MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
3/10 MUJI×UR トークセッション 「災害時における地域コミュニティの役割」
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~町田山崎団地の現地中継~
中継先
こちらはDANCHI Caravanの会場です。 - 河田(中継先)
- UR都市機構のABC-Projectの河田と申します。
- 所(中継先)
- 同じくUR都市機構ABC-Projectの所です。よろしくお願いします。
- 石川(中継先)
- 無印良品ソーシャルグッド事業部の石川です。よろしくお願いします。
- 松枝
- よろしくお願いします。
- 石川
- では、早速団地を紹介しながら商店街へ向かいたいと思います。
- 河田
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僕の方から団地の特徴を3つお伝えします。まず1つ目が1968年に管理を開始したところ。2つ目が住戸数が3920戸もある、とても広い団地になっています。
最寄り駅からバスで20分ぐらいのところに位置しています。
いわゆるTHE団地 になっていて、「DANCHI Caravan」を通していろんな世代の方が集まる団地になっています。 - 所
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ここは商店街なのですが、名店会と言います。
パン屋さんがあったり、自治会さんの事務所があったり。
カルチャースクールで習い事をするような場所があったりとしますが、団地ができた時から入っていただいている店舗もあります。あ、なにかやっていますね。
- 石川
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山崎高校の皆さんが、自治会の皆さんが作った豚汁を販売してくれています。
自治会の皆さんには、防災の時に使う機材をイベントの時に使ってもらい、機械の棚卸や使い方の再確認を必ずしてもらっています。
こちらはURの本社の皆さんです。 - URマルシェの方
- UR東北復興マルシェです。岩手、宮城、福島の美味しい特産品を取り扱っています。URの職員です。
- 所
- 現地のものを持って来て、売ってくれているんですよね。
- URマルシェの方
- はい。一部、福島のものは事業者さんからご協力いただいて販売しています。
- 石川
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「DANCHI Caravan」には、ここ数年、出てもらっています。
あと、団地のスペースでいろんなワークショップがあったり、休憩スペースを作ったりしています。 - 河田
- 今回、自衛隊や警察署、消防署など、本当にいろいろな方が協力してくださっています。
- 石川
- 昔は昭和の駄菓子屋さんだったところを、除村さんがおしゃれにリノベーションされました。
- 除村
- こちらは駄菓子屋さんです。この商店街ができた時からあった駄菓子屋さんの屋号を引き継いで、新しいスタイルで始めて4年目になります。
- 河田
- 出身はどちらですか?
- 除村
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町田山崎です。
山崎大好きです。山崎しか知らないくらい。 - 石川
- イベントも商店街も地元の方たちに支えられ、活性化が年々進んでいます。
- 所
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これから町田山崎団地商店街の中から、もう1つの会場の赤さく広場に向かいたいと思います。
3900戸以上もある団地なのですが、5階建てぐらいの建物がぽつぽつ建ちながら、その間に広場がたくさんあります。「DANCHI Caravan」を始めたきっかけにもなるのですが、町田山崎団地にはこういった屋外空間がたくさんあり、起伏も多くある場所なので、このような場所を“どう使うか”を実践したいと考えました。
団地に住まわれている方だけではなく、団地の周辺に住んでいる方にも、もっともっと使ってほしい・知ってほしい、町田市外の方にも伝えたいというところがあり、「DANCHI Caravan」を始めました。
その中で、自治会さんともお話していくと、自治会さんも高齢化が進む中、次世代の担い手につなげたい、団地を活気づけたいという気持ちがあることを伺い、URとしても「一緒にやりましょう!」ということでイベントを開催しました。自治会さんと共催で良品計画さんに運営企画で入っていただいたのがスタートです。
自治会さんを含め、どうやって地元・自分の住んでいる町に興味を持ってもらうのか?を考えたところ、自分ごとになり得る「防災」というところをテーマにしようと、良品計画さんとも話しながら決めていきました。「防災」をよくある型にはまった「防災」イベントにするのではなく、楽しみながら・屋外空間を活用しながら学ぶイベントにしてみようということで、「DANCHI Caravan」の中身が決まっていきました。
屋外空間の使い方・楽しみ方は色々あり、広場の中でヨガのワークショップをしてもらったり、屋外で遊べるコンテンツをたくさん用意して、団地で開催されるイベントを通じて、自分の住む町に住んでいる人たちを知ってもらい、顔馴染みになってもらう。名前は知らなくても、顔を知っているだけで何かあった時に「あの時いた人だ」などと、話すよりどころになればいいなという想いもあり、イベントを続けています。
- 所
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2014年度から始めているので、そろそろ10年が経ちます。
コロナ禍もあり、今回で7回目の開催になるのですが、地元の方も「今年もやるのね」と声をかけてくれるような、地元に根付いたイベントになったかなと思います。 - 石川
- 年々規模が拡大していて、初めのうちは団地の中での開催でしたが、途中から先ほど紹介をした名店会の方々も一緒に開催をしてくれるようになりました。さらに町田市のコミュニティーセンターも加わってくれ、今年はなんと隣の団地の木曽住宅も加わり、さらに大きく広がっていくイベントになっています。
- 河田
- そうですね。関係してくださっている方が確か40団体以上いらっしゃり、周囲の大学や高校、団地にある自治会さんや名店会さん、他にもいろんな民間企業の方にご協力いただいています。
- 石川
- そろそろ「赤さく広場」に到着します。
- 松枝
- こちらの場所で開催されているイベントの紹介などを、ご案内いただいていいですか。
- 河田
- こちらは「赤さく広場」というところで、芝生が広がっているエリアになります。今回のイベントでは、いろいろな体験ができるコンテンツが集まっているのと、夜はこちらでキャンプ宿泊が行われるので、テントを張っていただく場所になっています。
- 河田
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受付・案内所がこちらになるのですが、僕の一押しコンテンツが行われているので紹介をします。ここに紙で作られた葉っぱがあるのですが、「防災に関してどういったことを想像しますか?」というアンケートを取り、この葉っぱに記入していただきます。記入した紙の葉っぱを台紙に貼ってもらうのですが、皆さんに記入していただいた葉っぱが集まると木になるようになっています。
受付・案内所はスタンプラリーの中継地点にもなっているので、広い会場の中を周ってもらうようになっています。
中央にはキャンプファイヤーがあるので、その周りを囲んでご飯を食べたり、ゆっくりしてもらえるような空間にしたいと思っています。
今回のイベントでは、桜美林大学の学園祭の実行委員の方には一緒にコンテンツを運営してもらっています。元気に協力してくださり、とても助かっています。 - 石川
- これからお子さんが薪割り体験をしますね。
- 河田
- 体験も、やったことがあるかないかとても大事です。日常では体験できないこともやりつつ、こういった経験を通じて楽しかった思い出にもしてもらいたいと思いますし、震災などが起きた時にも、「体験したことがある」と言える人たちがどんどん増えていくとコミュニケーションが生まれます。被災した時はこどもたちも笑顔がなくなってしまいます。そういった時にこそ、こどもたちが楽しく遊んでいる声というのがすごく大事だということは最初からずっと言っているので、「楽しみながら防災を学ぶ」というのが、今まで一貫してやってきているところです。
- 石川
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「防災」というテクニックにこだわらず、楽しむ。こどもたちの笑顔が大人たちの心を和らげていくので、こどもたちの笑顔をみることが出来るイベントになっていますね。
お隣の森の素材を使った近隣の正和幼稚園さんと、東京・森と市庭さんが一緒に、地域のこどもたちに自然の素材を使って遊べるコンテンツを実施してくれているところです。 担当をしてくれている五十嵐さんです。 - 五十嵐
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東京・森と市庭の五十嵐です。よろしくお願いします。
奥多摩で製材所をおこなっており、製材で出た端材や丸太などを使い、こどもたちに「街を作ろう」というテーマしか与えずに、自由にこどもたちの作りたいものを作ってもらっているワークショップを行っています。 - 石川
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ありがとうございます。
あちら側には無印良品のお店が出店しています。では、かまどベンチに移動しましょう。 - 河田
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UR都市機構のABC-Projectという有志のメンバーが、かまどベンチを実際に使用して、ポップコーンをふるまっています。
「URも何かコンテンツを提供したい」という話になり、「かまどベンチを実際に使ってみる体験」を企画しました。
「かまどベンチがあることは知っているけれど、実際に使用したことがないよね」という話と「災害時に使ったことがない人は使えないのでは?」という意見もでたため、地元の方々と一緒に、使ってみようというコンテンツです。 - 石川
- 午前中にこちらに伺ったのですが、たくさんの方に参加していただいていました。こどもたちだけでなく、お年寄りの方たちも楽しみながらポップコーンを食べてくれていましたね。
- 河田
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ポップコーンをかまどベンチで作っています。
かまどベンチは通常、普通のベンチとして使用が出来るのですが、非常時はかまどとして使用することができます。今回は、来場者としてこどもたちが多いというのもあり、ポップコーンを作りながら、体験が出来るようにしました。
また、防災食体験として、アルファ米を五目味で50食分を、みなさんにお配りしています。意外と五目ご飯にしたら美味しくて、人気でした。 - 所
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去年は自治会さんも一緒にかまどベンチを取り外して使用しました。今年は山崎高校の皆さんと一緒に使用しています。
こちらも経験があるのかないのかがとても大切です。我々URの職員でも使用したことがない人がたくさんいるので、このイベントを通じて体験をしていただいています。 - 石川
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ポップコーンがいい感じに出来あがっていますね。
このかまどベンチはURさんの団地にどれくらいあるものなんですか?
ほとんどの団地に少しずつ設置されている感じでしょうか? - 所
- そうですね。多くの団地に設置されています。我々の取り組む事業の中では、マンホールトイレだったり、防災倉庫も整備することがあります。
- 石川
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イベントを運営しながら思ったのが、かまどベンチのところにちょうど木が生えているので、かまどベンチにのこぎりが入っていたらいいなと。薪や炭を家に常備している人はほとんどいないので、被災した時の手元に無いと思います。かまどベンチを開けたらノコギリが入っていて、団地の中の木を切って使うことかできたら素敵だなと。
本当は火のもとになるライターなどが入っていた方がいいですよね。でも、日常的にそういったものを置いておいて安全か?という問題があるので、正解が何か分からないけれど、実際に使用しながら、若い方の意見も聞きながら、常にブラッシュアップしていくようなものになっていければいいなと思います。 - 松枝
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ありがとうございます。
今後の「DANCHI Caravan」の展望をぜひ伺いたいです。
- 河田
- 個人的な目標をお伝えすると、今回の「DANCHI Caravan」はUR都市機構のABC-Projectという有志メンバーが運営していますが、自衛隊や警察・消防、民間の企業、自治会、名店会など40以上の方にご協力いただいて成り立っているイベントです。関わってくださっているすべての方が、個人個人で「よかったね」と感じることができる2日間にしたいなと思っています。それが実現できれば今後もこのイベントは継続して行われていくと思いますし、イベントの目的である「つながる防災まつり」も達成できるのではないかと思います。
- 所
- URはこの団地だけではなく、全国のいろいろなところにあります。町田山崎団地では、火を使用したり、我々としてはチャレンジングなことをしています。こういったことがきっかけで、「URの団地であんなことができるんだ」と思ってもらえれば、その場所ごとに特色のある取り組みなどがどんどん全国・世界に広がっていくのではないかと思うので、今後も様々な取り組みを実施して、社内・社外のいろいろな方々に知っていただきたいと思っています。
- 石川
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町田山崎で防災イベントをスタートさせてから10年関わっていると、社会的問題のようなものも見えてきます。その問題、URの皆さんも含め、地域の皆さんや40の団体の方々がイベントをきっかけに感じ取ってもらい、少しずつですが何かが変わっていけるといいなと思っています。
恐らくこういった問題は、日本全国どこにでもある問題なんだろうなと思っています。 - 松枝
- ありがとうございます。 熊澤さん、本田さんから聞いてみたいことがあれば、ぜひお願いします。
- 熊澤
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URの熊澤です。
今見せていただいた中で、団地に備えた防災備品を自治体さんがこのイベントの度に出して、使用して、使用できることを確認しているとご紹介いただきましたが、本当に良いことだと思いました。 URの団地でも防災備品を備えていますが、備えたらそれで満足して終わってしまっていることがよくあると思います。
いざという時に使えるようにしておくために、イベントで「確認する」というのはとても良いきっかけだなと思いましたので、ぜひイベントをこれからも充実させていっていただき、その中でいざという時の備えにしていただけたらなと思いました。
- 石川
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ありがとうございます。
自治会さんでも防災自治区の倉庫のようなものを持っているのですが、その倉庫も実は1年間あけていないため、倉庫に何が入っているのかが分からなくなってしまっています。
そういったことを含め、防災備蓄をイベント時に1度使用して、棚卸を行うことで、必要なものはまた調整して増やしたり、使用していないものは処分を検討することができます。自治会さんだけではなく、イベントに携わる我々や外から参加されている方、URの皆さんも含め、地域に係るみんなの目で見て確認をしていくということがとても大事なことだと思っています。 - 松枝
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ありがとうございます。
本田さんかはいかがでしょうか? - 本田
- 毎年楽しく「DANCHI Caravan」を実施していると思うのですが、今回のトークイベントのキーワードが「コミュニティ作り」なのですが、この「DANCHI Caravan」を通して日常のコミュニティに繋がった事例などがありましたら、ぜひ教えていただければと思います。
- 石川
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はい、ありがとうございます。
この「DANCHI Caravan」が始まってから7回目となります。去年ですが、近隣の幼稚園と名店会と自治会・URの皆さんでこどもたちのための「冒険活動」を団地の余剰スペースに整備し、今も月1回開催しています。
町田山崎団地には計画道路という場所があるのですが、今のところ道路になる計画は進んでいません。その場所を畑などにすることで、「冒険活動」をしているこどもたちがバーベキューをすることができる場所だったり、バーベキューで食べるための材料を育てたりできるような、いわゆる「こども会」を復活させるような活動に少しずつ繋がってきています。
- 本田
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ありがとうございます。
まさに「いつものもしも」で、防災の取り組みが日常的に楽しくこどもたちの生きる力に繋がる、とてもいいコミュニティ作りだと思いました。 - 松枝
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石川さん、河田さんはじめ、町田山崎団地の皆さん、ありがとうございました。
いろんなことをお伝えさせていただきましたが、少しでも、皆さんの周りでも、大なり小なりいろいろなイベントや取り組みがあるのかなと思いますので、いいヒントとして持って帰っていただければ幸いです。
今回のトークイベントはこちらで終了とさせていただきます。ありがとうございました。
お集まりいただいた皆さま、ありがとうございました。
今後のMUJI×UR団地リノベーションプロジェクトの取り組みにご期待ください。