MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
団地リノベーション完成 ここだけの話 2017

※このレポートは、2017年1月7日に多摩ニュータウン永山団地集会所で行われたトークイベントの模様を採録しています。

今回のトークイベントは、約20名の方にご参加いただき、前半は百草団地多摩ニュータウン永山団地のリノベーションされた部屋を見学し、後半は多摩ニュータウン永山団地集会所にてUR神村氏、MUJI HOUSE豊田氏、そして現在モニターとしてMUJI×URの団地に暮らすケーシーとのトークセッションが行われました。

パネリスト:

神村 幸人氏

UR都市機構
新築住宅の計画から住戸改修などのプロジェクトに従事。現在はUR都市機構多摩エリアの住戸改修などの企画・設計を担当し、UR賃貸住宅の魅力アップに取り組んでいる。

パネリスト:

豊田 輝人氏

株式会社MUJI HOUSE「無印良品の家」商品開発担当
無印良品の家を中心に、マンション・戸建分譲・リノベーションなど、無印良品の住空間新プロジェクトにも携わる。

ゲスト:

ケーシー氏

団地ブログ「東京・大阪・団地暮らし~光が丘と千里、2つの団地の住まいレポート~」の東京・光が丘を担当する住まいレポーター
2016年10月より、実際に光が丘パークタウン団地MUJI×UR Plan14に住み、団地の魅力をレポート中。

 
聖蹟桜ヶ丘駅で集合した16名の参加者の皆さん。まずは今回MUJI×URでリノベーションした百草団地のお部屋、そしてバスで移動して多摩ニュータウン永山団地のお部屋を見学しました。実際のMUJI×UR団地リノベーションの物件を見ながら、ここに住んだらどんな暮らしが待っているのか、そんなことを楽しく妄想する参加者の方々。また、細部に渡るリノベーションのこだわりを設計担当のMUJI HOUSEの方に質問しながら、団地の良さは生かしながらリノベーションを手がけた部屋にみなさん興味津々の様子です。
見学が終わって団地内の集会所に移動し、トークセッションが始まりました。
MUJI
みなさんこんにちは。MUJI×URの実際の物件を体験していかがだったでしょうか。MUJI×URの大きな特徴は、古いものは残して新築そっくりにしない、最低限手を加えることで暮らしを豊かに明るくしていこうということで、そのコンセプトを感じてもらえたら嬉しいです。また、既存のリフォーム住戸も見ていただいて、その違いも見ていただけたかと思います。その体感を踏まえながらトークイベントを進めていければと思います。今回はゲストとして、実際のMUJI×URの団地に住みながらその様子をレポートしてくれているケーシーにもお越しいただいています。彼が団地暮らしをしている様子は団地ブログ「東京・大阪・団地暮らし」に掲載されています。今日はこの三人でトークイベントやっていきますのでよろしくお願いします。
神村
UR都市機構の神村です。よろしくお願いします。まずはMUJI×UR団地リノベーションプロジェクトの成り立ちを簡単に説明させていただきます。暮らしのスタンダードをそれぞれ考えてきたMUJIとURがH24年度に出会いました。無印良品は「生活美学の専門店」として、生活の基本となる本当に必要なものを小物から家までつくってきました。一方URは「団地を通した日本のライフスタイルの提案 や 団地建設による技術開発、調査研究」を行ってきました。
この両者が団地のもっている様々な可能性を活かして、これまでにない新たな暮らしのスタンダードを賃貸住宅で実現しようというところから、今回のプロジェクトが始まりました。

そして、URとはどういった会社なのか?そもそも団地とはどういうものなのかという話をさせて頂きます。URの前身は「日本住宅公団」という組織から始まっています。昭和30年代から団地を建てはじめて、これまでに分譲住宅も合わせて全国で約150万戸供給しております。昨年度、設立60周年を迎えました。
いわゆる団地というイメージの中層5階建て階段室タイプから高層EV付、30階を超えている超高層まで色々な種類の団地建設に取り組んでいます。全国で約75万戸の賃貸住宅を管理、多摩では4万4千戸を管理しており、世界最大、日本最大の大家さんといわれています。

では実際に団地とはどういうものなのか?というところをご説明します。昭和30年に日本住宅公団が設立し、昭和30年代は、戦後の住宅不足解消に向け、大量に団地を建設した時代です。 この昭和30年頃は、まだ左の写真ようなちゃぶ台で食事をし、食事が終わるとちゃぶ台を片付け寝室にするという暮らし方でした。

当時の公団が標準装備したダイニングテーブル

最新の電化製品に囲まれた昭和の食卓(金岡団地)

神村
そこで公団はDKという間取りを開発し、ダイニングテーブルのある生活スタイルを提案しました。この事は「昭和の食卓革命」と言われています。またキッチン自体もステンレス流し台を独自で開発して導入していました。

昭和40年代、昭和50年代になると住宅の量が足りてきたことから、量から質への転換期に入ってきます。公園や、コミュニティスペース、緑地など地域の生活環境や自然環境に寄与する団地供給が増えてきました。
こうして団地をあらためて見てみると、緑豊かな住環境、風通しの良い間取り、心地よいコミュニティがあり、団地には豊かな暮らしの可能性が見えてきました。
豊田
MUJI HOUSE設計担当の豊田です。設計目線から今回のリノベーションのポイントについて説明させていただきます。

このプロジェクトへの思い、考え方
まず、今回のプロジェクトでは、団地にあまり馴染みの少ないであろう若い人をターゲットとしています。若い人に団地の魅力を知っていただくことで、入居いただき団地の活性化を図りたいと考えています。

大切にしたのは3つの考え方です。
1:環境やコミュニティといった団地での暮らしの良さを新たなリノベーションを通じて伝えたい
2:古いものを大切にしながら新しい価値を与えるリノベーションを提案したい
3:『賃貸=借りて住む』ことの楽しく魅力的な選択肢をもっと増やしていきたい
という思いを共有した上でプロジェクトを開始しました。



1つめは、「団地の暮らしの良さを大切にする」についてです。
豊田
この写真は、現在の団地の写真です。URの団地は、先程ご説明した通り、緑豊かな住環境、陽当りや風通しの良い間取り、心地よいコミュニティを形成しています。この団地の良さを大切にし、伝えたいと考えています。


2つめは、「古いものを見直し、新しくする」についてです。
豊田
この写真は、先程もお見せした当時の写真です。当時は最先端でしたが、40年以上経過している現在では、住居にもとめる機能や性能、デザインなどは大きく変化しており、当時のままでは陳腐化している状況ともいえます。
そこで、今ある昔作られたものを活用しつつ、新たな価値を付加することで、古いものを活用した新しいモノに生まれ変わらせることを検討しました。


3つめは、「『借りて住む』を魅力的にしたい」についてです。
今までは住宅双六(じゅうたくすごろく)といわれるように、賃貸に住んだあと、家を購入するというのが一般的でしたが、家を購入する以上に賃貸に住むことを魅力的にしていきたいと思います。今回は、団地リノベーションという考え方で、MUJIとURがコラボレーションして、新たな住戸プランを提供することで、 「借りて住む」賃貸住宅の魅力をさらに高めていくものです。

これらを踏まえ、MUJI×UR団地リノベーションプロジェクトを実施しています。