MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト リレートーク vol.2
千葉海浜ニュータウン5万戸の団地再生への取り組み

※このレポートは、2014年5月27日に日本デザインセンターPOLYLOGUEで行われた、パネルディスカッション式のトークイベントを採録しています

参加者
たくさんの取り組みを10年間してきている、その後のゴールみたいなもの、イメージがあったらお聞かせいただきたいです。事業として、どうやってノウハウが残っていくかとか、また、それをどうやって運営していくかなど、展望をお聞かせください。
鈴木
私たちは、住民ではないので、何か合意形成をして、その目標に向かって進むという考えはありません。街を住みやすく元気にする会社として入ってきて、住民さんたちがそこで活動しやすいようにするとか、色々な思いを持ってそこで生活していくようにサポートしていくような立場になっています。ですから、私たちがその街の方向性やビジョンを作るということはなく住民次第です。たまたま、最初に出会った人がリフォーム会社を退職した人だったので、今がありますが、次に出会う人や、民間企業によって色々な事業が展開する。それを余すところ無く吸い上げて、この場所の魅力をつくっていきたいと思います。
参加者
私はデベロッパーに勤めていて、マンションは売りっぱなしじゃいけない、ちゃんとコミュニティを形成できるように色々な仕掛けをやっていかなければいけない、と感じています。今のところ街に協力してもらいながら進めているのですが、私共の取り組みは始まったばかりで、まだ2~3年しか経ってないため、もしここで私共が抜けたときに、本当にそれが住民たちで走れるのかどうかというのが結構大きな課題です。今後、どうやって住民だけで走れる状態に持って行けるのか、今は、結構労力をかけながらやっているんですが、それぞれのマンションがそんなに労力をかけなくても上手く走れるような仕組みも考えていかないとと思っています。 またもう一つ考えているのが、コミュニティをつくる大きな意味は、防災の話に繋がっていくのかなっていうこともありますので、その辺の繋がりを意識しながら取り組みを模索しています。
土谷
デベロッパーは、プロジェクトを新しくつくることが主体で、入居後に、きっかけをつくってその集合住宅の文化をつくって、あとは皆さんでやってくださいということですよね。自主運営というのが意外にうまく成り立つんだろうなと感じています。
一方で既存の町はどうなんでしょうか。防災や町内会の取り組みを考えると、古い町で色々な課題があるだろうと思います、そういうところでも自主運営の文化は育つのでしょうか、その点、鈴木先生いかがでしょうか。
鈴木
自治会というのは、どうしても行政に対しての要求型の団体になっていると思っています。まれに住民自治の組織が育ってきた所は上手くいっている所もありますが。しかし日本では、そこまでいってないんだろうと思ってまして、今のところそういう期待するのは過度かなと思ってます。ですから、今のところ、私たちがそういう代わりをしているような形ですけれども、将来的にどういう風に仕組みを作っていくか、それを先進しようとしてる組織があれば、何か一緒に出来ることはあるかもしれないかなと思っています。
栗原
井戸端会議の井戸っていうのは、水は必ず必要なので井戸にいくわけで、そこで野菜を洗ったり洗濯したりということで人が集まってきます。要するに、必然的に集まってくる場があるので、コミュニティがそこで作られて、井戸端会議が成立する。
管理組合みたいなものではなく、自然に集まれる仕掛けを作ることが必要だと思うのですが、今の住まいは各々の住宅だけで生活が完結しているんです。外に求めなくても何も困らない。
何か欠けているものを意図的に用意して、それにみんなが関わらないと成立しないような仕組みを作っておくことによって、そのコミュニティの核が出来るんじゃなかと思っています。
今は全部つくりすぎている気がします。これはMUJI×URのコンセプトとも共通するところですが、つくり過ぎないということがすごく大切なことで、そういう物を用意することで次につなげていく仕組みがつくれるんじゃないかと思います。
鈴木
新たな事業を広報するときには5万部のチラシを全戸に配っています。そうしないと小さな声しか出さない人に届かないんですね。そういう若い世代や高齢者で困ってる人たちに届けるためにチラシを必ず5万部刷っています。そういう人たちと、個と個の付き合いを大事にしています。

最近出版した本のタイトルの“市民コミュニティビジネス”というのは、コミュニティビジネスと市民事業が合体した造語なんですね。コミュニティビジネスとしては全くペイしないものがあるんで、そういったものは立ち上げて、市民事業の方に移管するってことはありますし、市民事業をもう少しコミュニティビジネスとして背中を押す、そういう市民事業とコミュニティビジネスが合体するような地域をつくるということを推進しています。
土谷
そろそろ終わりの時間ですが、今日、私が印象的だったのは、マネジメントのスキルや仕組みをきちっとつくっていく。それを大学がサポートして、職能としてつくっていくんだというのは、大きなヒントじゃないかなということです。
コミュニティビジネスという言葉を最近はよく聞くようになりました。しかし、非常に俗人的であったり、1人でやっていたり、まだまだ課題はありそうです。実験を積み重ねなきゃいけないということを感じます。完成させない、または、変化していく、そういうものを埋め込むということ、固定的ではない、可変的なものをどのようにプログラム化していくかということも課題としてありそうだなと感じました。

コミュニティスペースをどうするかというテーマは、今後もこのトークセッションの中で考えていきたいと思います。例えばアメリカでよく見る事例ですが、郵便ポストをどこかに置いて、そこが井戸端会議の井戸のような役割を果たすとか、あるいは大きな広場より、細い路地を作って人が出会うような仕組みをつくるとか、そういうプログラムをつくる必要もあるかもしれません。それから、最近では、よく畑を作って共同で運営するというような事例も出てきています。そういうことを具体的に実践している人にも登壇してもらい、課題を共有していければと思います。

今日の話は、今までのトークセッションの中で、もっとも大きなスケールで様々な種類のビルディングタイプを包括的に、または、全体としてとらえての話でした。とても参考になったのではないかなと思います。今日はありがとうございました。