいことや、各動物の細かなデザインに対応する事が、難しかったそうです。

ゴリラは右足前と左足前の両方のタイプが商品に出てきてしまった。

またデザイン指示をそのままに作るという事についても課題がありました。いままでの発注では、そのサイズやデザイン規定に対する許容が大きかったようでした。ですので、ゴリラの手の位置が左右逆のものが存在し、唇があるゴリラやまゆ毛のあるゴリラなど、元のデザインとは異なる製品が出来上がってきたのでした。もちろん、これらは職人のご愛嬌でもあるのですが、今年は敢えて課題として捉えて、JICAケニアと共に、商品を指示デザインどおりに作るという事にチャレンジしています。
今年も、実際に現場に行って、この課題に職人さんたちと一緒に取り組んでおり、続きは、次回コラムでご紹介いたします。

このコラムはJICAケニアの協力の下、無印良品のプロジェクトメンバーが書いています。

※1 JICA(独立行政法人国際協力機構) 開発途上地域等の経済及び社会の開発若しくは復興又は経済の安定に寄与することを通じて、国際協力の促進並びに我が国及び国際経済社会の健全な発展に資することを目的とし活動する独立行政法人。