#02 ケニアにおける取組み
昨年に続き、今年5月に、ケニアを訪問しました。
生産者のいる工房からは、緑豊かな景色が広がります。5月のケニアのキシイは雨期にあたるのですが、降っても一時期で、良く晴れていました。朝晩は涼しいですが、日中は暑くなります。
今回の訪問では、ナイロビから車で6時間強かけてキシイに行き、生産現場の確認とセミナーの実施やミーティングを行いました。ここの生産者グループは、約200名で、女性60%と男性40%が生産に取り組んでいます。ソープストーン(石)という素材の特性上、ソープストーンの採掘、運搬、大まかな形に切断、形の形成などは男性が行い、その後の磨きや洗う工程を女性が行っています。特にこの地域では、事務所や工房のある場所以外にも、近くの生産者たちの家の軒先などに集まって生産しており、地域で取れる素材を地域に住む方が生産して、外の地域に販売するという、一村一品活動の優良モデルとなっています。
昨年は、実はそれぞれ職人の家など外部で生産されたものを事務所で集約する方式でした。この方式では、生産管理上、出来上がった数量を正確に把握する事が出来ずにクリスマス・ギフトのため、販売時期は決まっているにもかかわらず、納期に関しては課題を残しました。今年は、この納期に対する課題をJICAケニアと協力しながら、生産者団体のリーダー達に認識してもらい、完成した製品の数量を正確に把握できるように、事務所と同じ場所にある工房で、技術・品質リーダーのもと、一貫して生産・管理してもらうように、変更がなされました。
今回の訪問では、工房での生産者のメンバー50名弱に対して「キックオフ・ワークショップ」を実施致しました。JICAや県産業化省のメンバーと共に、私たちも、無印良品の歴史、コンセプトといった自己紹介から、昨年の商品の売り上げ結果の報告や課題、また今年、生産者の皆さんに作ってもらう商品のコンセプトや品質面で注意する点について説明を行いました。
おそらく製作する生産者、職人の方々も、自分たちの作った商品がどのようなコンセプトで、どこでどのように販売されて、どんな反応だったのか、、という事は知りたかった内容だったのではないでしょうか。皆さん、真剣でした。
そして生産者の皆さんからは、それぞれ担当している工程と名前といった自己紹介をして頂きました。
私たちもこれらの商品をひとつひとつ丁寧に作り上げている生産者・職人の皆さんに、直接に会い、彼らが改善や生産への工夫していることを現場で知り、ますます販売着地に向けて頑張ろうと気合が入りました。続けていく為には、売れないと続けられないので、これからも売れる仕組み、デザインを作っていくことが重要だと改めて認識をしたのでした。
生産者からは、図面はmm(ミリメートル)でなく、cm(センチメートル)で描いてほしいという技術的な内容(実はmmでの指定は、今まで現地でなく、単位の認識ギャップなどありました)から、納期の確保など、様々なリクエストも頂きました。
生産者からのリクエストやQ&Aも含めて、フェイス・トゥ・フェイスでのコミュニケーションを行うことにより、今回、そして次回の生産に対しても、お互いに大事な品質のポイントや納期についても認識を共有できました。
後日談ですが、実際に7月には、決めた納期よりも早くに製品を仕上げて出荷が出来たのです。目標を共有化することや、そこに対してどう対応していくかを考え、仕組みをつくることの重要さを私たちも学びました。
今回の訪問では、昨年に比べて、屋根のなかった場所に屋根が出来たり、地面に直接座って作業していた梱包・磨き工程も椅子に座って作業ができるようになっており、労働環境の改善もみられました。
さらに、この生産者団体が、地域のコミュニティの中心となるべく、事務所の上に図書館やPCルームを設置も、昨年訪問時には、その希望・計画であったところ、きちんと実現をしていました。蔵書の数量はこれからですが、ひとつひとつ地域の為の目標を定めて着実に地域と共に成長している姿がありました。
これらの商品は、日本到着後に、検品・梱包されて海外を含めて出荷されます。8月の今、私たちは、船の上のこの商品たちの到着を待っています。皆さんへご紹介できるのは、今年のクリスマスとなります。ぜひ、ご期待ください。
参考記事:Japanese company opens doors to Kisii products.
このコラムはJICAケニアの協力の下、無印良品のプロジェクトメンバーが書いています。