研究テーマ

「洗う・干す・アイロン・しまう」を考える

1 「洗う・干す・アイロン・しまう」を考える

「生活動線から『くらし』を見直す」プロジェクトの第1回は、「洗う・干す・アイロン・しまう」を考えるです。

[一般的な住まいのかたち]

※今回は、75m2(22.7坪)のモデルプランを想定しています

まず最も一般的と思われるモデルプランについて考察してみます。
洗濯機を設置した洗面と脱衣室が1室になって、浴室(ユニットバス)とつながっています。この「洗面脱衣室」では、家族が手を洗う、顔を洗う、歯を磨く、着替える、洗濯する、洗濯物を干す、などの行為が集約されています。
この間取りはとても合理的といえます。お風呂に入るときに脱いだものを脱衣かごに入れ、洗濯物を移動することなく洗濯ができます。浴室とつながっているので、洗濯に残り湯が使えます。その一方で、洗い終わった洗濯物を干すときは脱衣かごに入れてバルコニーに持って行くことになりますが、この距離が離れている不便さもあります。

最近では、浴室に物干しバーや乾燥機能が付いているものも増えてきましたが、多くの方は太陽の下や、風通しのいいところで、自然に乾かすことを好んでいるようです。以前実施した「住まいのかたち」アンケートでは、洗濯乾燥機を持っている方のうち、乾燥機能を「毎回洗濯のたびに使う」とお答えの方は4%。「雨の日や風の強い日、天候によって外に干せない時に使う」という方が28%でした。

さて、アイロンはどこでかけるのでしょうか。この場合、ダイニングテーブルになりそうです。以前の「住まいのコラム」に投稿いただいたご意見では、アイロンがけは「テレビを見ながらできる作業」であり「家族と一緒にいながらできる作業」でもあるようです。しかし、取り込んだ洗濯物の一時置き場が、家族がくつろぐリビング・ダイニングになってしまう、というマイナス面もあります。

さて以上のように、[一般的な住まいのかたち]の洗面脱衣室は合理的で省スペースであるが故に、一般的になったのだと思われますが、少々不便に感じることもあるのではないでしょうか。
今回は「洗う・干す・アイロン・しまう」という行為を見直す、という視点で[提案1]~[提案4]の間取りを作成しました。コラム「洗濯物を、どこに干していますか?」にいただいた多くのご意見、「洗濯にお風呂の残り湯を使いたい」というご要望にもお答えしました。
それぞれの提案について、ぜひみなさんのご意見をお聞かせください。

[提案1] 和室でアイロンタイプ

バルコニーに干した洗濯物を和室に取り込み、畳の上でアイロン、たたみ、直接クローゼットにしまうことができます。和室は、夜は寝室となり、昼は取り込んだ洗濯物をたたんだり、アイロンがけをする家事スペースとして使うことができます。
和室・クローゼット・洗面脱衣室がつながっているため、くつろぐ空間であるリビング・ダイニングに洗濯物がはみ出すことがありません。

  • [提案1]がいいと思います。
    クローゼットはファミリータイプで家族分の衣類が収納できるとありがたいです。
    自分のことは自分で出来るなら良いのですが、出来ないのならその負担は家事をする人(おもに妻や母親)になります。1つにまとめられると、衣類の整理整頓はもちろんの事衣替えの時も楽になると思います。またクローゼットを1つにすることで家族がリビング以外でも自然と集まるようになると思います。

    (女性・30代前半・既婚・子ども2人)
  • 生活動線についての提案について、色々考えさせられました。
    今我が家は築1年未満のマンションで暮らしていますが、確かに間取りは大抵決まっていますよね。そんな中でも、私は普通と思われがちですが[提案1]に賛成です。
    2階建ての家で階段がリビングにある等、家族との時間を増やす家が最近増えていますが、リビング隣合わせの和室もそのような場所と私は考えています。
    リビングは最近ほとんどフローリングで、敷物がないと地べたに座る、寝転ぶという日本人ならではのくつろぎスペースが取り辛いと思います。そしてやはり、食事する場所で洗濯物を広げるというのも如何に、というのもあります。
    和室はお客様用の部屋になることが多い我が家ですが、吸湿性も優れ、洗濯物のにおいも気になりにくいということで、普段は洗濯物置き場兼畳み場となっています。座っての作業も気にならないですし、何より、子供にも小さい頃からお手伝いをしてもらいやすい環境作りになるかな~と思うからです!
    効率のいい動線を作れば、確かに仕事が一気に片付けられますが、子供の目の届かない所で仕事をしても、そこから学んではくれないと思います。

    (女性・20代後半・既婚)
  • 「生活動線から『くらし』を見直す」プロジェクトについて[提案1]が一番暮らしやすいと感じました。
    リビングの隣の和室は子どもの遊び場としても機能すると思います。
    [提案2]は、室内干しをし、さらにそこで収納もするということですが、日差しがはいりすぎるところでの収納ってどうなのかな?って少し疑問に思いました。
    [提案3]は、いろいろな時間にシャワーなどを使う家族がいると、浴室干しって難しいかな。
    [提案4]は、これもいいなと思いましたが、できれば、サンルームにもうひとつ機能がほしいです。

    (女性・40代前半・既婚・子ども2人)

[提案2] サンルームタイプ

サンルームで室内干しをし、そこがそのままクローゼットにもなるタイプです。ここでアイロンがけもできます。
洗面脱衣室に洗濯機を置かないので、バルコニーと洗面脱衣室が広くきれいに使えます。浴室から洗濯機は遠くないため、残り湯を洗濯に利用することもできます。

  • 私は[提案2]のサンルームタイプが暮らしやすいと思います。
    この提案のタイプのものよりも、もっとさらに広いスペースの家事室を南側の、日の当たり一番良い場所にとることが理想です。もっと広くしたい理由は
    (1)室内干しができるだけでなく、取りこんで仕分けて収納するところまでできてしまう、クローゼットの機能がほしい。
    (2)主婦ひとりだけが活動する場ではなく、家族全員が「家の中で一番居心地のいい部屋として」家事室を利用できるような、そんな部屋にしたい。
    ということです。私は仕事をしており、家族は家事に協力的ではあります。それでも自分が家にいる時間、「どこに一番いるのか、何をしているのか」を考えると、睡眠時間をのぞいて「キッチンや洗濯をするために水回りにいる時間が圧倒的に長い」というのがあります。
    リビングにいくら居心地の良いソファーがあってもくつろぐ時間なんてほとんどありません。だったら、家事をする場所を「家の一番居心地のいい場所、王様の場所にすれば」、みんながもっと気持ちよく家事をできるようになるんじゃないかなあと思いました。

    (女性・40代後半・既婚・子ども3人)
  • [提案2]のサンルームタイプがとてもいいと思います。
    私自身、分譲マンションで生活していますが、サンルームで洗濯物を干せるというのは冬場の寒さ、風の強さを回避できるのでたいへんありがたいし実用的です。
    また、浴室はできるだけ明るく風通しのよい場所に配置して欲しいので、これもクリアしています。
    アイロンがけはリビングのテレビが見えるところに家事コーナーを設けられればベストです。

    (女性・40代後半・既婚・子ども2人)
  • [提案2]のサンルームタイプが良いと思いました。
    洗濯をしてからそれを干すまでに、他の部屋を通るのは嫌なので、隣り合わせである上に、そこからバルコニーに出ることができる配置はとてもスマートだと感じました。キッチンを通って干しに行く動線は、水場という意味では一緒ですが洗濯物に食べ物のにおいが移ったりするのではないかと思うのであまり好ましくないと思います。

    (女性・30代前半・既婚)

[提案3] 浴室で室内干しタイプ

浴室を窓のある南側に配置しました。窓をあけて十分な通風がとれる浴室で室内干しをするタイプです。浴室から洗濯機が近いため、残り湯を洗濯に利用することができます。
部屋の中心に、テレビを見ながらアイロンがけができる家事コーナーを設けました。

  • おもしろい企画で、これから楽しみです。今の提案では[提案3]がよいと思いました。
    特に家事コーナーがすばらしいアイディアだと思います。だんらんもとりながら家事ができるのはすばらしいし、目に付くので家族が家事を手伝いやすいし、子どもにも家事を教えやすいので、一石何鳥にもなりそうです。
    他の提案で気になったのは、水を使うところと、乾いた衣類の収納が近いことです。動線を考えると確かに近いのは便利なのですが、保存を考えると、衣類が湿気を吸いやすく、かびなどの被害が出ないかと心配になりました。便利を求めるのもおもしろいですが、動線は少しあった方が体を動かし、成人病の予防にもなるかもしれません。
    そういう意味で、動線が多少長くても、雰囲気、暮らしやすさを一番大事にしたいです♪こんなことを考えるいい機会をありがとうございました。

    (女性)
  • [提案3]の浴室で室内干しタイプが気に入りました。
    水周りは、とにかく換気が第一と考えているので浴室が外側にあるこのタイプは使いやすそうです。天候によって干し方を変えます。外干し・部屋干しの各場所が離れていないのもいいです。私は、洗濯物は取り込みながらたたむやり方で、アイロンもめったに使わないので家事室はそれほど必要としませんが洗濯をする洗面所からすぐに外へ出られる勝手口があると便利だと思います。

    (女性・30代前半・既婚・子ども2人)

[提案4] キッチンとサンルームが隣合わせタイプ

キッチンと洗面脱衣室がつながっており、キッチンと隣り合わせたサンルームに室内干しをするタイプです。物干しや洗濯とキッチンの往復など、家事の効率化がはかれます。
リビング・ダイニングの一部に家事コーナーを設け、浴室から洗濯機が近いため、残り湯を洗濯に利用することができます。

  • 私は[提案4]がいいです。
    これ・・サンルームからベランダへも直接出ることが可能ですよね?室内かベランダかその日の天気によってかわると思うので。和室を経由してベランダ案もいいですが、アイロンがけをたたみに座ってするのはしんどいです。
    クローゼットと脱衣室が隣と言うのも湿気が気になります。動線はばっちりなんですけども。
    壁面にスペースがあれば、外国の雑誌などでよく見かける壁に取り付けて使うときだけ出せるアイロン台があれば・・・と思います。
    浴室がベランダ側のも日本の気候だと、窓がない浴室よりすごく良いのですが冬の寒さが心配です。
    「取り込んだ洗濯物の一時置き場が、家族がくつろぐリビング・ダイニングになってしまう」・・・爆笑しました。そうです。取り入れた洗濯物が小山になります~横に長い間取り(どの部屋もベランダに接するとか・・)だとクローゼットに直接取り入れる事もできるでしょうね。そういう間取りが理想です。

    (女性・40代後半)
  • 提案4がよさそうです。
    やはり主婦は台所がメインの活動場所になるので、その台所から洗面所、お風呂、家事スペースにすぐいけるというのは魅力的です。
    戸建てであれば、台所の裏に食料庫があれば、なお家事がしやすいのではないかと思いました。

    (女性・20代後半・既婚)

プロジェクトのステップ

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