MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
トークイベント「団地リノベーションはどこまで可能か」

※このレポートは、2012年9月8日に無印良品 難波で行われた、パネルディスカッション式のトークイベントを採録しています。

パネリスト:

馬場 正尊氏

Open A代表。東北芸術工科大学准教授。建築家。都市の空地を発見するサイト「東京R不動産」を運営。東京のイーストサイド、日本橋や神田の空きビルを時限的にギャラリーにするイベント、CET(Central East Tokyo)のディレクターなども務め、建築設計を基軸にしながら、メディアや不動産などを横断しながら活動している。

パネリスト:

小正(こまさ) 茂樹氏

UR都市機構 西日本支社住宅経営部 営業推進第2チーム主査。入社13年目。UR賃貸の募集PR担当。賃貸住宅部門で、長くお客様対応に携わっている。そこで培った設備・建築などの幅広い知識を活用し、文系出身ながら、UR賃貸の新プロジェクトに携わる。

パネリスト:

土谷 貞雄氏

無印良品「くらしの良品研究所」コーディネーター。HOUSE VISION、デベロッパー、家具メーカーなどの業務支援も数社おこなっている。中心となる業務はWEBを活用したアンケートやコミュニケーションの仕組みづくり、コラムの執筆など。

土谷
みなさん、こんにちは。今日は雨模様ですが、ご来場いただきありがとうございます。今日はこのトークイベントのタイトルのとおり、「団地リノベーションはどこまで可能なのか」ということを、今行っているURと無印良品の団地リノベーションプロジェクトの話と合わせて、みんなで考えていきたいと思います。
今日は、今回のプロジェクトにもいろいろアドバイスもいただいている、リノベーションの草分け的建築家の馬場さんもいらっしゃいますから、心強いですね。まず初めに、自己紹介を兼ねてひとり少しずつお話いただきたいと思います。
小正
はじめまして。UR都市機構の小正(こまさ)と申します。私からは、そもそも団地とはどういうものか、またURとはどんな会社なのかというお話をできればと思います。

URとは、要は昔でいう公団住宅です。駅やバス停にも「公団前」といった名称が残っていたりします。URってどんな会社なのかということを簡単に説明いたしますと、世界最大、日本最大と言われている大家さんで、全国で76万戸、関西では21万戸の住宅を管理しています。
昭和30年代に、ダイニングキッチンという概念を発明したのも当時の公団だと言われています。物件も後で見ていただきますが、昭和30年代築から新築のデザイナーズマンションまで、本当に色とりどりです。
「抽選なんですよね?」と「単身者は住めないんですよね?」といったことをよく聞かれますが、ごく一部の物件を除いて、ほとんどの物件で単身者でも申し込みができます。抽選も、ほとんどの物件で先着受付です。申し込みは、例えば関西ですとURの店舗が梅田など十何店舗かありますが、街の不動産屋さんでも、UR賃貸住宅のステッカーが貼ってあるお店であればURの物件を紹介していただくことができます。
それでは、実際に物件を写真で見ていただきましょう。

新千里西町(大阪府豊中市)

リバーサイドしろきた(大阪市都島区)

小正
左は、昭和40年代に建てられた団地ですが、このあたりがみなさんの想像する団地ではないでしょうか。昔なつかしい雰囲気の外観です。右は、昭和50年代に建てられた物件です。
実はこの物件、左の新千里西町団地と、右のリバーサイドしろきた団地は、今回の無印良品さんとの「団地リノベーションプロジェクト」の対象物件です。

酉島リバーサイドヒルなぎさ街
(大阪市此花区)

南船場(大阪市中央区)

小正
もちろん他にも色んな年代の物件があり、左のような超高層の物件、また、右の安藤忠雄さんが設計監修されたデザイナー賃貸物件、南船場団地など、様々な物件があります。
小正
もうひとつのUR賃貸の特長は、お住まいの方々のコミュニティですね。子育てサークルや夏祭りなどのイベントが行われたり、広い敷地には桜が植えられている物件が多く桜の名所にもなっています。そこでお花見をしたり、団地内の公園で子どもが遊んでいたりします。

観月橋団地(京都伏見区:集会所付近)

向ヶ丘第二団地(大阪府堺市:暮粋 Kura-Chic)

小正
左は、馬場さんにリノベーションをしていただいた、観月橋団地です。なかなかこんな素敵なところはないのでは、というくらい、気持ちのいい木漏れ日が差し込んでいます。
右は、URが団地再生-集約事業をしている団地で、昭和37年から39年くらいに建てたものですが、今では考えられないくらいの広い敷地が特徴で緑が多く、風通しも日当りもよく、空を独り占めできるような空間が広がっています。

香里団地E地区(大阪府枚方市)

泉北茶山台二丁団地(大阪府堺市)

小正
左は、香里団地のE地区ですが、等間隔で広い土地はなかなかないのですが、1階でもとても日当りがいいです。
右は、泉北茶山台二丁団地で、こちらも無印良品さんとの「団地リノベーションプロジェクト」の対象団地です。

泉南一丘団地(大阪府泉南市:桜のトンネル入り口)

浜甲子園なぎさ街(西宮市:平成24年度新規物件)

小正
先ほど、桜の名所になっているというお話をしましたが、左は泉南一丘団地の、桜のトンネル入り口です。こういった団地がたくさんあります。
そして右は、浜甲子園なぎさ街という物件で、新規物件です。団地にはよくあるのですが、なぜか“南国風”のツリーがあったりします(笑)。

このように、古い物件から新しい物件まで本当にいろいろあるのですが、古い物件は、古いというだけでなく素地がいい物件がたくさんありますので、それをうまく活かせるのが今回の「団地リノベーションプロジェクト」だと考えています。