MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
1/27 MUJI×UR トークセッション 「団地の暮らしと間取りの変遷」

※このレポートは、2024年1月27日(土)に無印良品 グランフロント大阪で行われたトークイベントの模様を採録しています。

part3:住まい方調査 事例紹介
関谷
ここからは、井上先生・豊田さんからご説明がありました、「京都女子大学×UR」と「MUJI×UR」に実際にお住まいの方がどう思っているのかを調査しましたのでご紹介いたします。
関谷
調査方法につきましては、井上先生や学生さんにご協力いただき、まず対象団地を決めました。
関谷
そのうえで、団地の印象や住まい方・暮らし方、家の間取り、家具のレイアウトなどについてアンケートを行いました。その後、ご協力いただける方にヒアリング調査を実施し、毎回テーマに沿って結果をまとめています。

井上先生からお話いただきました「京都女子大学×UR」ですが、実はコンペという形で毎回プランの選定を行っているのですが、10年間実施する中で、学生さんから下記のキーワードが、共通して出続けていることが分かりました。
関谷
近年は、特にこのピンクで書かれている、「自分で作れる」や「可変性」、「人のつながり」というような、「ライフスタイルに合わせて何か変えられる」や「住み手が何か作れる」というワードが特に多くなっている傾向を感じています。

先ほど井上先生からも紹介いただきました「無限のハコ」というプランを例に、今お住まいの方がどういう住まい方をされているかを見ていきたいと思います。
関谷
設計された学生さんは、主寝室は北側に保ちつつ、南側のリビングダイニングを無限の可能性が持てる部屋にしてほしいという思いで設計をされたのですが、3プランともまさにその趣旨通りお住まいになられていて、皆さん北側を主寝室として使われていました。南側は、リビングダイニングの機能に加え、皆さんとても自由に使われているということが分かりました。
このプランにお住いの方は3名とも、料理中に飾り棚に飾った自分のお気に入りのものが見えることにとても満足されていました。コメントでも「大事な空間です」と書いてくださっています。コンセプト通りの お住まいをされて、満足いただいているなという印象です。

続いて、「MUJI×UR」にお住まいの方にもヒアリングをしました。こちらのプランには「南北に通り抜ける光」というテーマがついています。先ほど豊田さんから紹介いただきましたが、「MUJI×UR」のプランにはこういったタイトルが、全70プランについています。こちらにお住まいの方は、モデルルームのように住んでいただいていて、私どももびっくりしています。
関谷
この方(Cさん)からは、家事動線やレイアウトが考えられていることや、お部屋からの景色を今でもずっと気に入っているというコメントをいただいています。
これから「MUJI×UR」のプランをあと2プラン紹介する中で、この可動式の組み合わせキッチンの青色の部分をぜひご覧いただきたいです。
この方(Cさん)は組み合わせキッチンを窓に向けており、「椅子に座って景色を見て楽しんでいます」とコメントをいただいています。
「MUJI×UR」の徹底されたリノベーションで築50年の団地でも、これだけのきれいさが出ています。皆さん住戸の中に入られると、とても驚かれる印象があります。
関谷
こちらのプランでも写真のような住まい方をされています。モデルルームではなく、本当住んでいる方のお写真を撮らせていただいています。
こちらの方(Bさん)は「風通しや陽当たりの良さを、この家に住むことで楽しめるようになりました」という、とても嬉しいコメントをいただいています。
写真に見えている収納スペースは「MUJI×UR」で設計されたものではなく、住んでいる方がこの間取りに合うように作ったそうです。お住いの方がご自身で収納などを作ることが出来る「模様替え申請」というものがあるので、「自分の暮らしに合うように作るのがとても楽しい」とおっしゃっていました。こういった楽しみも生み出してくれているような間取りというところで、感銘を受けたプランの1つです。

ちなみに、この方々は可動式の組み合わせキッチンについて、最初のヒアリングでは、キッチンに向かい、夫婦で並んで食べているとおっしゃっていたのですが、すこし後にヒアリングをした際は、レイアウトがT字に変わっていて、暮らし方に合わせて変えられるところも、いいところなのかなととても感じたところです。
関谷
最後になりますが、こちらの方(Aさん)もお部屋からの展望の良さが、入居する時の決め手でした。
使用している「白」がより団地の緑を映えさせてくれているのだろうなと思います。普段URでは4・5階はなかなか選ばれないのですが、この方は「キッチンから見える景色が、とても好きです」とおっしゃってくださいました。
また、このプランでは収納がしにくいというご意見も他の方からはあったのですが、見事に収納されており、「困難を乗り越えていくのが楽しかった」といったご意見をいただきました。
また、「自分たちの暮らしに合わせて、色々考えるのはとても面白いです」というようなコメントもいただいています。

衝撃だったのは、恩師にいただいたテーブルがあるため、組み合わせキッチンは作業台と収納に変えたということでした。
住まい方調査をする中で、私たちの想像を超えた使い方をされている面白さを感じました。
関谷
「京都女子大学×UR」で学生さんが提案されたキーワードが、「MUJI×UR」などの他のプランでも入居された方の満足度に直結しているというのを改めて実感しました。我々としても、今後リノベーションに力を入れる際に意識していくべきワードだと思っています。

私からは事例紹介をさせて頂きましたので、野呂からは住まい方調査で見えてきたものを説明させていただきます。