MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
団地リノベーション完成 ここだけの話 2015

※このレポートは、2015年1月8日に3*3Laboで行われた、パネルディスカッション式のトークイベントを採録しています。

小林
次に武里団地の紹介をさせていただきます。

武里団地

昭和41年に建てられた武里団地は約6,000戸、団地エリアそのものが大きな街のように設計されています。 時間をかけて育った緑は、団地の背骨となっている街路樹だけでなく、団地内にも多数みられ、環境の良さを存分に味わって生活頂けます。 せんげん台駅は上野駅から35分程度の利便性で、これだけの緑を眺めながら暮らせる魅力的な武里団地です。
小林
そんな武里団地では2タイプご用意があり、どちらももとのプランは和室3室の昔ながらの団地プランを1LDKタイプに変えています。 MUJI×UR Plan 12は、南北の和室をリビングとダイニングとして一体的につなげて広々とお使いいただけるプランになっています。
小林
ダイニングとリビングを遮る壁もないので、南北に風が吹き抜けて心地よい空間です。
小林
40年代団地のキッチンは、幅1.8mサイズのもので、通常レンジフードが設置されている壁に換気口があいています。建設当初は台所にお湯が出ず、換気扇はプロペラファンでしたが、その後、台所にお湯を出すために給湯器のあるレンジフードを設置するようになりました。
今回のMUJI×URのプランではベランダ側に給湯器を設置し、換気扇はレトロな風合いのあるプロペラファンに戻すことでキッチンの上部空間がすっきりしています。
2.5mのロングカウンターのキッチンを配置し、ダイニングとの境界に小天井を設けて配膳スペースにするもよし、 お皿やキッチン用品を飾るのもよし、好きな暮らし方を演出できます。
もともと洗濯機置き場がない間取りでしたので、玄関脇に洗濯機置き場を設置しました。浴室に排水する形になります。

MUJI×UR Plan 17は、効率的な家事動線を考慮し、台所の背面に洗濯機置場を設けたプランです。 先ほどのプランと異なりリビングとダイニングはゆるやかにつながっており、それぞれ独立した使い方もできます。
小林
リビングダイニングのつながり方が緩やかなため襖を閉めると独立した使い方もできます。襖を開けておけば南北の風通しも実現できます。
小林
キッチンに立ちながら振り返ると洗濯機があり、忙しいお母さんには嬉しい配置となっています。
小林
キッチンはこちらもロングカウンター型のキッチンになっています。 換気扇はレトロな風合いを持ち、お掃除も簡単なプロペラファンを選定、キッチン上部をすっきり納めています。
小林
昭和40年代の団地を改修する場合、プランニングを決める最大のポイントとして洗濯機の排水方法があります。 50年前に建設された当時、洗濯機はまだ生活に取り入れられていませんでしたので、当然洗濯機の排水は設けられていません。 武里団地では浴室に間接的に排水する手法と、台所排水管に合流する手法のそれぞれを用いてコンセプトに合うプランを設計しています。
小林
埼玉のMUJI×URプロジェクトでの最大のポイントはコストダウンでした。 今回の団地の中で家賃帯が最も安く、いかにコストをかけずにMUJI×URらしさを演出するか?が勝負でした。 当初の設計では、床の仕上げは他の団地同様シート貼りとなっていたのですが、既存床の状態がよかったこともあり コスト縮減のために塗装仕上げで行く決断をしました。
既存木床は、空き家になるたびに塗装を塗り重ねており、無塗装のキッチン下とだいぶ色が変わっているのがわかります。 右の1回目塗装ではまず空き家で塗り重ねた色をなくしますが、刷毛の跡が目立っています。
小林
2回目の仕上げをすると、もとの床の色は全くなくなりMUJI×URイメージのホワイトの床に仕上がります。それでも職人さんはどうしてももう一度塗装したほうがより白くなると塗りたがるところを、既存の木床のよさを損なわない程度でストップです。
小林
既存の木床の目地を活かしつつ、シートと比べて肌触りの良い温かい仕上がりとなりました。
川内
ありがとうございました。武里団地に関しては、できる限りリノベーションのコストを落として実践しました。床も当初はシートをはろうと思いましたが、そのままの床を塗装で仕上げました。床に限らず、いろいろな部分を新たにしようとするとコストがかってしまうので、古いものをできるだけ残して施工していきました。今までのMUJI×URプロジェクトの中のでは、一番もとの状態が残っている団地となりました。
管、排水管を隠すという方向でリノベーションを進めると、新築のようになってしまいます。きれいなものに入れかわってしまうので、逆に団地の魅力が伝わらなくなってしまいます。古い物を残して見せると割り切ったことで、非常に古さと新しさが混在するとても良い空間になりました。この部屋に安い家賃で入居できるのは魅力的なのではないでしょうか。 では次の団地、千葉真砂団地の説明をお願いします。