こんにちは。田中です。
春のキノコ
と、言っても食べるモノではありません。
食べられないキノコ?まさか?
いえいえ、毒キノコではなく、今回目指したのは「キノコ雪」。
岩や木の上に乗っかった巨大な雪の塊です。
まあ、見方によってはキノコではなく、マカロンにも見えるわけですが・・・
チョコンと乗ったその姿は今にも崩れ落ちてしまいそうですが、コイツが連続する雪稜を登ってきました。
登ったのは、北アルプス・笠ヶ岳の東面にある「穴毛谷第二尾根」。
今回は、前回も一緒に登ったTHE NORTH FACE のN村氏と、飛騨山岳会のT根氏の3人で行ってきました。
【4月17日(土)】
全国的に寒い週で、この日は雪。積雪は20cm程。
アプローチからこの濃いガス。ルートファインディングが大変です。
ようやく尾根に出て、雪稜登攀・・・と思ったんですが、雪の量が少なくてなかなか一筋縄では登れません。
懸垂下降で降りたりまた登ったり。
午後になってから、だいぶガスは晴れて天気は回復傾向になってきたものの、雪がなくなってしまったギャップがあったりと、相変わらずルートファインディングに時間を取られます。
P4のキノコ雪の上に乗って偵察するT根氏
(※クリックすると拡大します)
雪が途切れていて、どうしてもこの先のギャップが渡れそうにありません。
時間を見るともう16:00過ぎ。今日はP4脇のちょっとしたスペースにてテントを張ることに。
北アルプスに360度囲まれたロケーションで一泊です。すばらしい。
あとは、テントの中で眠たくなるまでひたすら酒を飲むだけです。
ん〜、至福のひととき。
【4月18日(日)】
今日は朝から晴天!
穂高の稜線を見ながら準備
そしてキレットから御来光が!
二ノ沢も金色に輝きます。
昨日苦労したP4は、1回沢筋に50mほど懸垂下降してから尾根に上り返すことに。
P4を突破してからの快適な雪稜
このあたりまで標高を上げると槍ヶ岳(一番左のピーク)も姿を現します。
(※クリックすると拡大します)
上部は尾根も広くなってきます。
急斜面は表層が既に雪崩れてますね〜。
(※クリックすると拡大します)
振り返ると、超えてきたキノコたちが並んでいます。
(※クリックすると拡大します)
主稜線上はかなり雪庇が発達しています。
アレが落ちたら全層で雪崩れそうだなぁ。
いよいよ最後の登高。
稜線に到着〜
ガッツポーズのT根氏とN村氏
第二尾根ピークから見る笠ヶ岳
(※クリックすると拡大します)
手ごたえがあって、なかなか一筋縄ではいかない登攀となりましたが、
楽しい山行となりました。
新穂高のロープウェイで上まで上がると、今回登った笠ヶ岳周辺がよく見えます。非常に岩が切り立っていて、急峻な谷がいっぱいある山域です。
夏にロープウェイで上まで行く機会があったら、振り返って見てみてくださいね〜。
【Climbing note】
笠ヶ岳東面・穴毛谷 第二尾根 は、なかなかWeb上にも情報が少ないですので、今回の記録を載せておきます。
下部は雪が少なく、微妙な尾根となっていましたが、上部に登るにつれて快適な雪稜登攀が楽しめました。下部にももっと雪がたっぷり付いていたら快適な雪稜登攀になると思われます。
◎2010年4月17日(土) 雪のち晴
■新穂高 7:00
ガスで出合が全然分からずかなり時間を食う。
■二ノ沢出合 8:30
崩壊ルンゼがまったく見えず、とりあえず二ノ沢を詰める。
おそらく下部フランケ超えてからすぐの右俣を詰めて二尾根に上がる。
■二尾根稜線 11:10
■P4下の岩頭 11:55
顕著な岩頭
最初はこれがP4かと勘違い。
懸垂した後、基部を左から巻いて木登り。
その後P4までは痩せたキノコ雪を登る
■P4 14:00
記録で見た写真と比べても雪の付き方が明らかに違い、記録にあるような懸垂してからの稜線上の突破は不可能。
■幕営 16:10
幕営地よりP4を望む。
下部より上ってくるのは右側奥から。
P4付近から上部を望む。
翌日登ったのは中央下部の樹林部分から。
◎2010年4月18日(日) 快晴
■起床 3:45
■出発 6:00
P4基部を二ノ沢方面に50m懸垂。
直ぐ向かいの樹林部を登り返して、二尾根稜線に戻る。
■二尾根稜線 7:00
P4より上部は雪の量も徐々に増え、雪稜らしくなってくる。
■稜線手前の急雪壁 9:45
おそらく、あけぼの岩壁がある部分
■二尾根ピーク 12:00
■クリヤの頭 13:30
ヒロサコ尾根・東北支稜を下降
■出合の堰堤 15:55
穴毛谷第二尾根 全容