改良に改良を重ねた試作品ができました
1.次なる改良までの道のり
グループインタビューの結果、多くの女性が求めているフットカバーとは脱げにくく痛くない、そして靴から見えないことだということが分かりました。前回の試作品の履き心地はそのままに、着用時の快適感と見た目の良さを両立するにはどうしたら良いか、試作品を作ってくださっている吉谷靴下㈱の向井さん、藤原さんと私たちは悩みました。
前回のアンケートやグループインタビューの結果から、生地の裏に滑りにくい糸(ダウンストップ ※1)を編み込むことで脱げにくく痛みが出にくい方向に向かっていることは分かりました。このダウンストップをもう少しうまく使えないか。 ※1 ダウンストップはゴムのように伸び縮みするポリウレタン糸を芯として、その周りにナイロンを巻き付けた繊維です
そこで向井さんが思いついたのは、ダウンストップを履き口の裏側、しかも全周に入れるという方法です。
試作品第1弾
踵の部分に着目
試作品第2弾
履き口全体に着目
- 履き口の白く見えるところがダウンストップ(実際には裏側に入っているので表からは見えません)
- 履き口はゴムによって足に密着しているので履き口のところにダウンストップを編み込んで摩擦を大きくした
試作品第1弾を作った時、私たちは踵から脱げることに着目し踵の皮膚とフットカバーの接するところにダウンストップを入れて摩擦を大きくすることで脱げにくくしました。しかし、グループインタビューでみなさんのご意見や経験を聞くと小指や横から脱げたりする人もいて脱げ方は人によって様々でした。
それならフットカバー全体が履いたときのまま履き口の位置や状態をキープできるようにしたらいい。ダウンストップを肌と生地が密着する履き口全周に入れ摩擦を大きくしよう。
そしてこのひらめきが私たちの課題を解決する近道になりました。
向井さんが考えた改良アイデアはこんなふうです。
向井さんの考えによると、
- 履き口の裏側と肌の摩擦を大きくすれば履き口がずれにくくなるので、踵だけでなく指や横側からも脱げにくくなる
- 脱げにくければ履き口をきつくしなくても良いので踵などの履き口部分が痛くなりにくくなる
- 生地と肌の摩擦が大きくなれば、甲を覆う生地の面積を少なくしてもずれにくく靴を履いてもフットカバーが見えにくくなる
なるほど、この方法なら「足から脱げること」、「足(特に踵部分)が痛くなること」、「靴から見えすぎること」、この3つの課題が一気に解決しそうです。
また、つま先部分の痛みについては、つま先部分を幅広にして指が外側から内側に押されて痛くならないようにし、更につま先部分の編目を大きくして横方向に伸びやすくすることでつま先が痛くならないようにしようという作戦です。
2.試作品 第2弾
試作品第2弾を担当者みんなで履いてみると、5人中4人が一度も脱げませんでした。しかもずれにくいので、もうすぐ脱げそうという感覚もなく、脱げることを気にせずに歩けました。履き口全周に入れたダウンストップの滑り止め効果のすごさを実感しました。
また、試作品第1弾と履き比べてみると、試作品第2弾は甲を覆っている部分の面積が少なくなっているのがはっきりとわかります。
靴を履いて比べてみると、試作品第1弾に比べて靴から見える部分がかなり少なくなりました。グループインタビューでは「5mmくらいなら見えてもいい」という意見がでたのでこれくらいの見え方なら合格ラインといえそうです。しかし歩いているうちにつま先の生地が内側に寄ってきて履いた直後よりも見えてきてしまいました。履いたときの状態のままを維持できると良いのですが。
3.試作品 第3弾
完成まであともう一歩! ダウンストップの位置はそのままにして、靴からもう少し見えにくくした試作品を作っていただけるよう向井さんと藤原さん(吉谷靴下㈱)にお願いしました。
試作品第3弾では、小さめ、ふつう、大きめの3つの大きさを作ってもらいました。
実は社内で試し履きをしたときのみんなの感想から、脱げにくさや靴からの見え具合、つま先の痛さはフットカバーの大きさとも関係しているかもしれないと考えたからです。
出来上がった試作品第3弾を社内の女性6人(通常の靴のサイズ23.0cm~24.5cm)で各大きさを履いてみた結果、目標に対する評価は次のようになりました。
改良点 | 小さめ | ふつう | 大きめ | |
---|---|---|---|---|
着用時の快適感 | 靴から脱げにくいこと | ○ | ○ | ○ |
足が痛くないこと | ○ | ○ | ◎ | |
見た目の良さ | 靴から見えにくいこと | ◎ | △ | △ |
その他 | 足裏の踵が余る △ |
- 小さめ
- ふつう
- 大きめ
- 足の裏が余る
ついに全員が脱げない結果となりました。脱げにくさと痛みがでない点(着用時の快適感)はクリアしました。ただ、靴からの見え方は予想通りフットカバーの大きさによって違う結果になりました。
小さめのフットカバーはかなり見える面積が少ないですが、大きめのフットカバーは試作品第2弾よりも見えてしまいました。う~ん、この見え方はちょっと厳しいですね。小さめくらいの見え方で、サイズはもう少し大きい方がいいというのが私たちの結論でした。
そしてもうひとつ、足裏の踵部分が余るという新たな問題もでました。
試作品第1弾からここまで、かなり改良されたのは事実です。でも私たちが目指す完成形まではあともう一歩。ここまできたのだから、多くの女性に満足してもらえるものを目指してあと少し改良したい。
度々のお願いとは思いながらも、私たちは再び向井さんを訪ねました。そして今回の試作品の小さめくらいの見え方でふつうくらいの大きさにしたいことと、足裏の踵のダボつきを抑えたいことを相談しました。向井さんは「難しいけれどチャレンジしてみるよ」と私たちの要望を聞きいれてくださいました。
4.試作品 第4弾
そして、ついに4度目の試作となる試作品第4弾が出来上がりました。
向井さんによると、履き口にダウンストップを入れ足から生地がずれにくくなった分、少しだけ甲を覆う部分の面積を少なくすることができたとのこと。足裏のダボつきも調整していただき解消されています。
もちろん、社内での試し履きでは全員が脱げなくて痛みもないという結果になりました。
- 試作品第4弾
- 足の裏もスッキリ
見え方を確認するため無印良品の色々な靴と合わせてみると、他の靴でもフットカバーは靴から見えにくくなりました。
5.完成品と改良ポイント
脱げにくくて痛みも出ないこと(着用時の快適感)と、靴から見えにくいこと(見た目の良さ)。ついにこの相反する2つを満足する形が出来上がりました。
- 改良①履き口の裏側全周にダウンストップを挿入
- 改良②つま先部分を幅広に
改良③つま先の編目を大きく
改良ポイントのまとめ
改良①
履き口の裏側全周にダウンストップを編み込みました。なんといってもこれが今回のフットカバーの最大のポイントです。
これによって履き口全体がずれにくくなり、踵からもつま先からも、そして横からも脱げにくくできました。脱げにくいので履き口をきつくする必要がなく、アキレス腱部分やつま先に痛みや突っ張り感がでにくくなりました。
また、これまでの形だと甲の部分の生地を少なくし靴から見えにくくすると、脱げやすくなってしまっていましたが、履き口自体がずれにくくなっているため足を覆う生地の量を少なくでき、靴を履いても見えにくくすることができました。
改良②
つま先部分の形を幅広にしました。これによって親指側と小指側から内側にむかって押されにくくなるので、つま先の痛みが出にくくなりました。
改良③
つま先部分の編目を大きくしました。これによって伸びやすくなり指同士の重なりや窮屈感を抑えられるのでつま先の痛みが出にくくなりました。
多くの女性の意見をもとに改良を繰り返して完成したフットカバーは、私たちが自信を持って「よい商品」と言えるレベルにすることができました。あとは多くの女性にとっても満足できるものになったのかどうかです。
前回の試作品を試してくれた方や普段から脱げる経験のある人に是非試してもらいたい!
私たちは再度ホームユーステストを行って完成した試作品第4弾を履いてもらうことにしました。
次回は2度目のホームユーステストの結果をお伝えします。
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1
- 2014年12月17日 開発のきっかけ
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2
- 2014年12月24日 世の中のフットカバーってどんなもの?
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3
- 2015年1月14日 知りたい! みんなのフットカバー事情
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4
- 2015年1月21日 試作品が出来ました
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5
- 2015年1月28日 グループインタビュー
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6
- 2015年2月4日 改良に改良を重ねた試作品ができました
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7
- 2015年2月11日 みんなで作ったフットカバー その出来はいかに?!
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8
- 2015年2月18日
開発秘話
靴下職人へインタビュー
- 2015年2月18日
開発秘話
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9
- 2015年2月25日 3月4日(水)いよいよデビュー
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10
- 2015年3月4日 商品発売のお知らせ