MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト 対談
団地を舞台に考える“感じ良いくらし”
- MUJI
- 住戸以外にも、例えば一階に花屋やカフェがあったらとか、共同で使えるコモンキッチンを皆でやったら、集会室の使い方を変えたらなど、コミュニティづくりのアイデアがいくつかありますが、それを民間の分譲物件でやろうとすると、いろいろな制約があってとてもできないです。なぜなら、もう売ってしまっているから。ところが団地のすごさというのは、オーナーがいるわけです。オーナーの考えで新しい取り組みを行うことができるんです。
- 金井
- いろいろな制約があってできない、とはどういうことでしょうか。
- 大西
- リノベーションに関して言うとそんなに大きな制約はないですね。住宅の中をどうするのか、団地をどうしていくのか、ということについて相当程度の自由はあると思っています。
分譲の区分所有建物というのは、共用部分の修繕ならいいのですが、大規模に変える時には区分所有者の3/4の合意が必要で、完全に変えてしまう、なくしてしまう時には、全員の同意が必要となります。つまり、ほとんどできないに等しいですね。
- 金井
- それは成立しないですね。
- 大西
- ところが賃貸住宅ですと、空き家をどう使うかというのは我々の意思でできるんですよ。もちろん居住者の皆様への説明や、合意を得ることの努力はします。
そうやって団地の入り口をお花屋さんにしたり、カフェにしたり、それから一階住戸で空いたところを、共用の何かのスペースにしたりということがもしできれば、団地トータルとしての価値が上がっていく可能性があります。今まで住戸だった部屋が空いたら、次は介護支援センターを入れてもいい。キッズスペースを入れてもいい。子育て用の空間に変えたり、高齢者の介護用スペースに変えることができます。
つまり、住宅のリノベーションで、ある程度の用途変更もできるということです。そうすると団地全体が今までにない価値、今までにない機能を持った街に生まれ変わることができるんですね。そういうことをもっと進めていきたいと思っています。
その時に、大事なのは居住者です。キッズスペースをつくっても、若い人がいなければ本当に無駄になってしまいます。介護の施設はまだ全然足りていませんので、当然やっていくことになるのですが、やはり色々な年齢層の人たちが住んでいて活気のある、トータルに魅力のある団地をつくりたいわけです。ですから、そのためのリノベーションというのは非常に重要だなと思っています。
- 金井
- これからの暮らしについて皆で知恵を出しながら、もう一度、失った絆、子どもの声がする空間、隣近所や家族との関係性まで含めて再構築していくための大きい柱、日本全体が向かって行く方向の一つの柱が必要だと私は思っています。
URさんは一般の民間ではできないような事業をやり、大きな資産を持っていながら、やりすぎていない。無印良品と同じように本当にある意味でストイックです。
- 大西
- はい、そこは非常に共通したところがありますね。
- 金井
- 無印良品は、一般の企業が「うちの製品の、これがいいでしょ」と言っている時に、ただ一人だけ「うちの製品の、これでいいじゃないでしょうか」ということをビジョンにしています。
「これでいい」というのは、そんなに頑張ったものでなくてよくて、むしろ生産者や地球の資源のことを考えれば贅沢にしなくたっていいということ。でも本質的なクオリティを保って、そこにデザインやアイデアがあり、かつリーズナブルな商品。明晰で自信に満ちた「これでいい」です。
省資源とか生産者まで配慮した簡素な商品を生み出し、その思想に共感して購入いただき、利益が出る。これは実は大変なのだけれど(笑)、こういう企業はなかなかないですよね。それと同じようにURさんが、率先して日本の暮らし方についてのスイッチを変えてくれたら非常に嬉しいです。
- 大西
- 今回のMUJI×UR 団地リノベーションプロジェクトで連携させていただいた住宅って、ある意味では何も無い住宅なんです。この何も無い住宅ってそこに住もうと思った人たちにどういう住み方をしたらいいかっていうことを、いやでも問いかけてきます。自分がその住宅でどういった住まい方をしようかっていうことを模索しないといけない。そういう刺激のある住宅って今まで無かった。ですから今回入居を申し込まれた方々っていうのは、その新しい刺激と言うことに対してビビットに反応してくださったのかなと思っています。
最初は私、びっくりしましたからね。何にもなくって、すっぽんぽんで(笑)。
- 金井
- そうですね。
- 大西
- でもこの空っぽ感がいいんだなぁというのは、すごく実感として分かりました。
今までは2LDKっていうと、2というのは個室で、Lというのはリビングで、DKというのはダイニングキッチンでと、用途と空間を固定していました。これは昔の田の字型プランといわれた、食寝分離ができていなかった時代に、暮らし方を大きく転換させた一つのモデルでした。
ところがそれに憧れた時代は過ぎ去って、今はもっと住宅に対して多様性を求めるようになってきた。そういう住まい手に何かを問いかけてくれる住宅、自分は何がしたいんだろうかということを気づかせてくれる住宅が、今回のMUJI×UR 団地リノベーションプロジェクトかな、っていうのが私の率直な印象ですね。
- 金井
- 何LDKとか何DKという仕組みは、URさんが持ち込んだものですよね。だから壊すのもURさんなんですね(笑)。
- 大西
- そうそう。