


MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
トークイベント「MUJI×UR 10周年記念トークイベント『これまで』と『これから』」
※このレポートは、2023年3月4日に泉北茶山台二丁団地で行われたトークイベントの模様を採録しています。
- 熊谷
- 続きましてMUJI×URのこれからについてお話していきたいと思います。私UR都市機構の熊谷と申します。
- 松本
- 私がMUJI HOUSEの松本です。よろしくお願いします。
- 熊谷
- それではまず松本さんからMUJI×URの新しい取り組みについてお話いただきます。松本さん、よろしくお願いします。
- 松本
- 私のほうからMUJI×URの新しい取り組みとして「MUJI×UR 団地まるごとリノベーション」についてご説明します。まず第1弾として2021年から千葉市の花見川団地からスタートし、第2弾として2022年から横浜市の港南台かもめ団地でスタートしています。この2つのプロジェクトについてお話します。

- 松本
- まず2012年からスタートした「MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト」は住戸を中心としたリノベーションです。住戸をリノベーションするわけですが、それをきっかけに若い世代の方が団地に住み始めたりご高齢の方と若い世代の方の交流が増えたりと、改めて団地の魅力を知ってもらうこともありました。住戸のリノベーションによるMUJI×URの影響を感じてきました。そして2021年から正式な形で「MUJI×UR 団地まるごとリノベーション」と称して団地の住戸だけでなく周辺の施設や商店街などもリノベーションの対象として広げて地域コミュニティの形成にも取り組むことで団地を拠点とした地域の生活圏を活性化させるプロジェクトがスタートしました。

- 松本
- まず第1弾の千葉市花見川団地をご紹介します。この地図の中心が花見川団地で非常に大きな団地です。URの賃貸物件が5000戸、分譲物件も1500戸あり、すべてを合わせると7000戸ほどの団地です。その団地の中心に大きな商店街がありまして、今回は商店街の活性化を目的としたプロジェクトとしてスタートしました。まずプロジェクトを設計していくにあたってアクティビティ調査をURさんと一緒に行いました。

- 松本
- その結果、商店街には非常に大きなアーケードがありますが、店舗が少なくなって空き店舗が目立つ状態になっていることなどがわかりました。調査も踏まえて課題を洗い出してみたところ、駅から遠い立地的な問題や全体的な老朽化というハード的な問題もあり、さらにはお洒落な店舗が少なく、店舗が増えない、賑わいもないという負のスパイラルに陥っていることがわかりました。そこをなんとか「MUJI×UR 団地まるごとリノベーション」に取り組むことで解決したいと考え、まず目的と設計指針を定めました。
駅から遠いデメリットはありますが逆に言うと森林や川などの自然と近いメリットもあり、電車ではなくても車や自転車で立ち寄って時間を費やしてもらえるように人が集まって滞留できるようなしつらえが必要だと考えました。改修することで外観をキレイにすることはできますが、それだけではテナントが増えません。やはりお店が出店していくことに誇りが持てるような、「またテナントを出したい」と思ってもらえるような憧れを醸成するしつらえが必要です。
そこでコンセプトを立案しました。1つ目は自然を取りこんだ公園のような商店街、2つ目は人が集まる道の駅のような商店街、3つ目が屋外空間の中で食事ができるようなフードコートのような商店街。そうなることでお洒落なお店に入っていただき、それによってお店が増えて、いつも賑わっている状態ができれば上昇のスパイラルが作れると考えました。


- 松本
- 現状は左のような形で南側と北側に分かれている商店街なのですが、南側は大きなアーケードがあり日中でも薄暗く、北側はシャッターが目立つ状態です。
イメージとしては右側のように公園のような商店街で、人がしっかり滞留できるような明るい商店街にしようと今は想定しています。

- 松本
- このようなハードの設計をしていく中で大事なことはソフトの部分ですが、住民の方にも協力していただいて、団地商店街の未来を考えるワークショップを月に1度開催しています。住民の方も商店街の方々、URさん、学生さん、千葉市さん、メンバーを加えてワークショップをして団地の未来を見据えたいろいろなコンテンツを考えています。また毎週、無印良品のポップアップストアを行っており、物の販売もそうなのですが、しっかり住民の方とコミュニケーションを取っています。

- 松本
- 最初のワークショップでは花見川の地域資源の活用としてお散歩イベントを考えました。花見川地区の資源を活用して団地のすぐ近くにある花見川の川沿いがサイクリングコースになっており、また近くの花島公園では週末になると子育て世帯や若い方々が遊びに来るという情報もあったので、そこから商店街に来てもらう流れを考え、散歩イベントを作りました。まずは散歩をしてもらい、そこで地域の魅力をしっかり伝えることで商店街につなげる動きを考えました。


- 松本
- また特産品を作ろうということで商店街バーガーを考えました。商店街の飲食店を活用し、パン屋さんでパンを買い、お肉屋さんでコロッケやメンチカツを入れ、八百屋さんで買った野菜を入れてもらうという形で店舗をまわることでオリジナルのハンバーガーを作る取り組みです。
現在は実証実験を何度かやっているのですが、毎回とても人気で30食から40食分作って2時間ほどで売り切れるコンテンツになっています。商店街なので賑わいを作るだけではなくしっかりお金が落ちる仕組みを作ることも大事なことだと考えています。


- 松本
- また花見川沿いに千葉市さんが整備しているサイクリングコースがあります。ちょうど海から印旛沼の中間地点が花見川団地なので、ここを道の駅のようにサイクリストの方に立ち寄ってもらえるような取り組みもスタートしています。
毎月行っているマルシェではサイクリストの方やサイクルカフェを運営されている方に屋台を出してもらったり、サイクリストの方に楽しんでもらえるようにビンゴゲームを行ったりしています。そのビンゴの中身が街の魅力を知る項目になっていて、まわってもらうと商店街の中で飲食ができたり無印良品のお菓子がもらえたり景品が当たるといった仕組みです。
続いて第2弾の横浜市港南台かもめ団地の話になります。