MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
8/10 MUJI×UR トークセッション 「うめきたってどうなるの?-今までとこれから-」

※このレポートは、2024年8月10日(土)に無印良品 グランフロント大阪で行われたトークイベントの模様を採録しています。

part4:URのまちづくり これからのうめきた
安田
10年前のまちづくりがこのグランフロント大阪でしたが、次に出来上がるのがグラングリーン大阪です。お待たせしました、ここからは先行まちびらきを迎えるグラングリーン大阪についてのお話です。
全部ではなくて一部になるのですが、2024年9月6日に、先行まちびらきを行います。
安田
こちらの資料にイメージがありますが、見るだけでわくわくしますね。みどりあふれる公園が大阪駅の前にできます。
愛称が「グランフロント大阪」に続いて「グラングリーン大阪」となり、ロゴに使用されている黄色い部分がアルファベットの「g」に見えますね。こちらはグラングリーンの「g」「g」となっていて、間にある緑色の部分はみどり豊かな公園を表現しています。

このうめきた2期、「グラングリーン大阪」が誕生するのに先駆けて、実は新しい駅ができているのをご存知でしょうか?
すでに利用したことがある方もいらっしゃるかと思いますが、大阪駅に新しく西口ができ、去年の3月に新しい駅が地下に誕生しました。
西口から地下で渡ると、うめきた、グラングリーン大阪の地下となります。JR大阪駅と呼ばれているので、新しい駅ができたという認識が薄いかもしれませんが、JR大阪駅の新しい地下ホームがこちらにできています。
安田
こちらの資料が、出発式の様子となります。先程お話をしました、KITTE大阪やイノゲート大阪という新しいビルができていますが、新しくできた西口改札から直結しています。
なぜここに駅を作ったのかというと、実はこのうめきたプロジェクトは、まちづくりと平行して「鉄道の地下化」という事業が動いていたためです。

こちらの資料が、出発式の様子となります。先程お話をしました、KITTE大阪やイノゲート大阪という新しいビルができていますが、新しくできた西口改札から直結しています。
なぜここに駅を作ったのかというと、実はこのうめきたプロジェクトは、まちづくりと並行して「鉄道の地下化」という事業が動いていたためです。

新大阪駅から関西国際空港方面へ行く「特急はるか」が、和歌山方面へ行く「くろしお」が出ています。大阪駅から関空に行きたいと思った時は、これまでは関空快速に乗る必要があり、実は約66分かかっていたんですね。

「大阪駅からもっと早く行きたい」という声に応え、大阪駅と直結した駅を新たに地下につくり、ここから「特急はるか」と「特急くろしお」に乗れるようにしました。それにより、関空に約46分で行くことができるようになりました。つまり、20分短縮しています。

たかが20分と思うかもしれませんが、世界から見ると、1時間を切ることは絶対必要となります。国際空港から都心まで1時間以上かかってしまうと、世界の人は来てくれません。
こういった事業も進めることで、世界中から大阪に来ていただくことができます。来年は大阪・関西万博もありますしね。そういった背景もあり、新駅の設置を含めたまちづくりを進めてきました。

駅には新しい技術がたくさん採用されています。フルスクリーンドアは世界初だそうです。

車両の長さが違う列車でも、乗車位置が異なる列車が来ても、ドアが自動で検知して動き、正しい位置でドアが開きる技術です。顔認証で通ることができる改札もできています。

フルスクリーンホームドアはどのような技術を使っているのかを聞いたところ、日本の「ふすま」からアイディアを得ているそうです。
このドアは上下で支えているのではなく、上からぶら下げているそうで、ドアをずらすことによって開口部の位置を変える技術だそうです。日本古来の技術を応用しているところが面白いですよね。
安田
グラングリーン大阪に何ができるのかについてお話をしたいと思います。
まず、中央にはうめきた公園ができます。「うめきた、うめきた」と何回も言ってきましたが、実は「うめきた」は地名としてはあまり出てこないのですが、この公園の名前は「うめきた公園」です。

このうめきた公園を挟む形で、大きなビルがたくさん立ちます。特徴的なのは紫の建物で、ホテルが3つ建ちます。
カタカナが並び読み方が難しいですが、ウォルドーフ・アストリア大阪とキャノピーbyヒルトン大阪梅田ができます。どちらともヒルトン系のホテルですね。ウォルドーフ・アストリアはヒルトン最上級クラスになります。最後の1つは、ホテル阪急グランレスパイア大阪となり、万博開催までには完成予定です。

資料のピンク色のところが商業施設で、ブルーのところはオフィスとなります。1番端には分譲住宅が建ちます。現在建設中ですね。

どんな施設でどんなことが楽しめるのか、資料を用意したのでわくわく想像していただきながら聞いていただければと思います。
安田
資料左上の写真のように、公園を見ながらインフィニティプールに入ることができます。とても贅沢ですね。その室内には温泉があります。
ARやVRなのか、どういう仕組みか詳細はわかりませんが、イルカと一緒に泳ぐ体験が出来るプールもあります。
こちらの写真はドバイのものになりますが、アジア初となるフードマーケットもできます。

ニュースで話題になりましたが、めちゃくちゃ高額の分譲マンションもできます。
資料の1番右側になりますが、484戸、地上46階のタワーマンションです。関西史上最高価格の25億円のお部屋だそうです。お部屋の中にエレベーターがあり、愛車を飾ることができる、車好きにはたまらないお部屋も用意されているみたいです。
安田
中でも、グラングリーン大阪の目玉は、中央にある「うめきた公園」になります。
先ほどお話しました、新しく出来た地下の駅と直結していますので、地下駅ホームを降りたらすぐKITTE大阪やうめきた公園に行くことができます。
大阪駅は1日約250万人乗降客がいるそうで、大規模ターミナル駅と直結している都市公園としては世界最大級ということが特徴になります。
広さは45,000㎡です。阪神甲子園球場や東京ドームがすっぽりと入る大きさとなっています。
安田
公園の中にも施設がいろいろと完成する予定になっています。例えば、健康プログラムが体験できる施設や、お子さま向けの施設があります。
資料の右下に「VS.」と書いていますが、こちらはミュージアムです。光のアートなどを皆さんに体感していただけます。こちらは9月に完成予定で、建築家の安藤忠雄さんが設計監修された施設となります。

公園の中がどのようになるのかをお見せしたいと思います。自分だったらこういう過ごし方をしたいなあと想像をしながら見ていただくと、あと1ヶ月後にそれが体感できたり、もっと楽しい使い方ができるかもしれません。

まずはこちらの絵は、右手がJR大阪駅で、皆さんがいらっしゃるグランフロント大阪が奥になります。目の前に広い芝生広場と大きな屋根がついた、広々とした公園が出来上がります。
安田
大阪駅に近い南側をサウスパークと呼んでいます。このサウスパークはあと1か月で全て完成しますので、来月から皆さんにお使いいただけるようになります。
芝生広場はいろんな使い方が想像できるかなと思います。
安田
こちらは大屋根から見たイメージとなります。コンサートやイベントをしています。このように使用すると、大都会で1万人規模のイベントができることとなり、他にはなかなかありません。
奥には水が地面から飛び出してきて遊べるスペースもできる予定ですので、お子さまにも楽しんでいただけると思います。

つぎに、ちょうど無印良品の店舗の目の前にある、北側にも公園ができます。9月の先行まちびらきのときには、そのうちの3割ほどが完成します。
安田
こちらは全てが完成したときのイメージなのですが、せせらぎや滝もできる予定ですので、常に水の流れや音を感じることができる、静かな落ち着いた緑の公園を予定しております。
安田
こちらの資料は、北側からJR大阪駅を見たイメージとなるのですが、2階に公園と公園をつなぐ歩行者だけの歩道橋ができます。こちらを歩いていただくと、安全に北から南へ、南から北へ行くことができますし、歩道橋に沿って四季を感じることができるよう、たくさんの樹木を植えています。

実はここまで、グラングリーン大阪や「うめきた公園」の実際の写真をお見せしていません。皆さんの目で直接、「こんなまちや公園ができているんだ」と感じて頂きたく、あえてイメージにてお伝えしていました。
イベントの第2部でぜひ、ご自身の目で確かめてみてください。

最後に、とても大切なお話をします。
かっこいい、きれいな公園ができるだけではありません。実は「うめきた公園」は皆さんの命や、まちに来られた方の命を守る防災公園となっています。
安田
資料の上に書いてありますが、大規模火災が起きてしまった時の広域避難地となります。災害時は、大体3日間滞在しないといけません。また、大雨が降り、公共交通機関が止まってしまい、自力で帰宅ができなくなってしまった帰宅困難者が滞在していただける公園となっています。

災害時は、水や電気、トイレがなくて困ると思います。うめきた公園は、資料の右側に「非常用トイレ」と書いてありますが、マンホールの蓋を外すと水がなくても使用できる非常用トイレを用意しています。また、電気が止まってしまっても、ソーラーで蓄電できる照明があるため、公園を照らすことができます。
水が止まっても、巨大な飲み水専用の水槽の置き場を用意しています。

うめきた公園は皆さんが安心して過ごすことができる、防災の拠点にもなるということを覚えていただければと思います。
梅田で働いてる方、住んでいる方、たまたま旅行に来た方が災害にあってしまった際は、うめきた公園に逃げ込んでください。
安田
とは言いましたが、実は防災公園も万能ではありません。
特に北区にお住まいの方とお勤めの方は「防災公園だから、何かあったらうめきた公園に逃げればいい」と思われたかと思いますが、梅田はどうしても水に弱いエリアとなります。

淀川が氾濫したり、南海トラフなど大地震が起きて津波がきた場合、大阪駅周辺は2メートル浸水してしまいます。グランフロント大阪もグラングリーン大阪も「津波避難ビル」に指定されると思いますので、水に関わる災害が起きてしまった場合は、指定のビルへ避難をしてください。避難をした場合、警報が解除されるまではビルからは出ないでくださいとなっています。

どういう時に防災公園が活用できるのか?どういう時にビルから出てはいけないのか?なども勉強をしなくてはいけない、ということをお伝えさせて頂きましたが、災害の勉強をしなさい・した方がいいよと言われても、私もそうなんですが、なかなか難しいですよね。
「うめきた公園は楽しくてきれいだし、気持ちを落ち着けに行きたいな」とうめきた公園に来ていただくことで、「あ、この公園には防災用のトイレがあるから何かあったときにここに来たらいいんだ」という意識をしていただくことだけでも防災について考えることにつながります。
安田
この考え方が「フェーズフリー」と呼ばれているのですが、ご存知でしょうか?
平常時に災害時にあってしまったらどうしようではなく、日常的に使っていただくことで「ここは防災が起きた時にこうやって使うんだ」と無意識に防災について考えて学ぶことが大事ということで、「フェーズフリー」という考え方も含めて、公園をつくっています。
松枝
安田さんありがとうございます。
「フェーズフリー」の考え方ですが、トークイベントの事前打合せを行った際に、無印良品が提案をしている「いつものもしも」と共通するところがあると話をしていました。冒頭でお話をさせていただきましたが、3月に開催したMUJI×URのトークイベントの際に、備えや防災を考えるときに、日常と災害時といった区分をしないということが大切だという話をさせて頂きました。
無印良品でも「いつものもしも」として、備えに対するアイテムを商品開発・販売をしていますが、坂本さんはどのような感想をもたれましたか?
坂本
「防災のために」と常に考え続けるのはなかなか難しいですよね。先日も九州で震災があり、南海トラフ地震の臨時情報が出たことが影響して、防災関連の商品を購入される方が結構いらっしゃいました。

「いつものもしも」の考え方ですが、「いつも見ているものが、もしもの時にちゃんと使える」ということが大事で、「もしも」の時にしか使わないものでしたら、「もしも」が来てしまった際に使い方が分からない・慣れていなどの理由で使えないんですよね。
そういう観点から考えると、今回紹介をしていただいたグラングリーン大阪は、普段は遊んだり、くつろいだりする場所が、実はみなさんが、知らず知らずのうちに「もしも」のための体験をしているという。こういったことがとても大切だと思っているので、無印良品が提案する「いつものもしも」と一致した考えであることを打ち合わせの際にお話をさせて頂きました。

ビジネス的なこと考えたら、ちょっといやらしい話かもしれませんが、ビルを建ててしまった方が事業者の方も実は儲かるのではないのかなと思ったのですが、このみどり豊かな空間を作ったというのは、何か意図や思いがあるのでしょうか?
安田
今は「自然を大事にしなくてはいけない」「co2を削減しなくてはいけない」という考えが当たり前となっています。でも、以前はまだそのような考えはそこまで一般的ではありませんでした。
大阪市さんや行政の皆さんとの話し合いで、ビルを作らずあえてみどり豊かな公園つくることで、それが周囲の価値を高めるのではないかという視点に立ってプロジェクトを進行してきました。
また、「大阪を元気にしていく」というミッションもありましたので、みどり豊かな公園をつくること自体がイノベーションということにも繋がるのではないかという考えで、ビルをあえて作らない計画にしたわけです。
松枝
安田さんありがとうございます。先ほど坂本さんからお話をいただきました、無印良品 グランフロント大阪のリニューアルをした際のお店づくりでも共通するところが多いと事前打ち合わせで話をしていましたが、こちらについても坂本さんはどのような感想をもたれたかお伺いしたいです。
坂本
そうですね。ここのお店は物販が多いのですが、今みなさんがいらっしゃるOpen MUJIは「余白」と考えています。人によっては、このスペースからは「お金の匂いがしない」「もっと売れる物を置いた方がいいのではないか」と言われることがありますが、先ほど安田さんからお話がありました、建てられることがなかったビルと同じ考えで、これからはそういった考えではない時代がきていると思います。

皆さんもスマホから情報をたくさん得ていて、とても便利だと思うのですが、アルゴリズムによって、情報を受け取る人の趣味嗜好にあった情報だけになってしまい、必然的な出会いしかなくなっています。
自分の価値観とは異なる出会いがほとんどなくなってしまう時代に、新しいものとの出会いや発見することができるということは、余白や余裕があるところにしか生まれないと思っています。創造性やコミュニケーションなど新しいものを発見する・作るということは、こういった新しい時代に大切なことだと思っています。
坂本
2040年までに、現在人間が行っている仕事の6割くらいはなくなると言われています。残ると言われている仕事は、IT関連や看護などの医療系は想像ができるのですが、実は営業職や学校の先生も残ると言われています。
なぜ残るのか?と感じると思いますが、相手の立場になりどのようにコミュニケーションをとるのかを考え、相手に合わせたアドバイスをすることができるからです。こういったコミュニケーションが集まってくると、コミュニティになるので、人間のビジネススキルとして、最も重要なことがコミュニケーションという時代にとなって行くと思います。

そのような時代になった時に、先ほどお伝えした価値観をどのように増やしていくのかが課題となると思います。

いろいろな人との出会いがあることによって、 自分と価値観が合わない人と出会い、新しい価値観によって創造性が膨らんでいくと考えると、まさしくグラングリーン大阪は、僕にはわくわくする場所です。この場所で出会いがあり、いろんなものがどんどん生まれて行きつつも、災害などなにかがあった時の避難場所にもなってしまう。この空間がある大阪はすごいと思いました。
安田
ありがとうございます。

このまちは「みどりとイノベーションの融合拠点」というコンセプトとなっています。
公園には緑があるし、坂本さんがおっしゃっていたように偶然の出会いもある。例えば、公園にお子さまを連れてきていただき、施設に入って遊んだことで興味があるものが芽生えたり、普通のビジネス街はお子さまを連れて歩いている光景がなかなかありませんが、公園だとそういう出会いが生まれます。「あのビジネスマンかっこいいな」「あの企業に勤めたい」というような声も出てくるかもしれません。
安田
海外の方、かっこいいオフィスワーカー、ママさんと出会う。そういった出会いがあることで様々な可能性が生み出される公園になって欲しい。そういった思いでここに公園をつくっていますので、まさに無印良品 グランフロント大阪と同じコンセプトですね。
坂本
団地もそういう意味ではコミュニティになっていますよね。
安田
そうですね。団地にも広々とした空間がたくさんありますので。
坂本
団地の中には、みどり豊かな環境や公園があり、人が集う場所もあるので、団地をつくる際も同じコンセプトを持たれているのかなと思いました。
松枝
ありがとうございます。
色々とお話を伺いましたが、グラングリーン大阪と、無印良品 グランフロント大阪のお店づくり、冒頭でお話をさせていただきました団地の共用部分は、「余白」というキーワードで繋がっていました。
「余白」があることで生まれるコミュニケーションにより皆さんを巻き込みつつ、僕らも巻き込まれて行きながら皆さんと一緒に作り上げていけるものがあればいいなと思いました。

最後に安田さんからトークイベントの感想やうめきた開発で見ていただきたいポイントなどありましたら教えて頂きたいです。
安田
はい。JR大阪駅から見て変化を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
今からグラングリーン大阪を高層階から見に行きますが、今日のトークイベントでの話を聞いてどこまで開発が進んでいるのかなど、想像を膨らましていただいて見て欲しいと思います。
松枝
ありがとうございます。坂本さんからは、お店で見て頂きたいポイントなどがありましたら是非教えてください。
坂本
実はお店の中からグラングリーン大阪を見ることができる場所があり、3階のコーヒーをベンチで飲めるスペースと、4階のカーテン売り場から見ることができます。第2部で行く場所は毎日行くことができませんが、無印良品の店舗からは毎日見ることができますので、お買い物の予定が無くても問題ありませんので、その場所からグラングリーン大阪の変化を日々見て、楽しんでいただけたらと思います。
松枝
安田さん、坂本さんありがとうございます。こちらを持ちまして、第1部のトークセッションを終了とさせていただきます。本日はご清聴いただき、ありがとうございました。

トークイベント終了後、第2部はグランフロント南館へ移動し、新しいまち「グラングリーン大阪」を一望する見学会を実施しました。
トークイベントではイメージ画像のみでしたが、実際のまちを前に、安田さんから説明をしていただきました。
お集まりいただいた皆さま、ありがとうございました。
今後のMUJI×UR団地リノベーションプロジェクトの取り組みにご期待ください。