


MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト リレートーク vol.5
世界の団地再生・日本の団地再生
※このレポートは、2015年3月11日に行われたトークセッションを採録しています。
スピーカー:
松村 秀一氏
東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授
専門は、建築構法。主な著書に「2025年の建築『七つの予言』」(2014年)、「箱の産業─プレハブ住宅技術者たちの証言」(共著/2013年)、「建築─新しい仕事のかたち 箱の産業から場の産業へ」(2013年)、「場の産業 実践論」(編/2013年)、「団地再生-甦る欧米 の集合住宅」(2001年)など。
スピーカー:
高原 功氏
UR都市機構 東日本賃貸住宅本部ストック事業推進部長
UR(当時住宅・都市整備公団)入社後、まちづくりや住まいづくりに従事。平成19年、ストック再生実証試験「ルネッサンス計画1」の企画・設計を担当。平成26年4月から、ストック事業推進部長として、MUJI×UR団地リノベーションプロジェクト、ストック再生・再編及びウェルフェア業務を所掌。
パネリスト:
土谷 貞雄氏
株式会社貞雄代表
コラムの執筆やアンケートなどを行い、コミュニケーションを通したものづくりや共感の仕組みづくりを実践。現在はフリーランサーとして企業のウェブコミュニティサポートを中心に業務を行う。また「HOUSE VISION」の活動でアジア各地の研究会など、暮らしに関する研究会を多く企画している。編書に「無印良品とみんなで考える住まいのかたち。」(2013年)など。

- 土谷
- ようこそお越しくださいました。『団地再生リレートーク』は、今回で五回目となり最終回となります。今までMUJI×UR団地リノベーションプロジェクトでは、具体的にリノベーションをしていくということと同時に、リノベーションによる新しい暮らしはどうつくっていくのかということを考えています。特にコミュニティやコンバージョン、または今の団地リノベーションで何が起きているのか、ということを考えてきました。東京で行ったトークイベントの前に、大阪でも開催しています。
今日は松村先生からお話をうかがうのですが、その前にUR都市機構の高原部長からMUJI×UR団地リノベーションプロジェクトについてお話をうかがいたいと思います。 - 高原
- UR都市機構の高原と申します。MUJI×UR団地リノベーションプロジェクトについてご説明させていただきます。無印良品さんは、日常生活全般に亘る商品について、シンプルなものを追求しつつ、愛着を持って長く使っていただくための取り組みをされており、URとしても、団地に愛着を持って何世代にも住み繋いでいただきたい、という二つの思いが合致しまして、従来のスクラップアンドビルドとは異なる団地リノベーションを平成24年、西日本支社から始めています。
そして、URの良い部分を生かしながら、無印良品さんの知恵と工夫を盛り込む、そんな形で実践しています。コンセプトは『こわしすぎず、つくりすぎない』。やはりURの昭和40年代の団地は、新築や築年浅のマンション等と比べますと劣る部分もありますので、団地ならではの良さといったものをしっかりお知らせしていこうと考えています。
そのため、《生かす・変える・自由にできる》というキーワードで本プロジェクトを推進しています。
《生かす》については、従来のUR賃貸ですと、全部一回つくり変えてしまうことが多いですが、鴨居や柱を生かすことで団地の良さを伝えていきたいと考えています。
《変える》については、組合せキッチンや麻畳・麦わらパネルなど、無印良品さんと共同で開発しております。
《自由にできる》については、住まい手の皆さんが住まい方に対し自由に個性を出していただく。こういった取り組みとなっています。
MUJI×UR団地リノベーションプロジェクトも平成26年度で3年目になり、東京・千葉・埼玉・名古屋・大阪・神戸の14団地で取り組み200戸ほど供給をしておりますので、是非どこかの機会でご覧ください。 - 土谷
- ありがとうございました。それでは、松村先生の講演に移りたいと思います。松村先生についてはご存知の方も多いと思いますが、専門は建築構法の教授でいらっしゃいます。しかし松村先生はハードについてだけでなく、建築の役割、または今の多様な価値観が溢れる中で、どういう風に時代と共に変化しているのか、産業としての建築についてもお話いただきます。特に最近のリノベーションについては、若者をリードしてリノベーション業界を牽引しています。今日は先生が、1994年から2001年までの団地再生について研究された成果を踏まえてお話頂きます。
また、先生の最近の著書「2025年の建築(七つの予言)」はすごく面白い本で「これからは建築をつくることが目的ではなく、どう活用するかが重要である」そんなことが書かれています。それでは松村先生、よろしくお願いします。