視点を変えるとハッと気づくことがある。自然からも学びます
次は、自然に学ぶ、というテーマです。無印良品というのは結局、自然に学んでいると思うのですね。ブランドは、人間が付けるものなんです。
- ぼくは無印だ。(1983年)
このポスターは、イラストレーターの河村要助さんに相談をしてつくったものです。
会社の生活では、部長や課長の印鑑や肩書きが必要になるのよね、というような話をして、働くひとりの人が、自分は無印だ、と言っているようなことを何か表現できないでしょうか、と相談したら、河村さんがこういったイメージを出してくださいました。
- 自然、当然、無印。(1983年)
自然、当然、無印。
和田誠さんが気づかせてくれたユーモラスな視線。自然って当たりまえのことでしょう、という指摘です。
- 色のまんま。/まんまの色。(1984年)
それから、自然ということで、こちらのふたつのポスターをご紹介します。
色のまんま。そして、まんまの色。
このコピーは、セーターをつくるときに、動物の色のまんまを受け継ぎたい、ということを伝えています。アルパカ、キャメルなど、動物の"色のまんま"を仕入れて、その"まんまの色"で仕上げている。
無印良品のひとつの基本に自然を受け継ぐという姿勢があります。ですから、生成りの色や、動物素材のそのままの色を、無印良品のアイデンティティを表現するために、意識して使っていました。
広告のポスターに西友のマークがついているのは、ここまでです。
初期の無印良品は、スーパーマーケットの食品売り場におせんべいがあったり、家庭用品の売り場に何があったりということで、ジャンルごとに、商品が散らばって売られていました。それを、無印良品はライフスタイルを伝えられる商品群であるから、まとめて見せていきたい、と思うようになったんです。そこで、路面店をつくりたいと、主にクリエイティブのチームのほうから提案し、できあがったのが、青山の第1号店。1983年のころでした。
青山の第1号店は、大変な反響を呼びました。ファッション・ビジネスの一番盛んなその場所に出たことで、無印良品が何を言おうとしているのかをわかってくれる、意識の高い消費者に対し、きちんとメッセージを送ることができたのです。無印良品は、やがて西友から独立して「良品計画」という会社になり、そうしてポスターからも、西友のマークは消えていきました。