


MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
トークイベント「団地リノベーションはどこまで可能か」
※このレポートは、2012年9月8日に無印良品 難波で行われた、パネルディスカッション式のトークイベントを採録しています。
- 土谷
- 現在3団地のリノベーションが進んでいます。設計もほぼ終わりに近づいていますが、今日の議論などもぜひ織り込んでいきたいと思っています。とくに費用面では、お金をかけてフルリノベーションするよりも、最低限の改修をして、あとは好きな家具を買うような感覚でできるリノベーションができたらいいなと思います。今回のプロジェクト、たとえ壁を一部壊してスケルトンにする場合でも200万円くらいを目指したいと思います。そのためには、どこまであるものを活用するのか、そのあたりも大きなポイントになりそうですね。
- 馬場
- 団地って、いい「素」の状態を持っているんですね。実は耐震性能も、非常に良かったりします。こうした団地をうまく利用しながら、一度スケルトンに近い状態にして快適な空間につくり直す。そうすればあとはコストをかけずに、家具でコーディネートすることができれば、家賃もそれほど上げずに済むと考えています。こうした取り組みから、公団特有のコンパクトな空間の新しい暮らし方が見えてくるのではないか、と思うんです。
- 小正
- 大家さんという視点では、コストについては大事ですね。分譲の中古マンションでフルリノベーションをやろうとすると、だいたい800万円から1,000万円くらい掛かってしまいます。あまり大きな家賃という負担が掛からないように工夫するのも、私たちの重要な役目です。
- 土谷
- そうですね。話はまだまだ続きますが、時間も迫ってきたので、最後にURではこんなこともやっているということをご紹介いただきましょう。
- 小正
- UR都市機構では、先ほど話が出てきたようなシェア制度や、別荘として期間限定で使いたいといった様々なニーズに応えられるような仕組みがあります。また、今年度になってからさらに多くの取り組みが始まっていて、例えばDIY住宅ですが、DIYが可能な団地をどんどん増やしています。個人負担にはなりますが、壁紙の張り替えはもちろん、棚やハンガーフックを取り付けたりすることもできます。
また、団地によってはキッチンの入れ替えや2部屋を1 部屋にするなど、大きな改修まで可能だったりします。今までの賃貸ではなかなかできなかったことですね。URへ申請が必要ですが、退去の際もそのままでOKです。


- 小正
- ちなみにこちらは、馬場さんの団地R不動産と連携して先月、DIYをやってみようという大阪市の森之宮の団地で行ったイベントですが、大変盛り上がりました。
- 馬場
- これ、やってみると楽しいんですよね。実際に参加された方からも、すごく楽しかったという声をたくさんいただきました。
- 小正
- それから、こちらは Kura-Chic(クラシック)というプロジェクトですが、古い団地だけが持つ素材感というか温か味を残したまま、現代の暮らしに合うような改良をちょっと加えています。カラーコーディネートをシンプルにしたり、洗濯機置き場を新たに設置したりと、一部水周りの設備を更新しています。
現在2団地で実施していますが、今年度中にもう少し増えて、皆さんに団地の良さを知っていただくきっかけになるような取り組みをしています。

- 土谷
- ということで、昭和30年代から日本の暮らしのスタンダードをつくってきたURですが、あらためて、原点回帰とでもいいますか、日本の暮らしの可能性って何だろうということを考えているのですね。
古いものを壊して新しいものをつくるということではなく、古いものを活かしながら新しいものをつくる。無印良品も、これからの日本の暮らしのスタンダードについて、一緒に考えていきたいと思っています。 - 馬場
- R不動産でも、私たちなりの視点で団地を再発見して、住み方も提案していく「団地R不動産」というWebサイトが始まりましたので、こちらもぜひ楽しんでご覧ください。
- 土谷
- この団地リノベーションプロジェクトですが、3団地の5つの物件をリノベーションするだけではなく、団地でイベントを開催したり、団地をバスツアーでまわろうなんていう企画もありますから、団地デビューしてみたい方、ぜひご参加ください。小正さん、馬場さん、それから会場の皆さん、今日はどうもありがとうございました。今後の取り組みにぜひ期待してください。web上でも、随時情報を公開していきます。なおリノベーションプロジェクとは来年2月に公開の予定です。注目して見守っていただければと思います。