MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
団地ハイキング「多摩ニュータウンを歩こう」

※このレポートは、2015年11月29日に都内で開催されました、「団地ハイキング『多摩ニュータウンを歩こう』」の様子を採録しています。

MUJI×UR団地リノベーションプロジェクトで昨年実施した「品川八潮パークタウン団地ハイキング」。今回は、多摩ニュータウンを舞台にハイキングとトークイベントを開催しました。約30名の参加者で、前半は多摩ニュータウン(永山団地・諏訪団地)を歩いてまわり、後半は門脇氏と石川氏とのトークセッションが行われました。

スピーカー:

門脇 耕三氏

建築学者。明治大学 理工学部 建築学科/大学院 理工学研究科 建築学専攻 専任講師。
1977年神奈川県生まれ。2000年東京都立大学工学部卒業。建築構法、建築設計、設計方法論を専門とし、公共住宅の再生プロジェクトにアドバイザー/ディレクターとして多数携わる。

スピーカー:

石川 初氏

ランドスケープデザイナー。慶應義塾大学政策・メディア研究科/環境情報学部教授。
1964年京都府生まれ。東京農業大学造園学科卒業後、建設会社の設計部門でランドスケープの設計に長く携わった。

モデレーター:

川内 浩司氏

「無印良品の家」住空間事業部開発部長。株式会社MUJI HOUSE取締役。
無印良品が考える賢く豊かな暮らしをかたちにすべく、新築注文住宅から、マンション、リノベーションまであらゆる「住まいのかたち」づくりに関わる。

多摩ニュータウン・永山団地

多摩ニュータウンのグリナード永山で集合した30名の参加者の皆さん。まずは多摩ニュータウンの説明、そして今回のハイキングで見てもらいたいポイントを、ゲストの門脇先生と石川先生より説明いただきます。

門脇
今日は一日よろしくお願いします。今日はハイキング日和でよかったですね。私自身もとても楽しみです。
改めて自己紹介をしますと、私は建築家、もう一人のゲストである石川先生はランドスケープを専門にしています。私からは建物の説明をしたいと思っています。

多摩ニュータウンは1965年に着工し、2006年に工事が終わりましたので、40年の月日を経て開発されてきました。ニュータウンではなくオールドタウンと揶揄されることもありますが、それだけ歴史があるということです。
それだけ月日がたつと当然課題も出てきます。

いま皆さんがいる建物は、実は多摩ニュータウンで最初のショッピングモールです。できた当時は取材もたくさんあったのですが、現在は平日にはお年寄りが多いです。実はそれが大きな課題の一つになっています。一気につくられた都市なので、当時入居した人も一気に高齢化していきます。

そんな中、この後まわる永山団地では若い人が新たな試みをしているところも見られると思います。その種明かしは見終わった後のトークセッションで話したいと思います。
石川
皆さん、こんにちは。私の専門はランドスケープで、植栽や造園のデザインをしています。今回は、建物の間の空地や団地全体のレイアウトに注目して見ていこうと思っています。

多摩ニュータウンはかなり人工的につくられた街なのですが、ユニークな地形を無視せず活かしてつくられています。特に永山団地は丘陵の地形が非常に強く反映されています。尾根に道をつくったり、排水溝をつくったり、そうやって土地の高低差を利用して、または影響を受けている様子が見られます。それを意識してみると面白いですよ。

歩行者が利用するオープンスペースには斜面地があり、いろいろな土地利用が絡んでいます。いまは谷底です。ここから丘まで登っていきます。

もう一つのポイントは“時間”。ニュータウンができてから50年経っていますが、50年経つと新しくつくった団地もこう変わるのかと感じると思います。団地が過ごしてきた50年の時間をより深く実感していきましょう。今日はよろしくお願いします。

この後、2班に分かれて、団地の中を散策しました。
散策の最中にはこんな場所を中心にまわっていきました。