


MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
トークイベント「団地リノベーションはどこまで可能か」
※このレポートは、2012年9月8日に無印良品 難波で行われた、パネルディスカッション式のトークイベントを採録しています。
- 馬場
- こんにちは。馬場と申します。今ご紹介いただいたように、去年ですね、京都にある観月橋団地の再生プロジェクトをURさんと一緒にさせていただいています。古い建物のリノベーションを結構たくさんやっていたので、その知見を団地に活かせないかと。観月橋団地のお話をいただいた時には、緑の中にぱっと浮かび上がるようで、もうすでにいいんですね。しかも僕は団地世代なので、こういうところで遊んで暮らしてきました。
ご存知の方も多いと思いますが、田の字型プランというのが団地の原型的な間取り。これはすごく合理的な間取りだったんですが、今はちゃぶ台でご飯を食べないし、全体的に部屋がすべて小さいですね。
久しぶりに団地に行ったのですが、南北に抜けていて、エアコンがない時代ですから、夏もずいぶん涼しかったのでしょう。僕は、この団地というものが現代のライフスタイルにどうしたら合うのかということを考えてみたんです。


- 馬場
- ひとつは土間プラン。玄関をあけてすぐに土間の空間があって、何か荷物をポンと置いたり、植物を置いたりすることができるというもの。こちらは少し時代をさかのぼったような間取り。
もう一つがアイランドキッチンプランといって、真ん中にあるアイランドキッチンを中心に間取りが構成されている。スライディングできる壁があって、閉じれば二部屋。開ければ大きいワンルーム。開くと南北に風が通る、団地ならではの間取りです。今の住宅は北側に廊下があって、窓は南側にしか向いていないので、風が抜けないんです。なので、この空間は団地でしかつくれなかったというわけです。 - 土谷
- ありがとうございます。実は、古い小さな面積のURのリノベーション、構造に関わるような大きな変更についてできることは限られているかもしれませんが、小さなアイデアはたくさんあります。
今回の「団地リノベーションプロジェクト」ではそういうアイデアを考えていきたいのと、もう一つは家の中の住み方だけではなくて、先ほどからお話が出てきているように敷地がとても広いので、その敷地をライフスタイルとしてどう活用できるかという視点も考えたいですね。 - 馬場
- 僕らの世代は、昭和30年代くらいからつくられたこの団地というもの、見方によっては宝物にも見えるようなものを、どれだけうまく使い倒すか、そんなことをこのプロジェクトでは必死に考えているわけです。