水都・大阪の川のほとりに佇む
リバーサイドシリーズとリバーサイドしろきた

大阪市の都島区、北区の境を流れる大川。
そして寝屋川方面から大阪港に流れる、大阪を象徴する広大な淀川。
そのほとりに建つのが、リバーサイドシリーズと呼ばれる団地群です。
これまでこのコラムでご紹介してきた昭和30~40年代の5階建て団地とは異なり、昭和50年代に建てられた比較的新しい高層団地です。
都心に近いのに、緑豊かで水辺の暮らしがそこにはあります。

自転車ライフを楽しむ団地

リバーサイドシリーズは、駅で言うと環状線「桜ノ宮」駅や「天満」駅、「天神橋筋六丁目」駅、「都島」駅周辺のエリアに広がる団地群のこと。
駅近の団地もありますが、駅から徒歩15~20分以上かかるちょっと不便そうな団地もあります。

でも実は、この駅から遠い団地が穴場かもしれません。
地図を見れば分かるかと思いますが、距離的には梅田からかなり近い。梅田駅から一番近い「リバーサイドほんじょう」は、なんと梅田駅まで2km弱。自転車なら10分弱で、歩いても30分かかりません。
駅から一番遠い「リバーサイドしろきた」でも、自転車なら城北公園通一本で、梅田駅まで3.5km、自転車で20分弱です。最寄駅まで歩いて行くより自転車で直接梅田に出た方が断然早いし近いのです。

そして、見落としがちなのがバス。実はこのエリア、バス交通が充実しています。梅田からのびる都島通や城北公園通りはバス通りとなっていて、通勤時間には絶え間なくバスがやってきます。
晴れた日は自転車で、雨の日はバスで、タクシーでも梅田からワンメーターちょっと。

梅田だけでなく、大川沿いの道を下れば、京橋や大阪城公園へ、心斎橋やなんばにも頑張れば自転車で行けちゃいます。起伏の少ない大阪ならではの都心交通としての自転車ライフ。今のスタイルに合ったエコライフをエンジョイできるのではないでしょうか

淀川・大川沿いは緑豊かで、少年野球やボート部のかけ声がこだまする賑やかなレジャースポットです。淀川や大川沿いのランニングコースは、人気のランニングコース。たとえば「リバーサイドしろきた」から、大阪城公園まで走るとちょうど往復9kmくらいの距離。
このエリアは大阪市内でも屈指のレジャースポット。淀川・大川の河川敷には淀川河川公園、毛馬桜ノ宮公園などの広い公園があり、ランニング以外にも、野球場やサッカー場、ボートなど、アウトドアスポーツが楽しめる場所が点在しています。
平日は梅田や淀屋橋まで自転車通い。休日は大空と緑豊かな川のそばで、のびのびと身体を動かす。そんなアクティブファミリーにはおすすめの団地です。

凹凸の外観が特徴。スキップフロアとツインコリダー

団地ならではの建物形状といってもいいほど、この特異な形はなかなか街中のマンションでは見かけることができません。
「スキップフロア」型住棟と「ツインコリダー」型住棟。
名前だけではイメージが沸かない人も多いはず。

「スキップフロア」型住棟は、片廊下が3~4層に1層ついていて、その上下階には2戸に1つの階段室によって結ばれる、片廊下型+階段室型が合体したようなかたち。凹凸の多いファサードが特徴で、50年代に建った団地によく見かけるフォーマットです。
このタイプの住棟は、高密度で多くの住戸を集約しつつ、昔ながらの階段室型住棟のもつ、南北に抜ける光と風という環境の良さを残すように考えられたかたちです。

一方、ツインコリダー型住棟は、中央に巨大な吹き抜けを持つ回廊型の住棟のこと。まるで2棟の建物がエレベーターや階段室棟をはさんでサンドイッチしたかのような形をしています。吹き抜け廊下の風景は迫力があります。
片廊下+吹き抜けの構成によって共用部は明るく、中廊下型の暗く風が抜けない構造をうまく解消しています。

リバーサイドシリーズでは、スキップフロア型住棟は淀川沿いの「リバーサイドほんじょう」や「リバーサイドしろきた」、ツインコリダー型住棟は「リバーサイドながら」でみられます住棟タイプです。
リバーサイドシリーズの団地は、昔ながらの団地フォーマットの良さを残しつつ、都市型の高層住棟に改良された住まいのかたちなのです。

1階は商店街。職住近接の住まい方

リバーサイドシリーズの中でも、今回のMUJI×UR団地リノベーションプロジェクトではスキップフロア型住棟が並ぶ「リバーサイドしろきた」が舞台です。
この団地の1階には商店街があります。
スーパーやクリーニング屋、昔ながらの文房具屋、食堂や小さな診療所、なんとお米屋さんまで、日常にあったらいいなと思うお店が今も現役で営業中。

「リバーサイドしろきた」以外の団地にも、大人気のケーキ屋さんや自転車屋などが並び、買い物のほとんどは団地の1階で済んでしまいます。顔の見知ったお店で買い物をする。大型スーパーやショッピングモールにはない、アットホームで小さな経済圏。
また団地の店舗区画はコンパクトで使い勝手がいい。1階の店舗区画を借りて、自分のカフェやショップ、はたまたアトリエを持ちながら、上階の住戸に住まう。職住近接の住み方なんていかがでしょうか?

見慣れたnDKのマンションの間取り

さて今回は、下の2つの間取りをリノベーションします。
これまでご紹介してきた泉北茶山台団地、新千里西町団地の間取りとは大きく異なり、よくみかけるマンションのnDKの典型的な間取り。
広さは3DK58m²と3DK64m²の2タイプ。この広さで8万円以下で梅田や京橋から近くに住めてしまうのならお得ですし、二人暮らしや若い子育て夫婦にはちょうど良いサイズ。

古い団地と大きく違うのは水回り。お風呂の浴槽は大きく、キッチンもワイドで使いやすい。
しかし、間取りはというと、4.5帖、6帖の和室が2~3室、部屋の中央部に小さな開口部しかないキッチンダイニング。
それぞれのお部屋が中途半端にこじんまりとしていて、食事を楽しむためのダイニングは暗く、広さの割に窮屈な間取りです。
実はこうした間取りは、大家族を想定された時代に考えられたプラン。居室を多く確保するために、住戸の真ん中にダイニングキッチンを設け、個室には外部に面する窓を取るため周辺に配置されています。単身~親+子ども1人の三人家族が多くなった今では、部屋数が多くて、ダイニングスペースもちょっと窮屈かもしれません。

※取材日(2012年10月)時点の情報になります

リノベーション住戸について

見た目は新しめで立地もいい、でも間取りはいまのライフスタイルに合っていない
そんなギャップを抱えたリバーサイドしろきたを、アクティブな若者世帯が住みたくなるようなプランにリノベーションします。