MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト リレートーク vol.1
団地の再生の可能性を考える ~建築、コミュニティ、福祉サービスのかたち~

※このレポートは、2014年4月22日に日本デザインセンターPOLYLOGUEで行われた、パネルディスカッション式のトークイベントを採録しています。

スピーカー

大月 敏雄氏

東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 教授。専門は、建築計画、住宅地計画、ハウジング、まちづくり。特に集合住宅計画、住宅地計画、海外のスラムのまちづくりなどを主たるフィールドワークとしている。

スピーカー

栗原 徹氏

UR都市機構。東京都心部から地方都市まで、多くのまちづくりや住まいづくりに幅広く関わり、平成26年3月までストック事業推進部長としてMUJI×UR団地リノベーションプロジェクトを担当。

モデレーター

土谷 貞雄氏

株式会社貞雄代表。2014年5月まで無印良品のコミュニケーションサイト「くらしの良品研究所」「みんなで考える住まいのかたち」で、コラムの執筆やアンケートなどを行い、コミュニケーションを通したものづくりや共感の仕組みづくりを実践。現在はフリーランサーとして、企業のウェブコミュニティサポートを中心に、「HOUSE VISION」の活動でアジア各地の研究会など、暮らしに関する研究会を多く企画している。

土谷
みなさん、こんにちは。今日はお越しいただきありがとうございます。今日は東京大学で建築計画を専門としている大月先生と、UR都市機構からは団地のストックをどう活用するかを検討する東日本賃貸の責任者の栗原部長に登壇いただいています。まず初めに、今回開催に至った経緯について説明いたします。

無印良品とURは、MUJI×UR団地リノベーションプロジェクトを3年前からやっています。それと合わせて去年10月から関西でトークセッション 「大学と語る団地の未来」を始めました。これは具体的なプロジェクトを通しながら、コミュニティの再生をどうしたらよいのかを事例を通して話すことを目的としています。一つめは、空き家問題です。日本の家では平均で13%、京都は20%、5件に1件は空き家になっているということが起きています。この先、団地や住宅エリアは生き残りがうまくいくところと、いかないところがあるのではないか。大阪大学の北先生、建築家の藤村龍至さんと一緒に千里青山台団地をまわってそんな話をしてきました。次に、武庫川女子大学の水野先生とのトークセッションでは、武庫川団地の共同作業について、長い間四苦八苦している話をうかがいました。
2014年5月23日には、京都大学の高田先生と「団地の再生とシナリオアプローチ」というテーマで、コミュニティに対して、どのようにシナリオをつくり、どのように貸し家関係をしていったらうまくいったのかお話しいただきます。
ということで、大阪は大変盛り上がっているのですが、ぜひ東京でもやろうということで、この団地再生リレートークというイベントをはじめました。これから約1年間、毎月を目安に開催していきます。初めの半年は大学の先生に、後半の半年は建築家の方々に関わってもらいながら、進めていこうと思っています。

少しだけ、MUJI×UR団地リノベーションプロジェクトについて説明します。「つくりすぎず、こわしすぎない」というコンセプトでリノベーションをした部屋は若い方に人気で、大変入居倍率が高くなっていて、このプロジェクトのひとつの意義は、若く、賢く住まいを選びたい、そういった新しい入居者を促進していくということにありました。
一方、この大学リレートークでは、もっと大きな意味で、団地そのものを研究したり、団地というものがある意味社会の縮図のようなものなので、団地をどういうふうに再生していくのか、ということに取り組んでいる先生方のお話しを聞きそのディスカッションした内容を無印良品のウェブサイト上で、もっと多くの人たちに知ってもらって、社会の問題としてとらえていく、共有していくということにつなげていければと考えています。
では大月先生、よろしくお願いします。