


MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト
1/25 MUJI×UR イベント 「団地リノベーションここだけの話」
※このレポートは、2025年1月25日(土)に無印良品 グランフロント大阪で行われたトークイベントの模様を採録しています。
- 松枝
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みなさん、ありがとうございます。一部では、箕面粟生第3団地の新プランと中宮第3団地のMUJI×UR Parts Roomの紹介をさせていただきました。
続きまして第二部に移らせて頂きます。先ほど松本さんから説明がありました、URさんと共同開発をしたパーツが出来た背景や秘話をお話しさせていただきます。 - 松本
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はい。それでは第二部では、共同開発パーツについてご紹介をしたいと思うのですが、実は共同開発パーツをたくさんつくっています。
なぜそんなにつくっているのかと言いますと、実際に団地の住戸をリノベーションしていくにあたり、どうしてもないものがたくさん出てきてしまいました。「ないならつくろう」ということで、さきほど紹介をしました麻でできた畳や組合せられるキッチン、ダンボールふすまなどを展開しています。

- 松本
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こちらが共同開発パーツ全種類なのですが、組合せキッチン、麻畳、ラワン合板フローリング、ダンボールふすまは、MUJI×URのプロジェクトスタート当時につくったものです。そして、下の段にあるものは2023年に追加をしたのですが、よりサステナブルなコンセプトで商品開発をしようということでつくられた商品となっています。
今日は麻畳を一緒に開発していただいた畳メーカーの藤さんをご紹介したいと思います。

- 籐
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藤(とう)と申します。本日はよろしくお願いします。
まず会社のご紹介をさせて頂きます。九州の福岡にある畳メーカーです。資料の右側の写真が会社になるのですが手前に緑の色のものが映っていますが、い草になります。
創業1886年で130年以上続いている会社となり、畳の材料の取り扱いが最初の商品で、この畳のい草を中心に商品開発をしていますので、畳にも携わっているメーカーになります。 - 松本
- 僕は知らなかったのですが、まだ日本でもい草が作られているんですよね。
- 藤
- はい。そうですね。
- 松本
- 畳の専門家である藤さんと、麻畳の開発をしてから累計で8万畳以上つくられてきました。麻畳の特徴は、和室を洋室として使える畳となっているところになります。団地は和室が多く、それを全部洋室化するとコストがかかってしまうものなのですが、そうではなくて洋室としても使える畳を開発したらいいのではないかという発想で作られています。開発当時は、すぐに麻にたどり着いたわけではなく、色々試したと聞いています。

- 籐
- 10数年前ぐらいに、MUJI HOUSEさんからこちらのお話をいただいた時に、弊社で提案できるデニムやいろんな普通のパブリックの生地など最大限ご提案をしたのですが、最終的に麻のゴザを畳にするというところに落ち着きました。1年ぐらい提案し続けたことを懐かしく思い出しました。

- 松本
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デニムも使用しているうちにどんどん色褪せていくため古くなる感覚がないので、暮らしているうちにどんどん味が出てくるという意味ではデニムもとても良かったと思うのですが、実際お部屋に敷いてみると違和感しかなかったと聞いていますので、やはり空間として見たときに、麻のベージュの色はMUJI×URの空間に合っていました。
麻畳に使用している麻はどこからきているのでしょうか? - 藤
- 麻についてですが、洋服に使う麻や麻紐など種類がいくつかあるのですが、麻畳に使用しているものはジュートという麻になります。 こちらはバングラデシュが産地で、そちらから麻のひもを輸入して、生地にします。天然素材を使用しているので、色や形が統一されていません。

- 藤
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そのため、生地にすると色むらとなって出てしまうことが多々ありました。
そうしたものを納品すると、URさんから他のものに変えて欲しいと連絡をいただいてしまうため、天然素材を使ううえで1番苦労したところです。
私も実際にバングラデシュに行き、麻ひもにする際にどうしたら色むらがなくできるのかを現地の方や工場の方と試行錯誤して、今では安定した麻ひもを輸入することができています。
ここ数年、検査で色むらがあるので変えて欲しいという連絡はいただいていません。
色々な苦労があったなと思い出します。 - 松本
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ありがとうございます。
麻ひもバングラディッシュからから輸入をして、それを畳の生地にする工場ですが、実は大阪にあります。
工事に実際に行かせていただいたのですが、たくさんの織機が並んでいる中の1つで麻畳の生地を織っています。
織り終えた生地はロール状にまとめられ、次の検品の場所に運ばれて行きます。
麻畳の検品を専任してくださっている方がいらして、全ての生地を目視で確認し、色むらがあると補修をしてくれます。
30メートルごとにカットをして、梱包をして畳屋さんへ出荷されて行きます。
この取り組みの良いところは、麻生地を畳にしてもらうため、全国の畳屋さんに出荷されます。和室がどんどん減っていってしまっているので、畳屋さんも減ってしまっています。
麻畳はい草の畳と中の構造が一緒なので、畳屋さんに麻畳を作っていただくことが可能です。畳屋さんのこのネットワークをそのまま使え、MUJI×URは全国に展開していますので、MUJI×URが採用された団地の近くにある畳屋さんに麻畳を納品していただいています。MUJI×URの取り組みにより全国の畳屋さんを支え、畳屋さんに麻畳を作っていただけることでMUJI×URは支えられています。
MUJI×URの取り組みの中でも良い取り組みになっているのではないかと思います。 - 藤
- はい。そうです。「一番草」は140㎝以上で、「二番草」が130㎝以上となっています。
- 松本
- 一畳つくるためには、長い草でないと作ることができないそうです。短いい草は畳にすることができないので価値が低くなってしまいます。
- 藤
- い草の畑で育ったもので、畳に使用できるものは6割くらいで、残りの4割は価格がつかないので廃棄となります。
- 松本
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価値がないとなってしまっている短い草を畳にすることができたら、い草農家さんが育てた全てのい草に価値が生まれると考えたのが1/2サイズのい草の畳となります。
一畳サイズに満たなくても、半分のサイズの畳をつくれば畳としても価値を出せるのではないかと開発されました。
幅が半分なので、通常6畳だと資料のような敷き方になるのですが、1/2サイズの畳だとフローリングみたいな敷き方になることも特徴になっています。

- 松本
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実際に張ったお部屋がこちらですが、見た目も面白い畳になっているのではないかと思います。
続きまして、先程も少し触れましたが団地の伐採木を使ったスイッチプレートです。
団地の中の木はいろいろな理由で伐採されることがあります。団地が建設された当時に植えられた木が40・50年たって、大きくなって住戸が日陰になってしまったり、台風などで倒れそうになってしまったものなど、安全性を保つために伐採します。
伐採された木を何かに利用しようということで、スイッチプレートなどを作りました。
団地には様々な樹種があり、同じ色のものがひとつとしてないスイッチプレートができました。

- 松本
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こちらの取り組みも、団地で伐採された木をもう一度団地で活用しようというパーツになっています。
先程佐々木さんからキッチンの取手について紹介いただきましたが、こちらはフローリング工場で出た廃材を使っています。
取手になる前は、短冊状になっているものでした。フローリングの幅で作られているので、積層になるように加工しています。
取手を木に変えるだけで、キッチンがすごくかわいくなるので、自分で言うのもあれですが、すごくいいと思っています。

- 松本
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キッチンを全部かえる工事はとても大変ですが、古いけれどまだ使うことができるキッチンの取手を変えるだけで雰囲気が変わるのでこれも良い取り組みだと思っています。
照明も実は作っています。「可変性がある照明」と言い、先程紹介をした麻畳と組み合わせることで、イス座の時には短く、床座の時は長くしたり調整することができます。

- 松本
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シェード自体も、少し懐かしいフォルムのものがついていますが、気に入ったシェードがありましたら後から変えていただくことができます。
引きひもがついているのもポイントです。
団地建設当時の暮らしでは照明に引きひもがついていることが一般的だったので、団地のお部屋は壁にスイッチがないお部屋もたくさんあります。
当時の暮らしを体験していただくことができるようにしました。
佐々木さん、二宮さんは引きひもを見たことがありますか?

- 佐々木
- 団地では見るっていう感じです。
- 二宮
- たまに見かける程度ですね。
- 佐々木
- 元が和室だとスイッチがないので、洋室として使う時には、新しくスイッチをつける工事が発生しています。
- 松本
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URさんも壁にスイッチがない場合、団地のお部屋はコンクリートの壁が多く、配線を中に入れることができないため露出配線となります。
それだったら引きひもでオンオフができるので、余計な工事が不要になる利点もあります。
共同開発パーツに関しては以上となります。 - 松枝
- ありがとうございます。 現在展開している共同開発パーツは先程紹介したものを含め17種類となっています。 MUJI×UR Parts Roomではテーマを決めて、パーツを使った住戸を展開していたり、今回は麻畳を例にお話させていただきまましたが、開発の背景やストーリーがひとつずつありますので、思い出していただきながらモデルルームをご覧いただけると嬉しいです。 ではお時間になりましたので、皆さんから最後に一言お願いします。
- 二宮
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MUJI×URや共同開発パーツについてのお話を伺い、初めて知る内容もたくさんあったので、とても楽しませていただきました。
ありがとうございました。 - 佐々木
- 藤さんのお話が非常に興味深く、畳は織物なんだと再認識しました。当たり前のことなのですが、面白いなと思いお話を伺っていました。

- 籐
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なかなか畳のお話をする機会がないのですが、モデルルームでぜひ麻畳を実際体験いただき、畳の上での快適な生活を感じていただけたらなと思います。
ありがとうございました。

- 松本
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グランフロント大阪の店舗にはモデルルームがありますので、本日お話しさせていただきました、麻畳やダンボールふすまなどを実際に体感していただけますので、無印料品のお買い物に来られた際はぜひ立ち寄ってみてください。
今日は共同開発パーツのお話ができてすごくよかったなと思っています。
MUJI×URの住戸は工事も大変なのでたくさん出すことができないのですが、毎年少しずつ増えてはいるので、今回もし入居が出来なかったとしても、また次のチャンスあると思うので、ご検討いただいている方がおられましたら、ぜひMUJI×URのお部屋に住んでいただけたら嬉しいなと思っております。 - 松枝
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登壇いただきました皆さんありがとうございます。
こちらを持ちましてトークセッションを終了とさせていただきます。本日はご清聴いただきありがとうございました。



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お集まりいただきました皆さま、ありがとうございました。
今後のMUJI×URの取り組みにご期待ください。