


MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
トークイベント「団地リノベーションはどこまで可能か」
※このレポートは、2012年9月8日に無印良品 難波で行われた、パネルディスカッション式のトークイベントを採録しています。
- 土谷
- ありがとうございました。UR賃貸物件、とてもいい空間でしたね。敷地や緑の多さに恵まれていて、「住みたいなぁ」という気持ちにさせてくれる写真だったと思います。こうした価値あるストックを多く持っているURと無印良品が一緒になって、いかにこれからの時代に活かしていくか、その方法を探ろうというのが今回の「団地リノベーションプロジェクト」です。このプロジェクトは今年の春から始まりましたが、年末までに3団地で5 つの物件が実際に完成して、来年から入居ができるようになります。
それから馬場さんですが、馬場さんはリベーション分野の草分け、URの賃貸物件も含め、数々のリノベーションを手掛けています。
さて私の方から今回のプロジェクトを紹介している無印良品のウェブサイトを紹介します。

- 土谷
- これですが、「みんなで考える住まいのかたち」というコーナーで、団地リノベーションプロジェクトの紹介をしています。このサイトは6年くらい前でしたでしょうか、自分たちのこれからの暮らしを考えていこうという趣旨で立ち上げて、たくさんの人に見ていただいています。プロジェクトの今後の動向についてはぜひこちらをチェックしてみていただければと思います。またURのWEBサイトでも情報が更新されていきます。

- 土谷
- ちなみにこのサイトで、今年の5月に団地についてのアンケートを実施して、2,447名の方が答えてくれました。30代の方が36%…。ちょうど今日の会場みたいな感じでしょうか。このアンケートについて少し紹介していきますと、51%の人が過去に団地に住んでいた経験があったようです。残りのうち41%くらいの人が、住んだことはないが団地を訪問したり、公園などで遊んだことがあるということでした。このアンケートに答えてくれた9割以上の方が、団地と何かしらの関わりを持っていることが分かります。
リノベーション後の古い団地に住んでみたいか?という質問には、6割くらいの方がそう思う、ややそう思うと答えてくれました。リノベーションされた団地に住みたいという人は結構多いんですね。
また、8割以上の方が間取りを自由にできるといい(自分で改装できるといい)といいと考えています。
他に多かったのは、集会室などの共用施設は、もっときれいで使いやすいものだったらいい(6割以上)とか、エントランスはもっとおしゃれなものにしてほしい、玄関まわりのセキュリティはもっと高いものがいい、共同のキッチンやワークスペースが欲しい、といったところでしょうか。
いちばん古い団地になると昭和30年代の建物ですから、古くなった共用施設や水まわりなどは課題なのかもしれません。でも多くの人たちは、団地が歩んできた歴史に対してノスタルジックな感情も含めてでしょうが、とても親しみを持っていて、うまく現代の暮らしに合うかたちに変わるならば、ぜひとも住みたいと考えているようです。

- 土谷
- これは、馬場さんと一緒にやった、3年ほど前の無印良品のリノベーションプロジェクトのアンケートです。これは賃貸でなく、物件購入をする場合のアンケートでしたが、あなたの思う中古物件のメリットは?という質問に対して、購入価格を抑えられるという点と、新築物件よりも立地がいい、という回答が多かったです。古い建物は立地のいいところに立っているというのは、今回のURの団地を見ても共通のことなんですね。

- 土谷
- それから、これは最近書いたコラム「賃貸でも間取りを変えられるといい」です。賃貸に住みたいという人は増えているということを書きました。賃貸は家族の成長や住まい方の変化に合わせて自由に住み替えをすることができるという気軽さがあります。ただ、賃貸というのはどうしても費用をかけていない感じもあったりして、分譲物件よりも住まい勝手が悪かったりするわけです。もしその住まい勝手がもっと良くなるのなら、賃貸に住み続けたいという人はもっと増えていくでしょう。
さて次に、馬場さんから、ご自身がリノベーションを手がけられたURの観月橋団地についてご紹介いただきたいと思います。