MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
トークイベント「団地リノベーションの部屋に暮らす」

※このレポートは、2013年10月5日に無印良品の家グランフロント大阪家センターで行われた、パネルディスカッション式のトークイベントを採録しています。

土谷
最後に、無印良品の家のWEBサイトで取った「リノベーション・アイテムについて」のWEBアンケート結果を紹介しながら、これからの団地リノベーションについて考えてみました。
今回のアンケートでは、家をリフォーム・リノベーションする際のアイテム、設備などについてお聞きしました。部屋の場所ごとに、どんな機能があったらいいかなど、皆さんのご意見をうかがいました。

はじめに、「ご自身の家(住んでいた家)をリノベーション、またはリフォームされたことがありますか」とうかがったところ、リフォーム・リノベーションを経験したことがある方が25%もいらっしゃいました。また、47%もの方は、経験はないが検討している、興味があると答えています。
土谷
次に、様々なキッチンの形について共感できるかうかがいいました。
最初はAプラン「位置は固定しているオープンキッチン」。キッチンの位置が固定している通常のタイプで、ダイニングテーブルなどの家具は自由に選べるプランです。「共感する」「非常に共感する」と回答した方は全体の67%でした。
土谷
一方、Bプラン「ダイニングテーブルとの組み合わせでレイアウトが変えられるオープンキッチン」、キッチンの位置は固定していて、高さを合わせたダイニングテーブルとイスが、自由に移動できるプランです。奥行きの深いキッチンとして使えたり、L字にしたり、一列につなげてパーティーキッチンのようにレイアウトもできます。
土谷
「共感できる」と答えた方が77%と最も高かったのは、Bプランでした。キッチンの位置は固定していてもダイニングテーブルとの高さを合わせて組み合わせることができる、というスタイルが共感されました。

Cプラン「シンクやコンロ部分も組み合わせて使えるオープンキッチン」は、Bプランから組み合わせや可動性がさらに進化したプランですが、これも52%と半数以上の方が共感できると答えました。一般的な暮らしより、生活シーンに合わせた可変性の高い暮らしが求められているのかもしれません。
土谷
また、今回キッチンに合うようなハイスツールチェアも開発しました。これはベンチにも物置にもなります。現在は、無印良品 有楽町で販売しています。
豊田
このキッチンとハイスツールチェアは、無印良品の家で取り入れようと考えています。商品化も検討しています。現在、無印良品のグランフロント大阪にも参考展示していますので、ぜひご覧になってみてください。
土谷
さらに、「部屋と部屋が一室空間でつながっている部屋」を想定し、それを仕切る方法についてお聞きしたところ、「収納家具や棚で部屋を仕切る」が43%と最も高い支持を得ました。部屋と部屋をゆるやかに仕切り、広く使いたい、また、収納家具を壁にすることで効率的に仕切りたいということが見て取れます。
昔は家具で空間を仕切るということが浸透していませんでしたが、最近は共感を集めていることで、ここ数年での時代の変化を感じます。
土谷
先ほど紹介したもと押入れスペースの活用について、これはお子さんができたときや、隠れて作業するときなどに有効ですね。リバーサイドしろきたのプランでは、小天井というものを設置して、家具で仕切るときにはその小天井がキャットウォークのようになっていて、倒れないようになっています。
土谷
リビングでの過ごし方についてもうかがいました。床座なのかイス座なのかお聞きしたところ、「ソファの上だけでなく、床にも座って過ごす」「床に直接座って過ごす」が75%にも及びました。洋式の生活が入っているとはいえ、やはり床でごろごろ過ごす暮らしは日本人にとって心地よいものなんですね。
土谷
今回提案した麻畳は、床座でもイス座でも使うことが出来ます。厚みも畳と同じ55ミリ。古い畳のスペースを壊すことなく、入れ替えるだけで心地よい空間になります。テーブルやイスを置いても跡が残らないほど固さはありますが、表面の肌触りが気持ちいいです。

写真は、団地ではなく、東京三鷹にある無印良品の家です。ここでも麻畳が使われていますね。
土谷
ソファがあるのに床に座るって日本人らしいですね(笑)。そしてこの麻畳は通常のものより薄いタイプ。15ミリのもので、試験的に使っていただいています。
豊田
この薄いタイプの麻畳は実験的につくったもので、試作品段階です。今後商品化できるように改良を進めています。
土谷
次は寝室についての質問です。「寝室」での睡眠の仕方についてお聞きたところ、ベッドで眠りたい人が75%でした。麻畳の上にベッドを置いていただいても大丈夫です。そして布団で眠りたい人は25%と少ないですが、この方々の意見もとても重要です。アンケートでは多い人の意見だけを採用するのではなく、少ない人もそれぞれの暮らしのスタイルがあるので、彼らの意見も活かすかたちを考えることがとても大切なんです。
豊田
この写真ではベッドが置かれていますが、本来の趣旨としては、麻畳の上に布団を置ける、そして使わないときは布団をしまえばリビングの一部として空間を広く使えるようになるということを伝えたかったんです。限られた空間を生かす工夫、和風の暮らしをもう一度見直すということがこの写真のメッセージ、そしてこのMUJI×UR団地リノベーションプロジェクトのもう一つの目的です。
土谷
最後の質問「もし、いまお住まいの部屋の壁を自分で自由に変えられるとしたら、どのように活用しますか?」という問いに対しては、次のグラフのように半数以上が「やってみたい」と回答しました。でも全てを自分でやるにはハードルが高いので、無印良品ではそのハードルを下げるような工夫をしていきたいです。既につくられたものをベースに手を加えるような仕組みや商品、事例を増やしていきたいと思っています。