MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
団地リノベーション完成 ここだけの話 2013

※このレポートは、2013年2月14日に無印良品 難波で行われた、パネルディスカッション式のトークイベントを採録しています。

川内
さて、それでは今回のテーマは「ここだけの話」ということで、お話を続けていきましょう。
長谷川
はい。ここからは開発秘話、開発経緯といったお話です。今回、ふだん普通に部屋にあるものをひとつひとつ見つめ直しました。その結果、いろんな発見や提案がありました。そして、ボツになってしまった企画もいくつかあります。今日はそうしたものも写真で紹介していこうと思います。
豊田
まず、こちらが先ほどからのお話にも出ている「組合せキッチン」です。
デザインのこだわりを少しお話しますと、天板が白でシンクがステンレスでできているんですが、普通のキッチンには見られないような、非常になめらかな継ぎ目に仕上げました。デザインとして非常にシンプルなものができたと考えています。
豊田
水栓はドイツ製のものを入れています。コストや性能でいろいろ見比べて、「もうこれしかない」ということで導入したものがこの水栓です。

実はURさんの規定というのは非常に厳しくて、水栓ひとつとってもいろんな規定があり、その1つが、シンクからはみ出てはいけないのです。水が床に落ちて階下の方にご迷惑をかけないようになどの理由ですが、今回はメーカーにご協力いただいて、ストッパーつきのものを開発していただきました。ストッパーがないと、ちょっとはみ出てしまうんです。

それから、これもデザイン的な部分ですが、天板と脚の付け合わせについては、斜めにカットすることでシャープに見えるように細かいところまで工夫しています。
長谷川
「ここだけの話」をしますと、職人さんが「豊田さん、ムチャクチャ厳しいですね」とおっしゃっていました(笑)。
豊田
これも今回のプロジェクトで開発をした「麻畳」です。
もともとラグやゴザの素材として使われていたものを、畳にできないかということを、職人さんを含めていろいろと調整し、つくってもらいました。品質としてもいいですし、足触りというか、手触りというか、触った感触が心地いいです。
豊田
商品開発はいろいろとやっていますが、新しいものを開発すると、反対意見が半数以上ということもあります。この麻畳については、ほぼ反対する人がいませんでしたね。逆に気持ちが悪いくらいでした(笑)。

そして、「麦わらパネル」です。
豊田
これまでフローリングとしては使われていなかった素材ですが、今回使ってみようと。このリノベーションをした団地の空間や、無印良品の家具などにも合っているということで採用したのですが、ほかに候補が挙がったものをお見せしましょう。
豊田
写真の左上はOSB合板、右下は構造用合板です。ちょっと見た目が固いんですよね。麦わらパネルのほうが優しい印象で、コストも見合っていいだろうということになりました。
麦わらパネルはパネルとして固めるときにローラーで固める際に油を塗るのですが、それに撥水効果があります。通常はフローリングを貼ったあとに塗装をかけて撥水をほどこす必要があるのですが、これは塗装する手間がありません。そうすることによってコストを下げることもできました。
長谷川
上の写真は人の足が映っていますが、足触りというか、靴下のひっかかりを検証していたんです。やはり合板のものは、靴下がひっかかる感じがありました。麦わらパネルはつるっとしていますね。