試作品が出来ました
松江高専の齋藤先生に設計をしていただいた図面をもとに、試作品を作ることにしました。
試作品を作るために取引先の方と何度も打ち合わせを行い、実際に工場で試作用の金型を作ってもらいます。いよいよ図面を本物のスニーカーにしていく作業です。
図面から試作品を作るまでには、実はいろいろな苦労があります。
図面上では理想の設計ができるのですが、工場での生産を考えると、その設計が機械や設備の能力を超えていて技術的に難しいということも出てきます。図面になるべく忠実でありながらも、生産面やコスト面を考慮したものになるよう図面を修正していきます。この作業は何度も何度も繰り返し行なわれました。
特にインソールは、最大の特徴である土踏まずのサポートのための凸部分を、厚みのあるしっかりとしたものにしたいという希望があります。しかし普段履きのスニーカーを生産している工場では今回のように大きく凹凸をつけた設計を形にできる技術を持った工場がなかなか見つかりませんでした。取引先の方が一生懸命に探してくださって、最終的にはスポーツメーカーの商品を中心にインソールを製造している工場で作っていただけることになりました。
そして最終図面を決めて数週間後、仕様を確認するための最初の試作品が手元に届きました。どんなものになっているかおそるおそる見てみると、どうやら見た目は図面の通りになっているようです。うれしいような、でも見るのが怖いような複雑な気分。。。「うちの子大丈夫なのかしら?」完全にお母さんの心境です。
- 試作品 綿スニーカー
- 試作品 綿洗いざらしスニーカー
インソール(中敷)
- 試作品 綿スニーカー
- 試作品 綿洗いざらしスニーカー
取引先の方が渡しに来てくださったとき、「試し履きをしたんですが、相当いいですよ」と言ってくださっていたのでこれは期待できそうです。
この商品の最大の特徴は歩きやすさや疲れにくさといった、履いて感じる感覚ですから履いてみないと出来が分かりません。私たちもインソールをセットして、いざ試し履きです。
足を入れてみて驚きました。こんなスニーカーは今まで履いたことがない!
何が違うかというと、とにかく足の形にフィットしているのです。どうやら狙い通り、履いてもらえば誰にでもこの良さを実感してもらえる商品が出来そうな予感です。
しかし一方で、設計者の齋藤先生の意図がちゃんと反映できているのかちょっと心配です。
まだ1足ずつしか手元に届いていなかったのですが、どうしても齋藤先生に見ていただき履いていただきたかったので松江に持参し、先生に履き心地の確認をしていただきました。
先生:「思ったような履き心地です。ちゃんと土踏まずがサポートされ、あおり歩行もしっかりできますね!」
私達:「よかった~。そう言っていただけて一安心です。」
この試作品をもう少したくさん作って、人が履いて実際に歩行し、人体への影響と履いてみた感覚(官能評価)を調べ、設計どおりの効果が得られるかどうか、データをとることにしました。
このように人の身体を使って評価を行う場合、評価をさせていただく被験者の方を探すのも大変です。
今回は齋藤先生と松江高専の生徒さんにご協力いただけることになりました。
どんな評価になるのかドキドキします。次回は松江高専での歩行評価の様子をレポートします。
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1
- 2012年11月7日 「疲れにくい」「歩きやすい」ってどんなこと?
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2
- 2012年11月14日 松江工業高等専門学校との共同研究
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3
- 2012年11月21日 現行品の3ヶ月使用モニタリング評価
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4
- 2012年11月28日 インソール・アウトソールの改良
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5
- 2012年12月5日 試作品が出来ました
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6
- 2012年12月12日 松江高専での歩行評価①
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7
- 2012年12月19日 松江高専での歩行評価②
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8
- 2012年12月26日 歩行安定性評価
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9
- 2013年1月16日 生産工場のお話
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10
- 2013年1月23日 第2回歩行評価 ─MUJI銀座松坂屋─
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11
- 2013年1月30日 松江工業高等専門学校 齋藤先生インタビュー
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12
- 2013年2月6日 とうとう出来上がりました
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13
- 2015年5月6日 番外編 コットンスニーカーの有用性を論文として発表しました