MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
トークイベント「MUJI×URで考える団地の未来」
※このレポートは、2017年1月15日に無印良品 グランフロント大阪Open MUJIスペースで行われたトークイベントの模様を採録しています。
- 川内
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トークセッション「団地の未来」~ハード:家の拡張~
ここからさらに、具体的な妄想の話に入っていければと思います。
私たちのウェブには「みんなで考える住まいのかたち」というページがあり、団地に限らず、住まいのアイデアを発信したり、広くご意見を伺ったりするコーナーがあります。その中で、こんな団地あったら面白いと思いませんか?と提案しているものがいくつかありまして、実現するには難しい点も多いかもしれませんが、妄想の話として聞いていただければと思います。
まずは、メゾネット型の団地。上下階を階段で繋いで一家族で住むことができれば、空間が広くなるだけでなく、下階への騒音を気にせず、自由な床材を使用することができるようになります。実は、もともとメゾネット型をした団地が僅かですが一部存在していたため、すでに事例もできています。梯子のような既存の階段を取り外し、オープンなスチール階段に付け替えたことで、非常に明るい印象へとリノベーションができています(コラム「団地で解決したいこと」)。
- 川内
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また、URさんには「近居割」という、三親等以内で同じ団地に住むなら最大20%減額といったお得な仕組みが導入されています。そこで「近居プラン」に該当するような家族向けに、それぞれの住戸を1つの家と見立てて、親夫婦と子世代のどちらか一方に大きなダイニングをつくり、一方にはお風呂がないといった設計も面白いのではとも考えています
(コラム「団地で新しい二世帯の発想「近居」」)。
例えば、子世帯共働きであれば、日中働きに出掛けている時、子どもたちは祖父母のいるもう1の住戸に行って勉強をしたり、食事をしたり、場合によってはそのまま皆で眠ったり。そうやって親族間を自由に行き来できるような環境があっても面白いのではと。実は、一般の方々から、一番賛同が多かったのがこちらの案なのですが、長谷川さん、いかがでしょうか? (アンケート「近居プランについて」) - 長谷川
- そうですね、どうリノベーションしていくかが課題になりそうではありますが、「近居割」はすでにある仕組みですし、新しいスタンダードをつくるという意味では、実現していきたいところですね。
- 川内
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皆さん、どこかでこういったタイプの団地を見掛けたら、あの時のイベントで話していたことだなと思い出していただけましたら幸いです。
それから、もう1つ、庭付き住戸について。団地には豊かな緑が多いのですが、セキュリティや公平性などの観点から、1階の方でさえバルコニーから庭へ出られない設計になっています。そこで、1階のバルコニーから階段を下して、ミニプールや菜園などが楽しめるスペースをつくれればと。こちらのアイデアも反響が高く、意外と菜園よりも、プールにちょっとしたリラックススペースがあるお庭の方が、賛同者が多かったです。団地内の庭をもっと使えるようになっていったらいいですよね。 (アンケート「庭付き住戸について」) - 長谷川
- 実は、団地の屋外空間をもっと楽しく使おうよという話は、社内でも以前から度々あがっておりまして。現在うちの社員が実現に向けて、かなり力を入れておりますので、乞うご期待とさせていただければと思います。
- 川内
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トークセッション「団地の未来」~ハード:一棟リノベーション~
さらに、妄想は深まりまして。団地一室ではなく、丸ごと一棟をリノベーションしたらどうなるだろうということも考えております。例えば一社が丸ごと、オフィス兼社宅として使用することになったとしたら、1階を全てテラス付きのフリーアドレスなオフィスにして、上の階は社宅になって、職住近接な究極の暮らしができるのではと。現在は、職住近接は嫌だというご意見もありましたが、今後暮らし方が多様になる中で、需要も生まれるのではと考えています。
- 川内
- また、逆に最上階をギャラリーにして、常に何かしら展示やイベントがあり、下の階はアトリエ兼住戸になっていて、多くのクリエイターさんが、住みながら展示や販売といった表現の場を併せ持つことができればと。そうすることで団地の外からも人が呼べ、団地に活気が生まれるのではとも考えています。団地がまるまる一棟空くことは稀有かもしれませんが、実現できたらいいですよね。 (コラム「団地を丸ごと1棟借りられたら」)
- 長谷川
- そうですね。今後、日本全国、UR以外でも空き家問題はどこもが抱える課題だと思っています。住空間をどう使い勝手よくリノベーションしていくかは、今後10年20年の課題だと感じていますので、URも仕掛けて牽引する側になれればと思っています。
- 川内
- アーリーは、これらのアイデアについてどう思いますか?例えば、職住近接な暮らしなどどうでしょう?
- アーリー
- いいなと思います。実際、僕は今、職場が家から離れたところにありまして。職場と家が近ければ、ランチタイムは自宅に帰って、調理して済ませることもできるだろうし、良い循環が生まれそうだなと感じています。
- 川内
- それでは、お時間となりましたので、これにてMUJI×UR 団地リノベーションプロジェクトのトークイベント「団地リノベーション完成 ここだけの話 ~MUJI×URで考える団地の未来~」を終了したいと思います。皆さま、ご清聴、誠にありがとうございました。