MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト リレートーク vol.2
千葉海浜ニュータウン5万戸の団地再生への取り組み

※このレポートは、2014年5月27日に日本デザインセンターPOLYLOGUEで行われた、パネルディスカッション式のトークイベントを採録しています

鈴木
5.エリア経済の活性化サポート」については、ショッピングセンターの改修とか、商店街の空き店舗を使っての色々な活動があって、それをコーディネイトしています。色々な活動のコーディネートを行う中で自分の作品を人に見せたいとか、特技を皆に教えたい人たちから生まれたのが団地学校です。

また、この団地にはアートをやってる方々が実はたくさんいて、制作活動の場がなくて困っているということで出来たのが“アートコミュニティ美浜”という施設です。

最後の柱「6.住まい・町再生サポート」ですが、現場を持つコンサルタントとして活動しています。買物の宅配にしても、リフォームにしても、人の家に入れることが一番の強みだと思っています。人の家に入るとさらに、その人たちがどういう生活をしているか、あるいは、どういう生活に不便をしてるかが見えてきます。それが次の実践の舞台になっていきます。課題の研究をして、技術開発をして、それを実際に動かす、フィールドバックをするサイクルを回しています。

最近は分譲団地の方からも仕事の依頼があります。海浜ニュータウンには約110の管理組合があるのですが、そこからの相談も増えてきています。30年前の団地で子供用につくられたプレイロットを子供が少なくなったので新しいタイプに変えるために調査をしたりしながら、提案をつくって実施しています。

また、大規模改修を迎えた団地の管理組合さんの相談にのったり、他の団地の改修見学のバスツアーも実施しています。

海外の団地再生調査も重要です。欧米の団地の再生を手がけている人たちに直接話を伺いに行って、そこから学ぶということは一番大きなポイントになります。それと民間企業とも色々な所でタイアップをしています。民間企業はサービス力や対応力、商品力など非常に強いものを持ってるんですが、いざ地域の中に入っていくためのチャネルが見つけにくいので、企業と地域に密着したNPOが一緒に何かやったときにどんな住民サポートが出来るかという、そういう事を社会実験的にやりながら進めていっています。

それと、10月4日にこの地域の廃校になった小学校の一部を千葉大学がサテライトキャンパスにします。これも全国初の取り組みになっていきます。私たちが地域に密着してる顔になっているので、色々な研究者と住民をつなぎながらの超高齢化領域の研究や、コミュニティの課題を大学と一緒になって解決していくことにしています。

そういったことを、現在は3,000~3,500万円くらいの事業規模で、常勤職員3人と非常勤職員を含めて数名で進めています。
簡単でしたが、私のプレゼンテーションを終わります。ありがとうございました。
土谷
ありがとうございました。面白かったですよね。
まず、こういった活動をNPOというか会社にしていることが、とても珍しいケースかと思います。その専任の責任者がいて、事業収支3000万からギリギリで推移しているということは、そこの職員たちは、先生のとこの研究室を出て、立派な大学を出て、決して高収入じゃないビジネスを一生懸命やっている。しかもそれは大学の勉強ではなくて、継続して働いていらっしゃるってことですよね。あえて、その結果を取らなければいけなかった、または、取ることの意義をお聞きしたいです。
鈴木
大学で地域再生は重要だと教えて、学生もその気になるけれど、現在はその受け皿が地域に全く無いんです。それではだめなので、私たちはふんばって3人の卒業生を雇っています。
土谷
それは、学生のボランティアではなくて、やはり専任で人が必要ということですかね。
鈴木
大事というよりも、職能として、そういう人が増えていかないと日本の地域は良くならないと思っているんです。行政も一定程度の規模を持つ政令指定都市でもリソースが足りず、一度に多くの対応ができない状況です。また、地域再生に対して投資してもリターンが遅いですから、そういったものに民間企業が参入してくることは有り得ないので、誰かがやらなければなりません。それを実現する会社のような組織を地域の中に作る必要があります。
土谷
つまり、その受け皿がないから自分たちがやるんだと。同時にそれが社会の中で、経済行為として自立できる職能を作っていかないといけないということですね。それは大学のミッションとしてもそうである一方で、それをビジネスとしても作っていくと。なかなか大変ですね。
また、大学のサテライトキャンパスをつくっているとうかがいました。すごいことだと思うのですが、千葉大学はなぜ大学としてそういった地域のコミュニティについて、ここまで踏み込んでいるのですか?
鈴木
大学は今まで教育、研究は熱心だったけども、社会貢献とか、地域貢献はやってないじゃないかっていう批判があります。実際に研究した結果を地域や社会に還元してるかどうかという問題だけではなくて、去年から文部科学省が“地の拠点整備事業”という「大学がコミュニティの中心になる」事業が始まりました。千葉大学のおかれている地域は、郊外コミュニティの真ん中なので、郊外コミュニティの発展と共に、千葉大学はその地域、郊外社会のコミュニティの課題を解決する役割があるということです。
土谷
ちなみに、学生たちはそこで授業を受けて、その授業は地域コミュニティと関わりを具体的に持っていくことになるのですか。
鈴木
そうです。さらに地域の住民が自らの地域の課題を解決できるような場を作りますし、民間企業が地域社会の中で新しい仕事が作れるかもしれない。それをNPOや大学と一緒に商品開発、サービス開発する。そういう拠点にしていきたいと思っています。その中で、教育の結果10人ぐらいはNPOで活動してほしいと思っています。そのような教育を研究者や企業、住民と一緒になって取り組んで行くような機能をつくっていきたいと思っています。