


MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
MUJI×URトークセッション 「10年前の未来と10年後の未来」
※このレポートは、2023年10月1日(日)に無印良品 グランフロント大阪で行われたトークイベントの模様を採録しています。
- 豊田
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最後、今後10年の可能性というところに入っていきたいと思います。
今までの様々な経緯を踏まえ、今後10年をどういったキーワードがあるのかと、色々議論しています。 “集まって住むコミュニティを作る”と、“団地を地域に開いていこう”ということが今後10年で大切になってくるのではないかなと考えています。
アンケートの中でも、「集会室などの共有スペースをもっときれいで使いやすいものにしてほしい」というご意見をいただいています。共感度で言うと、2012年56%でしたが、2023年は64%と増えています。特に30代以下の方は55%から70%まで増えていることも考えると、やはりこういったところは期待されているのかなと思っています。

- 豊田
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生活満足度への影響度が高い項目をURさんで調査されています。
左側の方に一般的な不動産ポータルサイトなどで検索されるような情報があり、立地や広さ、部屋、家賃、築浅かどうか…など、これは皆さんが検索されるところかなと思います。右側がそれ以外の部分で、利便性、安心など。安心の項目でさらに細かく見ると、治安、防災、医療、介護施設。
楽しみの部分でいうと自然環境、生き甲斐は近所に働く場があるかなどの項目があります。上に行けば行くほど生活満足度への影響度が強いというものになります。
1番左側のポータルサイトで検索しているものの影響度よりも、実はそれ以外の部分の治安や防災、安心安全・リラックスできる公園など、そういったところが強く影響されていることが、こちらから読み取れると思います。
データだけではなく、私たちが紹介してきたような活動を通し、そういったものがとても大事であることがわかってきています。 - 長谷川
- 団地の屋外空間や集会所でできそうなこと。住宅以外のこういう機能が求められている結果でもあります。熊谷の発表の中で、人と人との繋がりを大切にしていきたいとお伝えしたのですが、このデータがそこに繋がっていくのではないかと思いました。
- 豊田
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団地の魅力が住まい探しの検索フィルターにそもそもかかっていないんですよね。日当たりとか、風通しの良さ、周辺自然環境、コミュニティといった部分は、この1番左側には入ってこないようなものですが、実はそこが魅力だったりします。
私たちはフィルターにかかってこないからやらないということではもちろんなく、そういう本質を含めた大事な部分をどんどん、磨いていく必要があるかなと思っています。
一言で言うと、住まい探しをする時に検索できないような項目をどんどん磨いていこうというのが、今後10年の課題かなと思っていますので、よろしくお願いいたします。
では、最後にもし一言ずつありましたらお願いします。 - 中村
- 団地リノベーションプロジェクトで、いろんな団地へ行かせていただき、各地でイベントをしているのですが、住民の方やイベントに来ていただいた方とお話しする機会があります。先ほどのアンケートでも出てきたのですが、「団地で何かしたいと思っているけれど、何をしたらいいのかがわからなかった」や、「何から始めていいかがわからなかった」といった声を聞くことが多いです。そういった、「どうにかしたいと思っているけれど、何をしていいのかがかわからない」と思っている方が結構いらっしゃるのではないかと最近気づきました。私たちの活動により、そういう方が、何か一歩を踏み出すきっかけをつくることができればいいなと思っています。これからも、いろいろな団地に行かせていただき、皆さんが何か活動するきっかけを作っていき、関わっていただける人の数を増やすことで皆さんに団地に関心を持っていただけるようなことができればなと思っています。今日はありがとうございました。
- 熊谷
- 就職活動中でURの面接の前日に、なんとなく慣れ親しんだ団地を散歩していて、ベンチで休憩していた時に、 隣におばあちゃんもちょこんと座っていて、僕に話しかけてくれました。そのおばあちゃんが、「私は、この目の前にいる子供たちが遊んでいる様子を見るのが毎日の日課だ」とおっしゃっていました。その言葉がずっと忘れられないというか、今やりたいことの全ての原動力になっていると思っています。子供が夢中にパズルで遊んでいる様子とか、なんだかいいなと思うんです。こういう、「なんだかいいな」と思う風景を日常で守っていけたらと思っています。それがMUJI HOUSEさんとも一緒に協働してできたらいいなという風に思っています。

- 長谷川
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私が感動してしまいました(笑)。
団地には、屋外や集会所という豊かな空間があります。皆さんの住まい・暮らし方はそれぞれで、MUJI HOUSEさんのコンセプトでもある、自分に合った暮らし方を掴んでいきましょうというのも、これからの暮らし方なのかなと思っています。
特技や趣味で人よりちょっと何かできることを、実は誰でも持っていると思っています。そういったことを、団地の屋外や集会所で気軽にやっていただきたいと思っています。今、集会所は予約が必要ですが、ふらっと来ていただいて得意なことや好きなことをやっていただくことで、「この人、こんなことやっているんだ」、「私もこんなことできるんだ」という連鎖が、広がっていくのではないかと思っています。そういう場を団地でつくることができれば、地域で住むことがもっと面白くなるなと。
奈良在住なのですが、奈良から梅田に仕事で来なくても、奈良の半径300メートルぐらいで、生活も仕事も全部できるという、そんな世界を団地から作っていけるような可能性を感じています。そういう思いが、今ふつふつと湧いてきています。 - 豊田
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最後に私からですが、先ほど地域資源という話がありましたが、団地自体がその地域の資源になっていると思っています。団地にはたくさんの方が住まれています。建物もたくさん建っていて、その地域のシンボルになっていると思うんです。団地がある地域では、よく見られると思います。
こういったハード面の部分も大事ですが、今後の10年に向けては、ソフト面と言いますか、地域で繰り広げられるような活動が、団地を含めた新しい風景になっていくのではないかなと。そういう風景を作ることが、私たちの使命だと思っています。
そこに住んでいる方々が、団地に目を向けてみるといつも面白いイベントが開催されていたり、参加してよかったと思う状況を作り出すことで、団地に住まれている方々だけではなく、地域に住まれている方々も一緒になって、地域を盛り上げていくような状況を作り出せるのが、このプロジェクトの次の課題だと思っていますので、ぜひご期待いただければと思っております。
4人からのプレゼンテーションは以上になります。ありがとうございました。
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トークイベント終了後には、MUJI×URのモデルルーム見学会を実施しました。
イベントに参加されたほとんどの方に参加いただき、登壇したメンバーが解説を行いました。


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お集まりいただきました皆さま、ありがとうございました。
今後のMUJI×URの取り組みにご期待ください。