


MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
1/25 MUJI×UR イベント 「団地リノベーションここだけの話」
※このレポートは、2025年1月25日(土)に無印良品 グランフロント大阪で行われたトークイベントの模様を採録しています。
- 松枝
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ありがとうございます。
それではここからは、冒頭にご案内した新プランのご紹介をさせて頂きます。
MUJI×URは大きく分けると3つのシリーズで展開をしており、先ほど松本さんから説明のありましたMUJI×UR Planと収納を充実させたMUJI×UR plan+S、昨年からスタートしましたURさんとの共同開発パーツを使用したMUJI×UR Parts Roomとなっています。
今回は、箕面粟生第3団地で新しく2つのプランが完成しましたので、団地の紹介を佐々木さんに、どのようなプランの特徴があるのかを設計を担当した松本さんからお話をいただきたいと思います。 - 佐々木
- はい。箕面粟生第3団地の紹介をさせて頂きます。

- 佐々木
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資料の通り、団地の後方に山を抱えているような風光明媚な場所になります。共用空間も他の団地同様、緑が充実している非常に環境の良い団地になっています。
アクセス面では、2024年の3月に北大阪急行の箕面萱野駅が近くにできたことにより、人口も増えて行くでしょうし、URとしても新しい取り組みを行っていきたいという思いがあり、今回MUJI×URの対象団地とさせていただきました。 - 松本
- ありがとうございます。僕も出身が大阪なのですが、路線が延長されて新しい駅が出来たことを全然知らなくて。
- 佐々木
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そうなんですね。ニュースになっていましたよ笑
しかも駅前には無印良品の大きな店舗もありますよね。
一度行ってきたのですが、そういうところも馴染みがいいかなと個人的には思っていたりします。 - 松本
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ありがとうございます。そんな箕面粟生第3団地の新プランをご紹介したいと思います。
まず、間取りについてですが、2プランあるうちの1つが2LDKで、もう1つが1LDKになっています。

- 松本
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まず2LDKのプランですが、もともとの間取りは和室が3つあり、ダイニングにキッチンがあるお部屋でした。
まず、リビングダイニングキッチンとして、広く一室空間を作りながら、北側にはお部屋を2つ残しています。MUJI×URだと1LDKにすること多いのですが、今回は2LDKにしているので、ファミリーの方には住みやすいのではないかと思っています。
こちらのお部屋ですが、北側のお部屋にエアコンをつけることができないという課題がありました。 南側のバルコニーに室外機を置き、エアコンの風がしっかり北側まで通れるようにするために、この南北をしっかり繋げることを最初の設計段階で行っています。
資料の画像でも見えていますが、しっかり北側の部屋まで繋がるように設計をしています。

- 松本
- キッチンに関してですが、こちらはURさんと共同開発をした「組合せキッチン」で、キッチンと同じサイズの高さのテーブルも用意しています。



- 松本
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テーブルを配置する位置により、ロングカウンターにしたり、あとは90度回転させてL字型させたり、キッチンの正面に設置するとカウンターキッチンのように対面式で使用することができます。賃貸の物件であっても、住む人が自由に変えていける、そんなキッチンになっています。
キッチンの隣には洗濯機置き場をつくりました。
団地を建設した当時は、洗濯機を置くことを想定してない団地がたくさんあり、そういった中で、今回は洗濯機置き場をバルコニーの近くに設置しましたので、洗濯をしたらすぐに干すことができる構成にしました。

- 松本
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また、窓側から室内を撮影した写真になるのですが、今回MUJI×URのメインビジュアルにも使用しているものとなります。
元々右側が和室だったのですが、フローリングに変更をすることでかなり広い一室空間にしています。
正面に見えているものが、元々押し入れだった部分となります。天袋は残しているので、収納になっているのですが、部屋の一部としても使えますし、カーテンをすることで収納としても使うことが可能です。

- 松本
- キッチンからお部屋の南北を繋いでいるところになります。ふすまは大体引き違いですと、半分しか開口部がないのですが、もっと開口を広くして南北を繋げたいと思ったので、実はふすまを3分の1サイズにして、こちらの袖壁の中に全部ふすまが収まるような設計をしています。広げると3分の2は開口になり、しっかり閉じることもできます。閉めている状態の写真がなくて分かりにくいのですが、そんな工夫をしています。

- 松本
- 南と北の間に玄関があるのですが、玄関だけを仕切ることができるようにしました。資料は枠だけなのですが、玄関からの冷気が入ってきてしまうのを防ぐことができるのと、玄関を仕切ることで南北を繋げても玄関の存在が気にならなくなるような設計になっています。

- 松本
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寝室はしっかり押し入れを残すことで、たっぷり収納も使用できるようにしています。
箕面粟生第3団地のお部屋はMUJI×URシリーズのMUJI×UR Plan+Sとなります。
もともと壁の上の方に「長押」と呼ばれているものがあるのですが、もう1個長押を下の方に追加しています。

- 松本
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実は、団地の壁はコンクリートを使用していることが多いので、居住された方が絵などを飾りたいと思ってもピンを刺すことができないのですが、「長押」があると、この木部にピンや釘をさすことができるようになります。そういったきっかけだけをこちらでつくっておき、居住された方が後から有孔ボードを取りつけたり、DIYを楽しんでいただくような仕掛けをしています。
水回りがどのようになっているのか気になる方も結構いらっしゃるかと思うので、今回しっかり写真で見てもらおうと思っています。配管なども白く塗っているのですが、こういうのも結構かっこよかったりします。洗面所の中に洗濯機を置くと狭くなってしまうのですが、今回はキッチン側に洗濯機置場を持っていったので、洗面所が広く使えるようになっています。

- 松本
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お風呂に関しては、今回リノベーションをしたお部屋が両サイドコンクリートの壁でユニットバスを入れることができなかったのですが、清潔感があるように変えていますので、お部屋を見学した際に確認をいただけたらと思います。
2つ目のお部屋は元々は2DK間取りで、こちらは先ほどよりも少し小さいお部屋なので、リノベーション後は1LDKになっています。

- 松本
- こちらも先ほどのお部屋と同じく、北側のお部屋にエアコンがつけることができないという課題があったので、南側のバルコニーにエアコンを設置して、エアコンの風が北側の部屋まで通り抜けるような設計となっています。

- 松本
- こちらのキッチンもURさんと共同開発した「持出しキッチン」で、壁付けとなっています。シンクの下に収納がついていないのが特徴となっています。グランフロント大阪のモデルルームで同じものを使用しているのですが、下の収納を自由に構成できるというコンセプトでつくりました。収納棚を置いていただいてもいいですし、ゴミ箱を置いて引き出せるようにもできますので、住む方が自由に使ってもらえたらなと思います。戸棚はついているので収納としても十分かなと思います。

- 松本
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こちらは、南北を繋いでいるところになります。
北側のお部屋が見えていますが、元々全部押し入れで隠れていたところの背面壁を抜くことで北側と繋いでいます。
しかし、押し入れとしてのこの設えは残しながら、天袋部分がロフトのような使い方ができるので、お部屋の延長としても使えますし、収納としても使えるようにしていますので、居住される方が自由に編集できる余白として、こうして残しています。


- 松本
- 北側の押入れにもふすまがついていますので、ふすまをつけたり外したりすることで、お部屋の延長としても、収納としてもどちらでも使うことができます。

- 松本
- 1LDKのお部屋はディテールにもこだわっていまして、元々壁があったところを抜いているので、照明のスイッチをつける壁がなくなってしまったのですが、あえて鉄管で柱に付けました。

- 松本
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先ほど紹介をしました天袋の部分も、ロフトの様に使用できるのですが、壁をとった時に建設された時に大工さんが作ったパネル工法の天袋になっていますが、こういったディテール部分も残しています。
まだ、工事途中の写真ではなく、仕上がりの写真になっています。
先ほどMUJI×URのお部屋は結構とがった設計をしているとお伝えしたのはこの辺のところになります。MUJI×URが好きな人は、多分こういったものが大好きなのですが、あまり好きではないという方もいると思います。

- 松本
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次に、正面に見えているのはトイレの建具になります。このドアもこの角が取れたディテールなのと、握り玉や窓も付いていてとてもかわいいです。建具もたまにこの団地の中でパネル構法のものもあるのですが、こういったのも壊さずにあえて残しています。
箕面粟生第3団地のプランの紹介は以上となります。 - 佐々木
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僕は箕面粟生第3団地の設計に関われていなかったのですが、松本さんの説明をなるほど、と思いながら聞いていました。エアコンがお部屋の全部に届くようにという実直な課題から設計がスタートして、最終的にディテールや面白い部分を残しているというバランス感が聞いていてすごく面白いなと思いました。
ビジュアル的に言うと、躯体の表わしの部分もあったと思うのですが、そこの墨出し線もそのまま残しているんですか? - 松本
- そうですね。例えばこちらには元々収納があったのですが、取り除いてみたところ取ってみるときれいな躯体が出てきたので残しています。佐々木さんが仰ったとおり、建設当初に大工さんが打った墨出し線などが残っていたりするので、そういったのも面白いなと思い、あえて残していたりします。
- 佐々木
- 当時の墨出し線がどこにあるかなんて設計段階ではわからないですからね。本当にやってみてからわかる感じですね。
- 松本
- そうなんです。結構そういうことが多いので、MUJI×URの施工を担当してくれる工務店さんはすごく大変だと思います。
- 佐々木
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そうですね笑
確かに1回1回、「これは残すべきものでしょうか?」とやり取りが必要になりますね。 - 松本
- 最初に図面を書くのですが、大体施工しながら変えていっています。
- 佐々木
- なるほど。現場で調整することが前提のこだわりのあるプランということですね。