MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
トークイベント「MUJI×URで考える団地の未来」

※このレポートは、2017年1月15日に無印良品 グランフロント大阪Open MUJIスペースで行われたトークイベントの模様を採録しています。

川内
トークセッション「団地の未来」~ソフト:居場所づくり~
ここまでは、MUJI×URの実績と、団地の今という内容でお話してきました。本日は思考を変えて、団地の未来について、トークセッションをしていきたいと思います。

今までMUJI×URは住戸のリノベーションに取り組んできましたが、今後、団地の特徴である“借りて住む”と“集まって住む”に着目して、集まって住むことの楽しさや、シェアすることの楽しさを、団地全体を捉えてご提案していきたいと思っています。

では先に、長谷川さんより、団地の未来についてご意見をお聞かせください。
長谷川
先ほど団地で開催されているイベントをいくつか紹介させていただいたのですが、今後はイベントという一時的なものに留まらず、常に利用できる恒常的なものを仕掛けていければと考えています。

また、豊かさとは何なのかを常々考えておりまして。あらゆるモノの量が充実した今、どういったことが豊かさなのか。便利さの追求をすることで削ぎ落とされていた不合理なものや手間のかかるものは、本当に要らないものだったのだろうか。そういった原点となる思考から、物事をもう一度見つめていきたいと考えています。

また、川内さんのお話のように、借りる・シェアする・みんなで暮らすといった要素は、次の時代に向けて強いキーワードだと感じています。何事も自分事として関心を持てるような“あなたの居場所づくり”を団地の中で実現していきたいですね。
川内
トークセッション「団地の未来」~ハード:シェアする暮らし~
では、ここからは、長谷川さんがおっしゃってくださったようなソフトに対する思いが実現できるようなハードづくりを、無印良品からの提案として、お話させていただければと思います。

例えばハードの1つに、集会所がありますよね。現在利用率が下がっている集会場を住人たちの“はなれ”として、もっと活かす手はないかと考えています。例えば、読書をしたり珈琲を飲んだり。さらには大きなお風呂を集会所につくれば、各住戸のお風呂はコンパクトなものが多いので、喜んで利用してもらえるのではないかとか。他にも、友達や親戚が訪ねてきた際のゲストハウスにするとか。集会所の空間そのものがより魅力になれば、日常的に住人さんが訪れ、顔を合わせる場所になるのではとも考えています。

さらに、無印良品は、物をつくって売り、1つの世界観を持って展開するのが得意ですので、店舗やカフェといった多機能な空間で、24時間利用できる場所をつくることができれば面白くなりそうなどとも考えています。

また、現在は家具がない状態で貸し出していて、借りた方が無印良品のインテリアデザイナーと相談しながら希望の商品を通常より少しお安く買えるという仕組みにしているのですが、暮らしの変化とともに不要な家具も出てくるのではと。そこで、最初からある程度の家具が付いていて、不要になったらURさんへ返却して、逆に追加の家具がほしいと思っている住人さんがいれば、余っているストックの家具から借りて使える、そんな家具のシェアができれば面白いのではと思っています。長谷川さん、いかがでしょうか?
長谷川
住んでいる方からも需要があるため、ぜひ前向きに検討できればと思っているのですが、使用後の家具のメンテナンスや貸し出しの料金設定などをどうするかという課題がまだ解決できておらず。課題を1つずつ解くことができれば、実現できるのではと思っています
川内
そうですよね。URさんは不動産なので、動産である家具を買ってストックいただくことはきっと容易いことではないものの、何らかの形で実現できればいいですね。アーリーは無印良品の家具をいっぱい買ってくださったそうで、実際住みはじめてみて、これは要らないとか、これはもっと欲しいなどと思った点はありませんでしたか?
アーリー
そうですね。収納に関する家具はもっと欲しいと思うようになりました。家具はすぐに複数買い足せる価格のものではないので、家具のシェアという発想は魅力的ですね。
川内
その他、無印良品ではMUJI BOOKSという本のある空間もつくっています。団地の敷地内でそういったスポットができれば、人が集まるきっかけになるのではとも考えています。
アーリー