MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
トークイベント「築200年の団地の未来を考える」

※このレポートは、2019年1月20日に無印良品のリノベーション 青山店で行われたトークイベントの模様を採録しています。

プロジェクトの魅力
豊田
団地をテーマとする魅力は、「古さ」、「陽当りと風通し」、「73万戸」という3点です。
まず「古さ」について。いままで団地では課題とされていた「古さ」を、私たちは魅力と捉えました。ビンテージ感を積極的に取り入れることで、若い方々にとって新鮮な空間になるのではと考えました。
続いて、住棟間隔の広さがもたらす「陽当りと風通し」も魅力です。そして、国内に「73万戸」存在するという団地の規模感。この基盤で有効な提案を行うことで、新たな暮らしのスタンダードがつくれるのではと考えました。

プロジェクトを進めるうえで重要となるポイントは、「生かす、変える、自由にできる」という3点です。
まず「生かす」について。間仕切りを積極的に取り外しつつも、柱・鴨居・梁などは残して生かすようなリノベーションを行いました。押し入れも完全に撤去するのではなく、中を塗装して居室の一部として使えるように設計しました。
Before
After「MUJI×UR Plan 01
Before
After「MUJI×UR Plan 11
豊田
次に「変える」について。老朽化した設備など、変えるべきところは変えていきました。
例えば、台所です。古いキッチンを外し、MUJIとURが共同開発した持出しキッチンを設置しました。

また、古い団地には和室が大変多く存在します。フローリングに全室を変えるという選択肢もありますが、遮音性が落ち、コストも非常に掛かってしまいます。そこで、私たちが共同開発したのが麻畳です。畳の表面を麻でコーティングしているため、ベッドやソファーを乗せても問題がありません。こうすることで、住む人の判断で、空間を和室にするか洋室にするか選べるようにしています。
豊田
そして「自由にできる」について。組合せキッチンが象徴的です。キッチン台の真横・真正面・L字といった具合にテーブルをつなげることができます。暮らし方によって変化できる余地を残しています。
豊田
その他に、小天井という部材もあります。お部屋の高い位置に収納できるだけでなく、無印良品のユニットシェルフを小天井に突っ張らせることで、自由に配置できる間仕切りとしての役目も果たします。また、ダンボールふすまという商品も開発しています。