MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
団地リノベーション完成 ここだけの話 2015

※このレポートは、2015年1月8日に3*3Laboで行われた、パネルディスカッション式のトークイベントを採録しています。

パネリスト:

増重 雄治氏

UR都市機構。阪神・淡路大震災の復興住宅プロジェクトに従事、現在はUR都市機構東京エリアの設計担当として、住戸改修・耐震改修などを通じ、安全・安心な住環境づくりに取り組んでいる。

パネリスト:

小林 由実氏

UR都市機構。新規団地の設計、住戸改修・耐震改修などの工事に従事、現在は、UR都市機構埼玉エリアの設計担当として、子育て同様に主婦目線で住環境づくりを育んでいる。

パネリスト:

中田 諭氏

UR都市機構。再開発のコーディネートや団地建替えなどに従事、現在はUR都市機構千葉エリアの住戸改修・耐震改修の計画を担当し、都市再生の経験を活かした、住環境づくりに取り組んでいる。

パネリスト:

豊田 輝人氏

株式会社MUJI HOUSE「無印良品の家」商品開発担当。
無印良品の家を中心に、マンション・戸建分譲・リノベーションなど、無印良品の住空間新プロジェクトにも携わる。

モデレーター:

川内 浩司氏

株式会社MUJI HOUSE取締役住空間事業部開発部長。
無印良品の家を中心に、マンション・戸建分譲・リノベーションなど、無印良品の住空間新プロジェクトを統括。

川内
みなさん、こんばんは。今日はお集まりいただきありがとうございます。無印良品とUR都市機構による「MUJI×UR団地リノベーションプロジェクト」は3年目を迎え、新団地のリノベーション住戸の入居者募集が決まりました。
MUJI×UR団地リノベーションプロジェクトは、これまでにない暮らし方を賃貸住宅で実現しようとする試みです。古いものを壊してつくり変えるのではなく、愛着を持って長く丁寧に住みつないでいく。団地の明るさ、風通しの良さを活かしながら、新たな時代の暮らし方にあわせていく。皆さんと一緒に、新しい地域コミュニティのかたちや、団地の再生についても考えていくプロジェクトです。
本日のトークイベントのテーマは「団地リノベーション完成ここだけの話」。
「こわしすぎず、つくりすぎない」というコンセプトで完成した住宅。すべてを壊すのではなく、使えるものは残し上手に活かすこと、住み手が自由にできる余地を残すことができるように、様々な工夫を行っています。この開発担当者が、新団地・新プランについての設計コンセプトや施工・設備仕様の詳細について、苦労話や裏話をまじえて語ります。
まずは、MUJI×UR団地リノベーションプロジェクトについて、開発担当の豊田より説明させていただきます。よろしくお願いします。
豊田
MUJI HOUSEの豊田と申します。よろしくお願いいたします。本日は、お集まりいただきありがとうございます。早速ですが、「MUJI×UR団地リノベーションプロジェクト」の内容について、ご説明させていただきます。
まず、はじめに、暮らしのスタンダードをそれぞれ考えてきた無印良品とUR都市機構様が一昨年出会いました。無印良品は暮らしの本質をみつめる専門店として、生活の基本となる小物から家までつくってきました。一方URは、戦後、団地を通した日本のライフスタイルの提案や団地建設による技術開発、調査研究を行ってきました。この両者が団地のもっている様々な可能性を活かして、これまでにない新たな暮らしを賃貸住宅で実現しようとする試みとしてスタートしました。

プロジェクトの思い、考え方について、「課題」と「魅力」に分けてお話します。まずは「課題」からご説明すると、何よりも空き家が多いということ。これに関しては、今までの一般的なリノベーションとの違いを明確にだすことで、今までとは違ったターゲットの人を入れることを意識としました。「高齢化」の課題については、団地に関わりの少ない30代がより魅力を感じてもらえると考えました。もう一つの課題が「コスト」。通常改修と同じコストを目指したことで、このプロジェクトが一回で終わるということではなく、全国に広げられる商品とすることを考えました。
次に「魅力」についてです。「古さ」に対しては、ビンテージジーンズを好むような、ここにしかない住まいを目指しました。そして「陽当たり・風通しが良い」点。一般のマンションは敷地いっぱいで建てていることが多いのですが、団地は建物の間隔があいていて、陽当たりも良い。それを活かせる設計を考えました。そしてURは、全国に75万戸の団地を管理しています。同じ間取りがたくさんあるので、1つテスト的に設計/施工することができました。また、できたものをコピーして他の部屋に展開できるので、施工者のスピードや精度を上げていくことができました。
今では多くの方に、新しい暮らしを提供することができるようになりました。