MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
団地リノベーション完成 ここだけの話 2015

※このレポートは、2015年1月8日に3*3Laboで行われた、パネルディスカッション式のトークイベントを採録しています。

豊田
このプロジェクトでは3つの考え方を大切にしています。

・環境やコミュニティといった団地での暮らしの良さを新たなリノベーションを通じて伝えたい。
・古いものを大切にしながら新しい価値を与えるリノベーションを提案したい。
・『賃貸=借りて住む』ことの楽しく魅力的な選択肢をもっと増やしていきたい。

これらの思いをチームメンバーで共有した上でプロジェクトを開始しました。

1年目は大阪で。2年目は東京進出し、高島平団地にも展開しました。

リノベーションで大切にした考え方として、「生かす」「変える」「自由にできる」ということを掲げていました。古くなった住戸をすべてなくして、新たにつくり直すのではなく、それまでの歴史を生かして、残すことで、新築ではできないここにしかない魅力を出すことを意識しました。 さらに、変えた方がより魅力的になる部分は、新たに付け加えました。
また、一般的な賃貸住宅は間取りが固定されていて、自分の暮らしを間取りにあわせなければならないですが、そういった暮らしを解放することを考え、住み手が自由にできる部分をつくっていきました。
1)生かす

豊田
古い柱や鴨居といった木部は経年変化をして味わいがあります。団地の象徴の1つと考え、残すことで空間のアクセントとしました。
豊田
以前は押入だった部分は、襖をはずして、部屋と繋げました。部屋の一部としても使えますし、収納としても使えます。また、押し入れの形はそのまま残して白く塗装することで、古い団地の記憶を残しました。
豊田
建具も残しています。古くてもシンプルで使いやすい機能と形のある取手を残しました。このような部分は、昔から変わらない普遍的な良さがあります。

2)変える
続いて変えた部分です。

豊田
組合せキッチンです。このプロジェクトで共同開発をしました。団地に合うように、必要最低限の機能をコンパクトにまとめたオリジナルのキッチンです。テーブルや収納を自由にレイアウトできます。
豊田
これは床材で使用した麻畳です。これもオリジナルで開発しました。表面に麻を使うことでさらさらした足触りです。縁をなくすことですっきりとしたデザインとなりました。
豊田
フローリングをどう変えるか、も課題でしたが、床材として「麦わらパネル」を使用しました。これまで単に燃やされていたり、肥料として地中に埋められていた麦わらを有効利用したものです。さらっとした足触りの天然素材の床です。
豊田
電気配線を整理し、雰囲気に合うカバーをつけました。

3)自由にできる

豊田
次に「住み手が自由にできるところ」です。さきほどご紹介したキッチンは「組合せキッチン」といってキッチンとテーブルが同じ高さ・素材で出来ています。そうすることで一列に並べたり、向かい合わせに置いたりなど、様々な使い方が可能です。
豊田
麻畳は表面が強いので、床に座る生活だけでなく、テーブルやソファを置くこともでき、和風はもちろんのこと、洋風の暮らしでも選ぶことができます。
豊田
無印良品のシェルフを組み合わせて間仕切としても使えるようにしました。暮らしによって間仕切り方を変えることができます。団地の内装に無印良品の家具の寸法が調和するので、部屋全体が気持ちよく整理できます。
これは部屋の壁一面を収納として活用した場合です。
豊田
もともとは布団など大きなもの以外は収納しづらかった押入ですが、シェルフを並べることで洋服や生活雑貨など小さなものも収納しやすくなりました。

これも、共同開発パーツですが、先ほど説明した麻畳と、このダンボールふすまです。
豊田
団地の雰囲気自体を変えたいと思って開発しました。

今年度は、その派生系として「半透明ふすま」を新たに開発しました。
豊田
玄関や廊下が暗い場合、玄関やリビングに使うことで、玄関や廊下に光を届けようと思ってつくっています。

キッチンですが、今までは「組み合わせキッチン」を採用していたのですが、幅が狭い等の声もありましので、新たに開発したのが「持出しキッチン」です。3口コンロになっています。