MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
団地リノベーション完成 ここだけの話 2013

※このレポートは、2013年2月14日に無印良品 難波で行われた、パネルディスカッション式のトークイベントを採録しています。

豊田
こちらは3人でシェアができる住まいのトイレで使われているものですが、音と匂いをとる壁です。
シェアですから他人と暮らすわけですが、音とか匂いといったものは気になるだろうと。それをどうやって解決していくか、というのを課題としました。特にトイレは、隣に寝室があるプランになっていることもあって、音をどう遮断するかということがポイントでした。
豊田
そこで見つけてきたのが、羊毛を使った断熱材すね。羊毛って不思議な素材で、実はまだ科学的にも解明されていないような素材なのですが、通常は断熱材として、家の外壁部分で熱を遮断するために使われます。この羊毛ですが、他にも匂いをとる、湿度を調整する性能を持っているんですね。
今回、この羊毛を使った断熱材をトイレの壁に貼ってみました。実験でも、アンモニア臭が2時間後には96.1%減少していたりだとか(メーカー調べ)、そうした結果が出ています。
長谷川
ちょっとここで、みなさんにお聞きしたいなと思います。
この2つ写真はほぼ同じ角度から撮っていますが、見比べていただきたいんですね。明るいとか暗いとか、家具が入っている、入っていないとかいろいろありますが、違いにお気づきでしょうか?
長谷川
(イベントに参加された方から正解のお声…)そうです、素晴らしいですね!
左の写真は、壁付けの換気扇で天井に何もなくスッキリしています。右の写真は、コンロの真上にレンジフードがついています。
もう1点の違いは、排水管ですね。左の写真は配管が露出していますが、右の写真は板で隠れています。これらは、今回のプロジェクトのなかでも、どちらがいいかと意見が分かれた点ですね。

そこで、換気扇の実験を実際にしてみました。それで結局、壁付けの換気扇の換気能力では、少し足りないことが分かったんです。コンロから少しずれていること、煙が集まらないこと、部屋そのものが広いことが理由でした。換気扇がコンロの真上でかつ囲まれた空間にある場合とは全く違うことがわかりました。それで、今回は壁付けの換気扇はボツ企画になりました。

鳥皮を焼いたときの煙でテストをしてみたときの様子

豊田
壁付けのプロペラ換気扇を残したかったのですが、実験に立ち会って、これは難しいなと。プロペラ換気扇はあまりないので、こうしたデザインも残したらいいのではないかと考えたんですが(笑)。
ちなみに、無印良品の壁掛式CDプレーヤーは、このプロペラ換気扇をモチーフにつくられたものですね。これを、換気扇の下につけたかったんですけど、結局これも採用されませんでしたね。

次に、木製便座です。これもボツになったものです。
便座のフタの重さが結構ありますから、指などをはさんでしまうなどの事故があったら大変だという理由ですね。何か形を変えて、あらためてご提案できないかなと考えています。
長谷川
ちなみに、ぜひここで聞いてみたいのですが、この「木製便座のトイレ」と「ウォシュレット機能つきトイレ」。賃貸として借りるとしたら、どちらがいいですか?
(会場の方々が挙手…)なるほど。木製便座の方が2割くらい、ウォシュレット機能付きがいいという方が8割ほどですね。私も個人的に、木製便座を押してはいたのですが、やはりウォシュレット機能をあとからつける人が多いんです。これも今回、採用を見送ることになった理由です。